• もっと見る

プランクトンの定点採集 [2009年03月26日(Thu)]
阿嘉島臨海研究所では、サンゴに関する調査・研究だけではなく、阿嘉島周辺海域に生息するサンゴ以外の様々な生物についても調査・研究が行われています。毎月 1 回行っているプランクトンの定点採集もそのような調査の一つです。定点採集とは、任意に設定した場所で調査対象を繰り返し採集することであり、同一箇所における調査対象の時系列的な変化を見ることが出来ます。私達がプランクトンの採集を行っているのは、阿嘉島のサクバル奇岩群と慶留間島の間の水深 32 m のところです。


研究所の屋上から調査海域を臨む








採集にはプランクトンネットを用います。プランクトンネットには様々なタイプがありますが、私達が使っているのは NORPAC ネットと呼ばれる、長さ 180 cm、口径 45 cm、ネット地の目合い 0.1 mm のものです(目合い 0.34 mm のものもありますが、私達は 0.1 mm のほうを使っています)。


←NORPAC ネットの全容



研究所の舟艇 AMSL-V に採集道具を積み込み、GPS で位置を確認しながら採集定点に向かいます。定点に到着すると、2 kg の錘をつけたプランクトンネットを投入し、ネットに結びつけたロープをウインチの滑車を通して繰り出していきます。ロープを 30 m 出したらウインチのスイッチを入れて、約 1 m / 秒の速さで水面まで巻き上げます。この間、風や潮に流される船を巧みに操船して、ロープが海底に向かってまっすぐになるようにします。








ウインチを回して巻き上げています








曳き終わったネットを回収します。
ネット口部の真ん中にある金属の筒状物は濾水計




ネットを船上に回収して、コッドエンド(集められた試料が溜まる部分)の内容物を全て標本びんに移し、直ちにホルマリン原液を最終濃度が約 5% になるように加えて固定します。ネットの口部には、濾過された水量を測るための濾水計が取り付けられているので、表示値を読み取って記録しておきます。基本的に 1 回の採集で 2 回の曳網を行うので、2 個の標本が出来ます。








集められたプランクトンを標本びんに移しているところ



このようなプランクトン採集が、研究所設立後間もない 1989 年 3 月から現在まで 20 年間に亘り毎月行われています。もっとも、2002 年以前はウインチが無かったため、ネットを人力で曳き上げなければならず、なかなか大変だったそうです。さて、船上で固定したプランクトン標本は研究所に持ち帰るわけですが、それらがどのように保管され、活用されているかは次の機会に紹介しましょう。

Posted by アムスル at 10:49 | 作業 | この記事のURL