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堀内佳美物語〜ケララ便り(10)〜 [2011年08月22日(Mon)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ

今回はケララ便り第10弾をお届けいたします。

インド・ケララ州でIISE第1期生として学んだ日々・・・、そしてついに卒業をむかえます。

IISEにも、ともに学んだ仲間にも、今もずっと支えられています。‘ありがとう’

多様な仲間との苦しくも愛しい日々、かけがえのない仲間。

卒業へのラストシーンをどうぞお楽しみ下さい。


連載 〜ケララ便り(10) 卒業、そして〜


高知県高知市/堀内佳美

 こんにちは! みなさん、お元気ですか?

 12月22日の朝無事帰国し、今、高知市の実家でこの原稿を書いています。

 やっと少しずつ日本に慣れてきたところです。

 今回は、文字通り瞬く間に過ぎていった、ケララで過ごした最後の数週間を、今改めて振り返ってみたいと思います。

 IISEには、試験という制度が全くありません。それは入学から卒業まで一貫しています。

 試験の代わりに、私たち参加者の能力や研修の成果を図るためによく用いられたのがステージ発表、いわゆるプレゼンテーションです。

 教室にブースを構えて説明会を行ったり、ラジオドラマ大会をしたり、大企業の会議室を借り、ビデオ会議システムを使ってドイツと同時中継しながらプレゼンをしたり・・。

 私たち第1期生最後のプレゼンは、11月7日から11日までの5日間、毎日午後3時間ほどに渡って、多目的ホールとして使っている食堂で行われました。

 卒業要件の1つであるプロジェクトの企画書と予算書は11月後半に無事提出できたものの、プレゼンを成功させないことには卒業資格が与えられないので、私たちは2週間ほど前から戦々恐々としていました。

 10カ国に16のプロジェクトで、各自に与えられた時間は、プレゼン15分、質疑応答15分の計30分。その中で、外部から招かれた4人の審査員に、これから自分が取り組むプロジェクトをアピールしなければならないのですから、いくら用意をしても周到ということはありません。

 湖のほとりで瞑想している人がいるかと思えば、ドアを開けたら、部屋に来ていた友人がこっそり通し稽古をしているのに遭遇してあわてて飛び出してくる、というような状態でした。

 発表本番は、連日食堂を埋める聴衆に恵まれ、活気に満ちたものになりました。

 舞台の魔法とでもいうのでしょうか、いつも以上に質の高いプレゼンが続出しました。

 みんなお互いのプロジェクトは熟知しているはずなのに、ほんの数週間のうちに、硬く青かった実が豊かに熟したかのように香りたつように鮮やか味を増しているように感じたのは私だけではないようでした。

 私の発表は2日目だったのですが、マイクに声が入らないというアクシデントはあったものの、自分が信じる移動図書館の可能性、本によって高められる子供たちの無限の可能性を、自分の言葉で精一杯伝えることができ、終わったときにはふらふらでした。

 すべての発表が終わったとき、いつも先頭を切ってチャント(応援歌)を指揮するエリックが立ち上がりました。

 「IISE, oh say yeay (オー、セイ・イェーイ)!」

 「イェーイ!」

 屋根も吹き飛ばせとばかり、私たちはこぶしを突き上げて叫びました。

 これで終わりなんだ、20人みんな卒業できるんだ、みんなそんな想いで互いを讃え合いました。

 20代から50代まで、黒、白、黄色、キリスト教徒もムスリムも無神論者も、涙も怒りも爆笑もない交ぜとなった1年間が終わりを告げようとしていました。

 男性軍が、次から次へとキャタリスト(講師)の胴上げを始めたとき、私はたまらなくなってその場から逃げ出しました。いったん緩んだ涙腺が、なかなか閉じてくれなかったからです。

 卒業式はその2日後の13日。日曜日の午後、私たち自慢の野外劇場を満席にして、ヤシの木に囲まれて執り行われました。

 私たちのために、州の教育委員長が、卒業証書授与のために駆けつけてくださいました。

 そればかりか、ケララの王位継承者(今は王政は廃止されていますが)のマハラジャまで、なんと80歳を越えるご高齢にもかかわらず参列してくださいました。

 しかし、色とりどりの伝統衣装を身に着け、順に卒業証書を受け取っていったときも、1年で最後の合唱で舞台に立ったときも、なぜか現実感がありませんでした。まるで、毎週金曜日の全体集会や、いくつもあったイベントと同じであるかのように、みんなといることが自然に思われ、2日と経たないうちに世界の端から端までバラバラになってしまうなんて、とても想像できなかったのです。

 それが突然生々しさを持って現実味を帯びたのは、私が出発する前の夜、みんなで夕食を食べ始めたときのことでした。

 明日からこのメンバーでこのテーブルを囲むことは2度とないのかもしれない、と思った瞬間、大きなヤシの実を丸ごと胸にギューッと押し込まれたような感じで、やっと別れが目の前に形を持って立ち現れました。

人の感情というのは、日常生活の隙間に隠れているものなんですね。


『点字ジャーナル』2010年2月号掲載



Posted by 加藤 亜矢子 at 18:58 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
堀内佳美物語〜ケララ便り(9)〜 [2011年08月05日(Fri)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ

今日は久々のケララ便り!第9弾をお届けいたします。

今回の内容は、IISEの仲間と出掛けた小旅行がテーマです。

この小さな旅行の中で佳美ちゃんがたくさんのことを感じたことが行間から瑞々しく伝わってきます。

何度読んでも気持ちのよい、ゆたかな清涼感を感じます。

節電の夏、こんな涼み方もありますね!

どうぞお楽しみ下さい!!〓



連載 〜ケララ便り(9)ポンムディの滝つぼで〜


インド・ケララ州/堀内佳美

 ナマスカーラム! みなさん、お元気ですか?

 卒業を間近に控えた11月最後の週末、私たちは小旅行に出ました。

 ポンムディ(マラヤラム語で黄金の冠)のヒル・ステーションでトレッキング、最後の旅行にふさわしく、今までで一番印象深い1日となりました。

 ヒル・ステーションとは、英領インド時代に夏の暑さを我慢できなかったイギリス人が開発した避暑地で、インド各地に点在しています。独立から50年余を経た今でも、富裕層や外国人が多く利用するそうです。

 ポンムディは、ケララの州都、トリヴァンドラムから61km、曲がりくねった道を行くため、2時間ほどかかりました。

 参加者とキャタリスト、ボランティアを含めて25人ほどでチャーターしたバスは20人乗り。

 もちろん全員分の席はありませんでしたが、この1年間、3人乗りのオート・リクシャーに5人乗ったり、7人乗りの乗用車に15人ぎゅーっと詰め込んでビーチに行ったりしたので、定員オーバーは慣れっこ。

 ボリウッド(インド映画)音楽をかけたり、バナナチップスやスパイス入りのスナックを回したりしているうちに、1つ目の目的地の沢場に着きました。

 辺りにはひんやりとした空気が立ち込めていました。

 ポンムディは、山頂が標高1,000m。街中の暑苦しさとは比べ物になりません。

 近くでは、現地の老夫婦が手編みのざるを露天で売っています。竹かごは1つ30ルピー(約60円)。

 沢までは、不ぞろいの石段がらせん状に付いています。私たちは靴を脱いで、ぞろぞろと階段を降りていきました。

 水辺の空気に全身を洗われながら、私は思わず、夏休みによく家族で泳ぎに行った、実家高知県の仁淀川を思い出してしまいました。

 チベット人のキーラ、マダガスカルから来たホリー、ネパール出身のコムも、みんな口をそろえて「実家に帰ってきたみたい」と言います。

 山の近くで育った参加者が多かったということなのでしょうが、山や川は、どんなに離れてから時間が経っていても、私たちの体の中にしっかり生きてくれているんだと思うと、その静かな存在感の大きさに包まれるような気がしました。

 下のほうからは、先に着いたモハメッド(シエラレオネ)やエリック(ガーナ)、ロバート(ケニア)たちのチャントが聞こえてきます。

 チャントというのは、日本の応援歌のようなもので、何かおめでたいことやうれしいことがあったときにみんなで大声で叫ぶ短い歌です。

 IISEには、3つのチャントがあって、ガーナが2つ、リベリアが1つ。

 中でも私が1番好きなのがリベリアのものです。

 体格のいいおじさんたちが振り付けつきで、「ムーニャ! ムーニャ! IISEムーニャ!」と、のども裂けよと叫ぶんです。もうこればかりは言葉だけではとても表せない面白さなのですが、川面を叩いて叫ぶ男性群の声を聞きながら、これから何回みんなでチャントが出来るんだろう、と、大笑いしながらこっそりしんみりしてしまいました。

 次は滝つぼまでのトレッキングです。再びバスでコースの入り口まで行くと、ガイドの男性が待っていてくれました。

 辺りにはより新緑の気配が立ち込めています。苔むした大木からは、ちょうど懸垂でも出来そうな高さに、頑丈な根っこが張っています。高さ3m、幅5mはあろうかという自然の岩壁の向こうからは、次第に近づいてくる滝の音が聞こえてきます。

 「マーティン! 気をつけて!」

 前を歩いていたキャタリストのノラ(ドイツ)の声。一緒に歩いていたピンホイ(インド)によると、手首から先ほどもある巨大毛虫が岩に張り付いていたのだそうです。暖かいところは、本当に生き物がすくすく大きくなるんですね。

 足場の悪い岩だらけの道を通り、手すり代わりに張られたロープをつかんで渓流を渡り、1時間ほどかけて滝つぼに到着。

 私を含めた数人は、岩陰で着替えをして、冷たい水に飛び込みました。滝つぼとは言っても、滝そのものとはある程度距離があったので、流れのほとんどないよどみのような場所です。いつも生ぬるいキャンパスの湖や海辺と違って、きりっと身の引き締まるような水と、常に聞こえる滝の音。インドにもこんな場所があったことにいまさらながら驚きつつ、持ってきたサンドイッチを食べるのも忘れて泳ぎ、山の息吹を堪能することができました。

 最後はポンムディの山頂。

 バスが山頂を目指すにつれて、周りの緑も濃くなるようです。きれいに刈り込まれた紅茶のプランテーションが広がり、インド植民地時代を彷彿とさせます。山頂手前でバスを降りた頃には、薄手の上着を羽織りたいほど肌寒くなっていました。

 山頂でまたみんなでチャントをしながら、年齢や国境を越えて集まった私たちが、この小さなインドの山の上で、「IISEムーニャ!」と叫んでいることの不思議さと幸せを噛み締めて帰途に着きました。

『点字ジャーナル』2010年1月号掲載



Posted by 加藤 亜矢子 at 12:10 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
堀内佳美物語〜ケララ便り(8)〜 [2011年03月04日(Fri)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ

暦は春花、まだ少し寒いですけどね。

さて、まずは
『アーク・バレンタインデー幸せ共有プロジェクト』⇒(詳細はこちら! そして、【補足】はこちら!)のご報告を少々!

JustGivingでのチャレンジ⇒【チャレンジのページ】はこちら!
現在のJGチャレンジの状況は、達成率66%!ハートありがとうございます!

その他に、直接お振込みをしてくださった方が多数!ありがとうございます!!


こんなに応援をいただき感謝です!詳しくはまたご報告したいと思いますラブ


では、お待たせいたしました!ケララ便り第8弾をお届けいたします!




連載〜ケララ便り(8)ケララという場所〜

インド・ケララ州/堀内佳美

 ナマスカーラム! みなさん、お元気ですか?

 一年間お世話になったこのケララという場所と、そこに住む人たちについて書いてみたいと思います。

●アーユルヴェーダ発祥の地

 アーユルヴェーダとは、5000年の歴史を持つとも言われるインド、スリランカの伝統療法です。

 仏陀はこの医学を究め、弟子たちに広めたと伝えられていますし、後にギリシャや中国の医学にも大きな影響を与えました。健康と治療を大宇宙との関係性の中で捉えるという大変複雑な学問で、医師免許を持つには大学で6年間も勉強が必要なのだそうです。

 ケララはアーユルヴェーダ発祥の地、長期滞在で治療を受けられるような施設がそこここにあり、国外の人も多く利用しています。また、街のいたるところにアーユルヴェーダ薬局があり、症状を説明すると、「ターメリックとライムの絞り汁を1対1で混ぜて塗布しなさい」などと指示してもらえます。

 先日日本から友人が遊びに来たとき、アーユルヴェーダ・マッサージを受けに行きました。街の中心にある、創業120年以上の伝統ある病院です。マッサージとは言っても、まず免許を持った専門医に診察してもらってはじめて治療が始まります。全身をそれはそれはたっぷりの香辛料入りオイルでマッサージしてもらいながら、から揚げにされる鶏肉の気持ちが少しわかったような気がしました。もしケララに旅行される方がいたら、一見の価値、ならぬ1マッサージの価値絶対にありです。

●食器はバナナの葉

 ケララでは、昔からバナナの葉をお皿として使っていたそうです。アルミやブリキの金属のお皿が一般化した現在でも、しっかりと葉っぱがお皿の上に敷かれているのによく遭遇します。

 主食はお米で、パロタといわれるもちもちした平たいパンやドーサというごく薄のパリパリしたパンもよく食べられています。これに、サンバルという野菜のスパイス煮込みや、ココナッツやトマトのチャツネ、さまざまなカレーをあわせて食べるのがケララ流です。

 食べるときは、右手の親指以外4本の指をそろえてスプーンのような形を作り、親指で口に送り込みます。手づかみといっても、上達すれば米粒一つ落とさずきれいに食べられるし、食べるものをしっかり確認することができるので、視覚障害者向きの食べ方ともいえるかもしれません。個人的には、インド料理は手で食べるのが一番おいしいように感じます。

 上に書いたバナナの葉が大活躍するのが、サディアと呼ばれる伝統食です。
 9月のケララ正月のオナムや結婚式、子供の誕生など、あらゆるお祝いの場面に登場するのですが、このときばかりはどんなにしゃれたホテルでも、テーブルの上に直接並べられたバナナの葉の上に料理が盛られます。ご飯を主食に、24通りのおかずが大きな葉っぱいっぱいに並びます。カラフルなおかずが少しずつお上品に盛り付けられているので、私はいつも日本の会席料理を連想してしまいます。

●ケララに住む人々

 江戸っ子やパリジャンのように、ケララに住む人たちのことは「ケラライト」と呼びます。

 その特徴は、まず、みんな好奇心旺盛です。もっとあからさまに書いてしまうと、変わったものを見つけると、必ずじいっと凝視が基本ということです。

 ドイツから来ているボランティアのジェニーがある村を旅行していたときのこと。あまりの暑さに、ジェニーは木陰で休むことにしました。そうすると、村の人たちがどんどん集まってきて、5分後には木を取り囲んで30人ぐらいの人だかりが出来てしまいました。一通りこの珍しい人物を観察した後、村人たちは、静かに仕事の持ち場へ戻っていったそうです。

 そして、例外なくココナッツが大好きです。ケララはココナッツの地という別名を取るほどで、飛行機で着陸するときは、一面緑のココナッツに覆われているのがよくわかるといいます。それだけに、ケラライトの生活にココナッツは欠かせず、毎日の食事にこれが入っていないおかずを探す方が早いですし、床に敷く敷物にもココナッツの繊維が使われます。

 毎朝ココナッツオイルを髪にたらすのはケラライトのたしなみで、ココナッツアレルギーがいたらどうなるんだろう、といらぬ心配をしてしまうほどです。

 何よりも私が驚いたのがケラライトの親切さ。この前など、市場へ行く道を聞いたら、そのお兄さんが肉や魚、野菜などすべての買い物に付き合ってくれたばかりか、なんとわざわざキャンパスまで一緒についてきてくれたのです。

 思わず、「お仕事に戻らなくてもいいんですか?」などと余計な質問までしてしまいました。

 こんな気さくな人たちに触れる中で、ケララにIISEを設立しようと決めたポールとサブリエの気持ちがわかったような気がしました。

『点字ジャーナル』2009年12月号掲載




Posted by 加藤 亜矢子 at 04:57 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
堀内佳美物語〜ケララ便り(7)〜 [2011年02月12日(Sat)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ

東京は雪もやんだようです雪。

さて、まずは
『アーク・バレンタインデー幸せ共有プロジェクト』⇒(詳細はこちら! そして、【補足】はこちら!)のご報告を少々!

JustGivingでのチャレンジ⇒【チャレンジのページ】はこちら!の現在の状況は、達成率53%!ハートありがとうございます!

14日バレンタインデー以前にこんなに応援をいただき感謝です!

皆さまの素敵な冬の物語をお祈りしています!!


では、お待たせいたしました!ケララ便り第7弾をお届けいたします!




連載〜ケララ便り(7)暗闇カフェ〜

インド・ケララ州/堀内佳美

 ナマスカーラム! みなさん、お元気ですか?

 再びケララよりお便りします。

 9月25日、インド東北部のメガラヤ州で2カ月弱の研修を終え、無事IISEキャンパスへ戻ってきました。

 私は、研修先のベサニー・ソサエティで子供たちからもらったものが多すぎて、未だに心の整理が終わっていません。

 中でも、研修中最大のイベントとなった暗闇カフェは、キーラと私に子供たちの持つ力を実感させてくれる忘れがたいものでした。

 このイベントは言うまでもなく、ヨーロッパで始まり、日本でも行われているダイアログ・イン・ザ・ダークからの思いつきです。

 キーラと私は、イベントの規模の大きさを少し気にかけながらも、一気に計画書を書き上げました。研修指導を担当してくださったベサニー代表のカーモ氏に提出すると、予想に反して即ゴーサインを出してくださいました。彼自身、昨年オーストリアのダイアログ・イン・ザ・ダークに参加し、そのユニークさに魅了されたことが、私たちにとっては大きな後押しとなりました。

 それからは、当日の9月19日までの約1カ月、お互いのプロジェクトの合間を縫って、カフェの準備に追われる日々が続きました。

 各大学や企業に配るチラシの作成と配布、マスコミ訪問やラジオ・インタビュー、カフェで出されるお菓子の発注など、するべきことは次々と押し寄せてきます。

 特に、数日前から始めた暗室作りは大仕事でした。遮光カーテンはおろか暗幕もなかったため、ダンボールや新聞紙、寄宿舎にあった予備の毛布まであるもの全部使っての暗闇作製です。実は当日になっても数カ所光の漏れているところを見つけ、お客さんの来ない隙に大急ぎで新聞紙を追加する作業を続けなければいけませんでした。

 でも、その甲斐あって、カフェは文字通り真っ暗になり、手作りながら本格的な暗闇カフェにすることができました。

 カフェのテーマは、「見えない世界の美しさを楽しむ」です。

 4人から6人がけのテーブル4つに、それぞれ1人のガイド兼ウェイターを配置し、入り口からテーブルごとに誘導します。各テーブルにはそれぞれフルーツのかご、野菜のかご、動物の触図、お香の箱が置かれており、ガイドは手を伸ばして観察するよう促します。

 その後ガイドは大急ぎでテーブルを離れ、カウンター担当者の準備した紅茶セットをテーブルへ運びます。

 ステージではライブのアコースティック・ミニコンサートが始まり、お客さんたちも徐々にリラックスして、テーブルで会話が交わされるようになります。3、4曲の演奏の後、ガイドは再び入り口へとお客さんを誘導し、「3、2、1!」でドアを大きく開けて終了となります。

 当日は朝から雨。モンスーンの季節だけに予想はしていたものの、9時開店直後の客足のなさに全員がっかり。

 ところが、雨が上がった11時ごろから様子が一変しました。突然どっと客足が増えたのです。

 イベントの企画から協力してくださったギャリーさんが、「50人待ってるよ!」、「80人! 早く早く!」と押し殺した声で外から入ってくるたびに、大急ぎで対応しながらも信じられないような思いでした。

 12時から2時を予定していた昼食休憩も返上し、スタッフは食事も取らずに午後5時までみんな夢中で働きました。

 最終回が終わってドアを開けたときには、全員クタクタでしたが、達成感と興奮でのんびり座っている人など誰もいませんでした。

 来場者202名。マスコミ関係者も訪れ、小さい失敗はいくつもあったものの、全体としては大成功でした。

 私は今まで、いろいろなチームの中で働く機会に恵まれてきましたが、今回のカフェほど美しい団結と協力は見たことがありません。

 見えない子、聞こえない子、寄宿舎のスタッフなど、みんなそれぞれの役割をしっかりと把握し、全体の運営を見ていたキーラと私にとって、これほど働きやすい環境は望めませんでした。

 何よりも、いつもはサービスを受けることしか経験のない子供たちが、その1日サービス提供に徹し、自分を二の次にして働いてくれた姿勢、いつも自分を誘導してくれる晴眼者のお客さんたちを時には励まし、時には笑わせながら堂々と対応する様子、そして主に視覚障害に対する意識改革イベントであるにもかかわらず、自らの問題であるかのように必死で働いてくれた聴覚障害児の熱意は、私たち2人の研修生にとってかけがえのない贈り物でした。

 子供を対象とするプロジェクトを考えている私たちにとって、暗闇カフェで締めくくられた2カ月間の研修期間、改めて子供の持つ限界のない可能性と、変化への柔軟性を証明してくれるものとなりました。

『点字ジャーナル』2009年11月号掲載




Posted by 加藤 亜矢子 at 03:18 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
堀内佳美物語〜ケララ便り(6)〜 [2011年02月10日(Thu)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ

今日からまた寒くなるようですね。防寒に大雪にいろいろとお気をつけくださいね。

さて、ただいまアーク応援隊では『アーク・バレンタインデー幸せ共有プロジェクト』をご紹介させていただいておりますが、少々状況のご報告を。

‘???’の方はこちらから⇒【アーク・バレンタインデー幸せ共有プロジェクト】
さらに‘???’
の方はこちらも⇒【補足:アーク・バレンタインデー幸せ共有プロジェクト(2)】

この考えを、面白い!と思ってくださったり、いい機会だね!と、はやくも行動を起こしてくださった皆さま、「あ、あ、ありがとうございます!感涙」

JustGivingだけでなく、むしろお振込みを選択いただいた方の方が多く、「振込みしましたよ!」というご連絡までいただき、有難さが心にしみる日々です。

応援隊では逐次お振込みを確認することができませんので、ご一報は非常に有難いのです。
このようなことで、お礼も申し上げず失礼していることもあるかもしれません。ご無礼をおゆるしくださいませ。

お振込みいただきました際には、大変お手数ですが下記までご一報いただけますと非常に助かります。よろしくお願い申し上げます。
手紙ayakokato.arc@gmail.com


では、お待たせいたしました!『ケララ便り』第6弾をお届けいたします!



連載〜ケララ便り(6)図書館でガラクタと闘う〜

インド・メガラヤ州/堀内佳美

 みなさん、こんにちは! お元気ですか?

 今回は「ナマスカーラム」ではありません。

 8月の頭から約2カ月間、IISEの研修の一環としてインターンをするために、ケララから4日間列車に乗って、インド北東部、アッサムのお隣のメガラヤという州に来ているからです。

 研修先は、メガラヤの州都であるシロンにあるNGO・ベサニー・ソサエティーです。
 このNGOは、州内で15ほどのプロジェクトを展開しており、そこの運営する障害児のための寄宿舎で寝泊して、主にジョティ・スロート・スクールという統合教育校で仕事をしています。

 IISEからは、ルームメイトだったキーラと2人できており、彼女は9月に行われる資金調達のためのイベント準備、私は学校の図書室の改善を担当しています。

 メガラヤは、ケララから来ると別の国かと思うほどで、インドの多様性を体感できます。
 人種も、私たちモンゴロイド系の顔立ちをしたカシ族、ジャインティア族、ガロ族が主流で、チベット人のキーラも私も、よく現地人に間違われます。
 もちろん言語もケララのマラヤラム語とは全く違いますし、食べ物もタイ北部の山岳民族のご飯に似て、ご飯山盛りとシンプルなおかずです。
 ケララで毎日食べていたスパイスたっぷりのカレーはめったに食卓に上りません。曜日によって大体出るおかずが決まっているところが、日本の盲学校の寄宿舎にちょっと似ています。

 私は、月曜日の晩ご飯に出るトゥームタップというおかずが好きなので、毎週それを楽しみにしています。魚の干物をすりつぶして、火を通したトマトやたまねぎ、唐辛子と混ぜ合わせたもので、ご飯とよく合うんですよ。

 この州は、全体的に山や森林に覆われていて、緑豊かなところです。熱帯気候で、いたるところにヤシの木が見られ、不思議な声の鳥たちがさえずるケララと異なり、気候はぐっと穏やかです。
 標高1,000mにあるシロンは特に涼しく、9月頭の現在は、ちょうど日本の秋の入り口といったところでしょうか。

 朝5時の起床のベルでいったん目を覚まし、ボーっとした頭で毛布に包まっているとき、外でスズメが鳴いているのを聞いたりすると、一瞬日本にいるような錯覚にとらわれるぐらいです。

 そんなときは水浴びです。バケツにためた冷水を頭からかぶって「うわー」などと言いながら全身を洗っていると、あー、私はインドにいるんだなー、としみじみ実感することができます。

 週末以外のほとんど毎日、私は午前中を学校の図書室で過ごします。

 ジョティ・スロート・スクールは全校生徒が180人ほどで、そのうち約半数が視覚障害児です。しかし図書室のための予算は皆無といってよく、ほとんどの本は何十年も前に寄贈されたボロボロの本たちです。
 校舎が手狭になってしまっているために、お弁当箱や点字のタイプライター、運動靴などという本とは全く無関係のものが一緒くたになって箱に詰められて本棚の周りに積み上げられています。
 その上、図書室担当の先生は教科担当も兼任しているため、本の整理などに使える時間がなく、せっかくある本も大半が利用されていないのが現状のようです。

 なんとか本を整理し、いらないものを取り払い、子供たちが自由に棚から本を引っ張り出していろいろな物語を散策できるような図書室にしたい、というのが私の大きな目標です。

 でも、実際はときどきその目標の大きさに圧倒されそうになります。
 他のスタッフは忙しいため、1人で本の整理をしているのですが、やってもやっても終わらないし、ガラクタはどんどん出てくるし・・・。ホコリまみれになりながら本にチェック済みのシールを貼りながら、本当にこれでいいのだろうか、とため息が出ることも少なくありません。

 ある夜、寄宿舎にいる1人の女生徒に、図書室で一緒に本を選んでくれないか、と頼まれ、もちろん喜んで引き受けました。
 翌日、彼女は友達と2人連れ立って図書室にやって来ました。希望を聞いて、好みに合いそうな本がある棚を教えてあげると、その前に座り込んで本を選んでいます。
 「へーー、こんな本もあったんだ! 知らなかった!」、興奮する彼女たちのキラキラした声を聞いていると、ちょっと涙が出そうなほどうれしくなりました。

 私が子供だった頃のように、この子達もお話に飢えているんだ、と思うと、ホコリとガラクタと孤独には絶対に負けられない、と強く思ったのです。

 今日も図書室に行ってきます。本の整理は半分以上終わりました。各国の図書館や点字出版所にメールを書いて、いらない本の寄贈をお願いしています。

 日本もそろそろ秋。どうぞ読書の秋を満喫してください!

 それではまた。

『点字ジャーナル』2009年10月号掲載


Posted by 加藤 亜矢子 at 00:45 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
堀内佳美物語〜ケララ便り(5)〜 [2011年02月07日(Mon)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ

これからは『ケララ便り』のテンポをアップしていきますよ。はい、さっそく第5弾をお届けいたします!



連載〜ケララ便り(5)私の夢、みんなのための移動図書館 その2〜

インド・ケララ州/堀内佳美

 ナマスカーラム! みなさん、こんにちは。

 ケララはモンスーンの季節に入って久しく、毎晩雨が降っています。

 日本では、梅雨のうっとうしさに代表されるように雨は敬遠されがちですが、ここインドではむしろ歓迎される存在です。
 蒸篭の中で蒸されるお饅頭の気持ちを連日追体験するような灼熱の3月から5月が去り、激しい雷鳴とともにモンスーンが到来すると、ひんやりとした風が湖から渡ってきて、「恵みの雨」という言葉を文字通り肌で感じることができます。一時は1日に3、4回もしていた水浴びも、朝晩には寒くてためらいたくなるような気候です。

 さて、前回は私が「みんなのための移動図書館」という夢にたどり着くまでの経緯をお話ししました。

 今回は、この図書館の計画について、まだ夢の段階ではありますが、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

 みなさんの街には、移動図書館はありますか?
 トラックやワゴン車などにいっぱい本を積んで、学校や病院などを回って本の貸し出しを行うサービスです。

 「みんなのための図書館」は、そのユニバーサルデザイン版と考えてください。
 ワゴンかミニバスに積めるぐらいですから、あまりたくさんの本は選べませんが、出来るだけバラエティーに富んだ選書をするつもりです。点字やデイジー、カセット、触って楽しめる絵本や大人になってから識字教育を受けている人のための読みやすい本、みんなで遊べるおもちゃやゲームなどをバランスよく積み込みます。

 1つの村には、最低でも2週間は滞在したいと思います。
 出来れば、外出の困難な障害児や高齢者の方の家のそばに車をとめさせてもらって、日中に朗読会や紙芝居などのイベントを行う場合は、その方の家を貸してもらうことで、外に出られなくても地域の人と時間が過ごせる場になればいいなー、と考えています。

 視覚障害をはじめ、さまざまな障害を持つ子供たちは、往々にして教育の場から取り残されています。
 それは、インフラの未整備や貧困の問題もあるのですが、私が感じる一番の要因は、家族の理解のなさです。
 「見えないのに学校に行ってなんになるんだ」とか、「車椅子だから、移動にお金がかかってしょうがない。学校なんて行くほどの価値もないだろう」といった考えから、10歳をとうに過ぎても家に閉じこもったきりの障害者がたくさんいます。

 「みんなのための移動図書館」は、そういう家族のためにあると言っても過言ではありません。
 「みんなのため」ですから、もちろん簡易スロープも積み込んで、どんな人でも利用してもらえるようにします。

 家の前まで出張してきた図書館で、近所の友達と絵本を読んだり、ゲームをしたり、ちょっと点字の勉強もしたりして、生き生きと本や活字に触れ合っている子供を目の当たりにすることで、自分の子供も学校に行かせようか、と思ってくれるようになったら、図書館の使命達成です。

 8月と9月、私は、インドをずずずーっと縦断した北東部、メガラヤという州でインターンをすることになっています。
 視覚、聴覚、運動などさまざまな障害を持つ子供たちのための学校で、図書館の整備や触って楽しめる本の紹介、資金調達の手伝いをしながら、自分のプロジェクトの準備につなげる期間にしたいと思います。

 なんと、四日間もぶっ通しで列車に乗ってやっとたどり着くそうです。

 実は、今もうキャンパスにリクシャー(オート三輪)が来ているので、このパソコンを巨大リュックに詰め込んで、走って乗り込みます。

 次のケララ便りは、ケララからではなく、メガラヤ州のシロンという町からお届けすることになります。それでは、行ってきます。

『点字ジャーナル』2009年9月号掲載


Posted by 加藤 亜矢子 at 21:11 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
堀内佳美物語〜ケララ便り(4)〜 [2011年01月22日(Sat)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ

先日17日のNHK放送をご覧いただいた方々から暖かな応援メッセージをいただいております!ありがとうございます!ハート

こうしてご縁をいただけることに感謝です!


今回は、かなり間をおいてしまいましたがすいません、連載第4弾をお届けいたします!


連載〜ケララ便り(4)私の夢、みんなのための移動図書館 その1〜

インド・ケララ州/堀内佳美

 ナマスカーラム! みなさん、こんにちは。

 これから2回に分けて、少しケララからそれますが、IISEに来るきっかけとなった私の夢について書いてみたいと思います。

 6月号の「ケララ便り」でも少し触れましたが、私の夢は、「みんなのための移動図書館」を設立し、タイの農村地域を中心に活動することです。

 私は、幼少期から自他共に認める本の虫で、今に至るまで、点字、墨字、カセット、デイジー、電子ブックなど、あらゆる形態の本に囲まれてきました。
 これは、家族の影響や学校教育が功を奏した結果と考えてきましたが、タイを10回近く訪れる中で、日本という国に生まれたことも多分に影響しているのではと考えるようになりました。
 他の国に比べて、日本は、読書好きを多く育むための要素を十分に備えているのです。

 例えば成人の識字率。ユネスコの調査によると、日本人の成人識字率は99.8%で、世界一を誇っています。また、年間の平均読書量は、1人11冊ほどだそうです。50冊とも言われるアメリカに比べればはるかに少ないように思われますが、タイでは識字率は93%と比較的高いにもかかわらず、年間読書量は、平均するとなんとたったの3行半と聞いたことがあります。

 なぜここまで国民に読書が浸透していないのでしょうか?

 一つには、本の値段が他の商品、サービスに比べて非常に高いことが挙げられます。

 例えば、道端の屋台で食べられるおかずのせご飯や、クイティアウと呼ばれる麺等は、20〜30バーツ(60〜90円程度)で食べることができます。それに比べて、一般に売られている新書は最低でも100バーツ(300円)はするのです。みんなに大人気のハリーポッターシリーズにいたっては、400バーツ(1,200円)もすると聞きました。

 首都バンコクでも、一日あたりの最低賃金が200バーツ(600円)に満たないこの国で、労働者階級の国民に、本を買う余裕がないというのも、これで納得していただけると思います。
そのためか、タイ語では本を読む(アーン・ナンスー)という言葉は、事実上勉強するという意味に解釈されます。つまり、教科書以外、娯楽としての本は、それほどまでに遠い存在なのです。

 さらに、本を買わずに読みたい人のためのサービス、図書館が不足していることも大きな一因だと思われます。

 日本には、どんな過疎の村にも公共図書館があり、まず例外なく無料で貸し出しサービスを受けることができます。
 ところが、タイでは農村部にはほとんど図書館がなく、豊富な資料を備えたバンコクの各大学図書館では、会員になるために登録料を支払う必要があります。これでは図書館の価値も半減してしまいます。
 一般の読書がこれほど困難なのですから、墨字を読むことが出来ない国民の読書事情は言わずもがな、という状況です。

 日本点字図書館の点字本蔵書数は約2万3,000タイトル、デイジー録音図書は約12万7,000タイトルです(日本点字図書館ホームページより)。
 それに対し、タイで最も長い歴史と最大の点字本蔵書数を持つといわれる点字図書館、盲人科学技術・教育センター(愛称コールフィールド図書館)の点字書は約1,000タイトル。デイジー図書を強く推進するタイ盲人協会の図書館でも、デイジーを含めた録音図書が6,000タイトルほど登録されているに過ぎません。ちなみに、現在のところ、これらの点字図書館には一般の図書館とのネットワークがほとんどなく、視覚障害者は公立図書館の恩恵をほとんど全くといっていいほど受けることができません。

 また、運動障害を持つ人たちも、本を手に取れないことが往々にしてあるようです。

 タイ南部へのスタディーツアーに同行し、家庭訪問させてもらった脳性麻痺や筋ジストロフィーを持つ子供たちに、「おうちで何をして遊ぶのが好き?」と問うと、決まって「テレビを見ること」という答えが返ってきました。

 不十分なインフラや家庭の事情などから学校に行くことのできない運動障害児の多くは、両親が共働きで日雇いの仕事に出かけるため、朝早くから日が暮れるまで、ほとんど1人でテレビを友達として過ごさざるを得ないのです。テレビはどんどん新しい画像を映してくれますが、普通の本は勝手にページをめくってはくれませんから。

 タイの農村部の人たち、特に子供たちと本をつなげるにはどうすればいいか? せっかくだから、障害の種類や有無に関わらず、子供たちが本の回りに集まってのんびりしたりどきどきしたり出来る環境を作るには?

 そう考えて思いついたのが「みんなのための移動図書館」というコンセプトです。

『点字ジャーナル』2009年8月号掲載


Posted by 加藤 亜矢子 at 02:29 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
堀内佳美物語〜ケララ便り(3)〜 [2010年12月03日(Fri)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ

先日27日のランチ報告会にお越しくださった皆様、ありがとうございます!

報告会は満員御礼35名のご参加をいただき、終始笑いと和やかなムードにつつまれ素敵な時間とさせていただけました!

「皆さまのおかげです、感謝!」

この報告会の模様は別途ご紹介させていただきます!乞うご期待!

さて、ランチ報告会にご参加いただいた方々には、只今連載中の〜堀内佳美物語〜
を配らせていただきました本

是非是非読んでいただきたい!

佳美ちゃんの澄んだ心が、本人のさわやかな言葉によって紡がれ、読む者を気持ちよくさせてくれます。

皆さまに楽しんでいただけると嬉しいですハート

では、さっそく!お待ちかねの連載第3弾をお届けいたします!


連載〜ケララ便り(3)タンザリージアの思い出〜

インド・ケララ州/堀内佳美

ナマスカーラム! みなさん、こんにちは。

 こちらは、一番暑い季節は去り(とはいっても十分暑いですが)、マンゴーの季節を迎えようとしています。キャンパスにある2本のマンゴーの木もどっさり実をつけています。まだ熟れていないんですが、私たち女性群は青マンゴーが大好きなので、たくましい男性の誰かに頼んで叩き落してもらい、塩と唐辛子をつけて毎日のように楽しんでいます。

 コースの方も順調に進んでいます。2月から4月のはじめにかけての9週間、ケーススタディーの形式で、プロジェクトを立ち上げるまでの一連の作業を体験し、ノウハウを勉強しました。

具体的にいうと、タンザリージアという架空の国に、4グループに分かれた参加者が、それぞれ視覚障害者のためのプロジェクトを立ち上げる、というものです。

私たちのグループは、国の主産業である農業と観光業に携わる人材を育成するための職業訓練センターを立ち上げることを目標にしました。

まず国の概要(かなり詳細に設定されています)を把握した後で、ニーズ調査を行い、プロジェクト概要を作成し、それに基づいて企画書と予算を書き上げます。それと同時に、各自資金提供者(キャタリストが担当します)に連絡をとり、資金提供の折衝を行います。

そのほか、プロジェクトを立ち上げる土地の権利をめぐって所有者と交渉したり、さまざまなジャンルの雑誌記者に扮して、お互いのグループにインタビューを行い記事にまとめたり、ラジオ広告を作成したり、と、実際のプロジェクトを実現するまでに通るであろう道を通過していきます。当然、複数の作業を同時進行で分担してこなしていくのですが、そこここに問題が設定してあり、グループでなんとかそれを解決しながら最後のプロジェクト・フェアにたどり着きました。

また、異なる能力や個性を持った5、6人のメンバーで、時間の制約とストレスをかかえて能率よく仕事をするのがどれほど大変なことか、というのも、タンザリージアが教えてくれたことです。

例えば、企画書をまとめたり予算を立てたりするとき、グループのうち3人は、ほとんどパソコンに触れたことがなく、どうやって能率よく情報を共有するか、というのが大問題になりました。パソコンに慣れているほかの3人がそれぞれペアを組んで作業をすればいいようなものなのですが、すべての情報を、時には何度も繰り返し朗読しながら進めていくのは、想像以上に時間がかかるため、期限が迫っているときなどは、グループの共有か時間の制約かというジレンマに悩まされました。

一方で、メンバー間の相違点が吉と出ることもしばしばでした。たった6人なのに、農業の現実的なノウハウから環境問題にいたるまで、さまざまな分野に通じた人がそろっているということが感激でした。

 タンザリージアには授業以外でもたくさんの思い出をもらいました。
3月21日はタンザリージア正月(ホームページにも記載があります)なので、お世話になっている現地の人たちを招待してパーティーをしたり、みんなでタンザリージア国歌を歌ったり、タンザリージア語を勉強したり。

あまりにもタンザリージアという国にのめり込みすぎて、夢にまで見る参加者が続出したほどです。ときには、「あれ? タンザリージアってアフリカにあるんだっけ? アジアだっけ?」などという質問が飛び出すほどでした。

 ということで、長々と書いてきましたが、ここには書ききれないほど多くの思い出を残して、タンザリージアの季節は去っていきました。

4月9日に、すべてのグループがブースを構え、3人の審査員を外部から招いてプロジェクト・フェアを行い、それから10日間お休みでした。

毎晩映画を見たり、ダンスをしたりしたほか、私は5人の友達と一緒に、列車で4時間ほど離れたコーチンという港町に旅行しました。コーチンというのは英語名で、マラヤラム語では「コーチ」というので、高知出身の私としては、すごく親近感の沸く場所への旅でした。

3泊4日の短い旅行でしたが、街のいたるところにヤギがいて、海と湖、川に囲まれた美しいところで、みんなタンザリージアを離れて次のプロジェクトのための英気を養うことができました。

 ところで、IISEのホームページ
http://www.braillewithoutborders.org/ENGLISH/conceptkerala.htmlに、季刊オンライン雑誌、「The Spectacles」が掲載されました。
PDF形式ですので、ダウンロードしてお読みください。それから、同じページでタンザリージアに関するラジオドラマをお聴きいただけます。ちなみに、一番初めの部分でしゃべっているのが私です。

『点字ジャーナル』2009年7月号掲載


Posted by 加藤 亜矢子 at 19:09 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
堀内佳美物語〜ケララ便り(2)〜 [2010年11月17日(Wed)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ

今日は一段と冷え込んでいるようですが、皆さま風邪予防はバッチリですか?

くれぐれもお気をつけ下さいね!


では、さっそく!お待ちかねの連載第2弾をお届けいたします!


連載〜ケララ便り(2)もうすぐ1ヶ月、23の夢〜

インド・ケララ州/堀内佳美

ナマスカーラム! みなさん、こんにちは。

もうすぐこちらに来て1カ月になります。
インターネットにほとんどアクセスできなかったり、一度もテレビを見ていなかったりするせいか、本当にどこか別世界に来ているようです。

10日ほど前、こちらに来て初めて雨が降り、それからかなり蒸し暑い日が続いています。街に出ると、アスファルトの照り返しのせいで、余計に暑さが感じられますが、キャンパスの中と周りには湖や椰子の木がどっさりあるので、暑くてもげっそりするほどではありません。建物が泥とレンガで出来ているので、熱を効果的にコントロールできます。

勉強の方は、ずっと別世界で楽しく、というわけにもいかず、だんだん本格的になってきています。
異文化の多様性やコミュニケーションのノウハウをカバーした後は、参加者全員で「ドリーム・ファクトリー」を行いました。

簡単に書くと、各自10分間で、できるだけ鮮やかに自分の夢を表現したスピーチを行い、参加者や講師全員で意見交換を行う、というものです。
実はまだ全員終わったわけではなくて、明日最後の4人がスピーチをする予定になっています。

たった10分間なのですが、本当にさまざまな夢を目の当たりにできて、毎日刺激を受けています。
もう1カ月近くも同じ屋根の下で暮らし、毎食一緒にテーブルを囲んでいるはずなのに、ステージの上で将来のビジョンを語るみんなは、全く違う個人に出会うほど新鮮です。

1日のセッションで4人がスピーチをするのですが、セッションが終わるたびに、スピーカーの周りに数人ずつ集まり、それぞれの意見をぶつけ合ったり、経験を分かち合ったりしてティータイムを過ごします。知り合いの関連団体を紹介したり、似通った興味を持つ人同士で新たなつながりが生まれることもしばしばです。

今回のドリーム・ファクトリーで生まれた夢を、いくつかかいつまんでご紹介します。

マイクロ・クレディット銀行:内戦で荒廃した西アフリカ・シエラレオネから来たモハメッドは、特に女性のためのマイクロ・クレディット銀行を始めたいと考えています。ちなみに彼は、今回2人だけの、いわゆる正眼者の1人です。内戦の影響を直接受けた彼は、すでに自国で活動を始めています。

みんなのための学校:これはインド東北部、メガラヤ州出身のピンホイの夢です。自身、基督教団体が運営する、さまざまな障害を持つ子供たちのための学校で学び、働いた経験のある彼女は、障害を持つ子、障害を持たない経済的に困難な子等、みんなが共に学べる学校設立を目指しています。学校の庭では野菜を作り、子供たちの食卓に乗せるほか、余った分は村で売って経営資金にするそうです。実体験に裏打ちされた彼女の言葉には、他にはない説得力があり、みんな魅了されました。

環境にやさしい子供の健康センター:環境問題の第一線を行くドイツから来たジェシカは、IISEの創設者と同様、環境問題に大変高い意識を持っています。途上国において子供たちの健康を保つためには、正しい予防と早期治療が何よりも効果的だと考えた彼女は、乳幼児のための健康相談・学習センターを、環境にやさしい形で設立したいと考えています。

ちなみに、私の夢は、「みんなのための図書館」を設立し、アジアの農村地域にそのコンセプトを広めることです。

私は、幼い頃から本の虫でした。飽きっぽい私ですが、読書だけは20年間欠かしたことがありません。

障害の有無、裕福に関わらず、本をはじめとする活字媒体、広くは知識一般にアクセスすることで、人間の可能性は数倍に高められると思います。視覚や運動機能に障害を持つ人、高齢者、外国人、寝たきりの重病患者、乳児をかかえた母親など、すべての人に活字へのアクセスを可能にするために活動する図書館を作るのが私の夢です。

また、農村にそのような図書館を作ることで、ともすれば周縁化されがちな人たちが、常に社会に参加するきっかけになるというのも主なゴールの1つです。

今の段階では、タイの農村部に図書館を始めることを考えていますが、もし成功したら、その他さまざまな国にもこのようなコンセプトを広めていけたらと考えています。

これから10カ月間、私たち参加者は、それぞれが持つ夢を現実に変えるため、あらゆる知識と技術を身につける予定です。来週からは、本格的にプロジェクト作成や予算の立て方、PR等の研修が始まります。

夏には、2カ月間のインターンシップも予定されていますし、その直前には、身に付けた技術を用いて、実際にIISEとして3つのプロジェクトを立ち上げることになっています。

『点字ジャーナル』2009年6月号掲載


Posted by 加藤 亜矢子 at 19:48 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
堀内佳美物語〜ケララ便り(1)〜 [2010年11月15日(Mon)]

応援隊の加藤です!

堀内佳美ARCをご支援くださっている皆様、活動を支えてくれているボランティアの皆様、いつもありがとうございます!ラブ


11/14の高知での『モーニング報告会』!

おかげさまで40名ほどの方にお越しいただき素敵な会になりました!

ありがとうございました!ラブ

高知でのイベントはまだまだ続きます。皆さま是非!


さて、今回からは

『堀内佳美物語・その2〜インドからの道〜』

をお届けしたいと思います。

タイで、アークどこでも本読み隊の活動を行っている佳美ちゃん、アークを立ち上げる前年には、インド・ケララ州にあるIISEという社会企業家研究機関で学びました。

堀内佳美物語の第ニ弾は、そのIISEで学び夢を育んできた日々を佳美ちゃん自身の筆で綴った、

連載【ケララ便り】全12回 をお届けいたします!

この記事も、東京ヘレン・ケラー協会『点字ジャーナル』2009年5月〜2010年4月号 の一年間連載で掲載いただいたものです。

すでに読んでいただいた方も多いかと思います。

こちらの記事も使用をご快諾くださり、ブログへの再掲載となりました。

協会の皆さま、ご厚意に感謝申し上げます。ありがとうございます!ラブ


では、お待たせいたしました!夢への道をお楽しみ下さい!


連載〜ケララ便り(1)はじめの2週間〜

インド・ケララ州/堀内佳美

みなさん、こんにちは! 
今、インドの最南端、ケララにある社会起業家の研修所IISEに来てもう2週間、23人の参加者と、9人のキャタリスト(影響を与えてきっかけを作る人という意味で、IISEでは互いに刺激し合う関係を尊重するために、講師の代わりにこの言葉を使います)、多くの現地スタッフという大家族の生活にもだいぶ慣れてきました。

 すでに講義は始まっていますが、まだイントロというところです。パソコンや英語のレベルごとにグループ分けしたり、他文化コミュニケーションのノウハウを学ぶためにロールプレイをしたり、現地の言葉であるマラヤラム語をかじったり、そんな毎日です。

 IISEのスケジュールはお寺の修行のように健康的で、朝は6時に起きて朝食、7時には授業が始まります。途中コーヒーブレイクなどははさみますが、90分のコマが3つあって昼ご飯、その後は3時間ぐらい自由で、目の前の湖で水泳を楽しむ人も、キャンパスがあるヴィラヤニ村のバス停近くのお店に、日用品やお菓子の買い出しに行く人もいます。
 お茶を飲んで5時から最後の授業で、7時に夕食。当たり前ですが、メニューは圧倒的にカレーが多いです。

夕食の後は、グループワークをする人、ソーシャルルームでメールチェックをする人、湖で泳ぐ人、その辺で歌ったり踊ったりする人、早々とベッドに向かう人、とバラバラです。まだコースが始まってから日が浅いので、なんだかキャンプにでも来ているようで、そこら辺でいきなりスワヒリ語の歌やスペイン語クラスが始まったり、とてもにぎやかです。
みんな個性豊かで、ものすごくエネルギーに溢れていて、気付かないうちに笑い出さずにいられないような空気に満ちています。

どれだけおもしろいメンバーが集まっているか、ちょっと書いてみたいと思います。

 まず我らがアジアチームは、インドの北東部の山間部から来た女の子、ピンホイ(すごく面倒見がいいけれどすっ飛んでいるおもしろい子)、チベットから男女1人ずつ(ゲンゼンとキーラ。キーラは私のルームメイトです)、ネパールの若きお父さん、コム、そして私です。
もちろん、キャタリストの中には何人かインドの人がいますし、ステージの演技指導を担当するのはネパール出身の役者さんです。

 中東のサウジアラビアからは、今期の参加者の中で最年長(51歳)の、みんなのお父さんのようなフスニが来ています。普段はすごくフレンドリーで、よく笑うおもしろい人なんですが、ひとたびアラビアダンス(?)を始めるとすごーくアラビアっぽくなってビックリします(当たり前か)。言葉にしにくいんですが、「おおお、ラクダに乗って月の砂漠を進んできそう!」という感じになります。

 ヨーロッパからは、ちょっとセンシティブでまじめだけれどとてもオープンなノルウェーの女性、カリン、それにドイツからはちょっと皮肉屋でビールがよく似合いそうな男性、ロビー、水泳が大好きな女の子、ジェシカの2人が来ています。キャタリストの中にもヨーロッパ出身者が5、6人いて、特にドイツ語話者が多いです。

 アメリカ大陸はあんなに広いのに、コロンビアからの参加者、マルコだけです。彼は、おしゃべりでもなく、ダンスも得意じゃないので、コロンビア人としてはマイノリティーだと言ってました。それから、我らが英語のキャタリストは、アメリカのボストン出身の作家さんです。でも、しばらく中国に住んでいたことがあって、信じられないぐらい情熱的中国人歌手の真似が上手いです。

 そして、アフリカ。まず、ケニアからは元気なお兄さん、ロバートと、ダンスが大好きな女の子、ジェインとルーシーが来ています。ガーナから来たエリックとジュリアスは、巨大な箱にいっぱい、魚や肉で作った「ガーナ版ご飯のお供」のような物を持ってきたそうです。そうそう、初日には、エリックが、みんなに本場のガーナチョコレートをくれました!
 南アフリカの女性、ザビエルは、すごく礼儀正しい貴婦人のような人です。自然豊かなマダガスカルからの男女、マーティンとホーリーは、フランス語なまりのようなマラガシー・イングリッシュがとても魅力的です。

リベリアからの参加者4人(ヴィクター、ジェームズ、ジョンソン、サー)のうち3人は、とても年格好や雰囲気が似ているので、しょっちゅうみんなに間違えられています。
シエラレオネから参加しているモハメッドは、弱冠二十歳とは思えないほど堂々としていてたくましいです。

 23名、私の文章力では、とてもみんなのおもしろさを表現しきれませんし、それぞれが歩いてきた道は、一人ひとり本が書けるほど全く違うものです。それに、なんと言ってもみんな夢があって、そのためにIISEに集まっているので、近い将来ゆっくり夢の交換をするのがとても楽しみです。

『点字ジャーナル』2009年5月号掲載


Posted by 加藤 亜矢子 at 01:03 | ARC堀内佳美について | この記事のURL | コメント(0)
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