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2024年11月30日

2024年11月30日土曜

 フィリピン人女性52歳、症状からは僕個人としては過敏性腸症候群と思ったのだが・・・本人が胃の病気をすごく心配して、現在薬をもらっている医師からも内視鏡での検査をお願いしたいという紹介状を持ってきた彼女。検査を行わないと彼女自身の不安が取れないのと納得しないだろうと推察し、午後から検査を行った。すでにプロトンポンプ インヒビターであるエソメプラゾールを処方してもらっていて、その理由がわからなかった。十二指腸、胃には病変がなく、食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎が認められた。結論としては過敏性腸症候群と逆流性食道炎で、後者はすでにエソメプラゾールを内服しているのでそれでよし。前者はとくに大きな症状が昨日時点では消失していたので、このままようすを見ていていいだろうと・・・そういう返事を紹介してくれた医療機関に書き、今後はそこに通院するようにと話した。すると、初診時とは全然ちがった話が始まった。その医療機関にはたった二回しか受診していないので、こちらで診てほしいと言われた。日本語や英語で話すと返事は返ってくるが、フィリピン人スタッフがタガログ語で説明してくれた時に返ってくる返事の内容とは異なる。やはり母語で説明したほうがいいのだろう。
 アメリカ人男性49歳、米軍基地関係者。抗うつ剤が欲しいのこと。米国の主治医からもらっていたそうで、僕自身が心療内科ではないこと、ゆえに薬の量の調節とかなにか問題が発生した時の対応はできないことを説明し、納得してくれたので全く同じ薬を同じ量で処方した。さらに聴力検査を希望。仕事場に提出しなければならないとのこと。行うと高音域の方がやや聞こえが悪い。以前の仕事を訊ねると、やはり飛行機のエンジンの近くでの仕事だった。英文の診断書を作成し、終了した。
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2024年11月29日

2024年11月29日金曜

 昨日も外国人患者は25人、うち新患が6人と多かった。感染症の増加や予防接種の季節であること、そして会社での健診結果を持ってやってくる人が新患の多くだが・・・
 国籍別ではフィリピン人16人、ペルー人3人、スリランカ人2人、タイ、カナダ、ベトナム、ノルウェー各1人だった。
フィリピン人男性38歳、頭が痛く、めまいがすると来院。血圧を測定すると190/120、高血圧によるものと診断したのだが・・・ときどき血圧を測るとこれぐらいと言う。いやいや、この数字は普通ではないとそこから延々と説明。降圧剤を開始した。
 フィリピン人女性47歳、過敏性腸症候群と診断したのだが、胃が具合悪いと言い張るので、やむをえず、内視鏡検査を予定した。咽頭麻酔だけで無事に終了。大きな病変はないと聞いただけで元気になったと話してくれた。
 フィリピン人女性48歳、ドバイで働いていて、親族を頼って、来日して数か月。血圧は落ち着いたが、胸がどきどきすると言う。心電図では脈拍90、それ以外は全くの異常なし。
ドバイにいる時から降圧剤の一つとしてピソプロロール5mgを内服していたために抑えられていたのだろう。次回は神代用船機能についての検査も行った方がいいと思う。
 スリランカ人男性48歳、いつもの高血圧などの診察にしてはまだ薬があるはずと思って、診察室に入ってもらった。きょうはどうしたの?と訊ねると、少し風邪をひいているという。咳、痰、咽頭痛が軽くあり、熱は測っていないとのことなので、あわてて新型コロナ簡易抗原検査を施行・・・結果は新型コロナ陽性だった。検査の時点で外で待機してもらった。発熱している人は外で待ってください、外から電話してくださいとドアに外から見えるように書いて貼っておいてもこういうことがある。
 ペルー人女性56歳、いつもは高血圧で通院中。発熱と呼吸器症状あり。彼女はインフルエンザが陽性だった。かなりつらそうだった。
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2024年11月28日

2024年11月28日木曜

 26日の外国人患者総数は19人、患者総数が90人だったので、外国人患者は21.1%ということになる。
 25日にやってきたイギリス人男性より電話連絡あり。あれから急いでどこかの医療機関でCTスキャンを撮影してもらったところ、とくに異常なしと言われたとのこと。ドクターからもらった薬がよく効いてよくなったからと伝えてと話して、一方的に電話を切ったそうだ。アルコールを多飲しているとも聞いていたので、採血を行ったのに・・・その結果も聞かないで終わりということらしい。たぶん、IBSなので画像診断に何も異常がないのは当たり前といえば当たり前なのだが・・・こういう方は何が困るかというと、医師の意見よりも自分の感覚、自分の意見、自分のやり方を優先することだ。こちらがそれに異議をはさむ時間もタイミングもない。イギリスの医療については保険診療があるものの、ほとんど機能していないことは知っているし、国民が自分の健康を守るという立場で、自由診療の医療機関に流れるということも知っている。いずれにしても、この手の患者の診療はとてもやりにくい。
 朝から内視鏡検査が二件組んであっていずれもフィリピン人の女性57歳と男性58歳だった。二人とも指定の時間に来てくれてほっとした。ふたりとも大きな病変はなし。
 県内の遠方にある某病院のケースワーカーから電話あり。どうやらときどきやってくるベトナム人男性の件らしいので、僕自身が対応した。もともと心房細動があり、脳梗塞で半身麻痺なのだが・・・入院していた病院で態度が悪く、追い出されるような形で退院。その後はベトナム語に対応できる僕のところで診てほしいと情報提供があった。ところが・・・この病院から処方された薬は一切拒否、ベトナム人スタッフに間に入ってもらい、今後について話し合っても話が通じない。どうやらもともと精神疾患があるようだということがわかった。結局、必要な時だけ痛み止めを取りに来るような状況だった。今回は足の動脈の血栓症だとのことだった。最初の病院から処方されていた、いわゆる血液サラサラの薬を内服していたら、今回のことは回避できたかもしれないと思うと、複雑な気持ちになった。ケースワーカーの方にはすべて、伝えておいた。
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2024年11月26日

2024年11月26日火曜

 23日土曜も休みだったためか、日本人患者だけでなく、外国人患者も多かった25日月曜の診察。外国人患者の内訳はフィリピン人14人、アメリカ人3人、タイ人2人、ペルー人2人、ナイジェリア人2人、ベトナム人、中国人、カンボジア人、アルゼンチン人、ドミニカ人、イギリス人各1人だった。総計29人、日本人を含む全患者数が90人だったので32.2%が外国人だったということになる。
 ベトナム人女性43歳、久しぶりに彼女の話している内容が理解不能だった。彼女の話す日本語がわからなかったのではなく、症状の訴え方や考えていることが、えっ、どうしてそういう結論になるの?という風に理解できなかったのだ。いつも思うことは日本では小学校から保健体育という健康に関する授業があり、皆、同じ教育を受けている。ゆえに健康に対する基礎知識が同類項、理解しやすいのだと思う。ベトナム人に限らないが、このあたりが日本の医師が外国人患者を診ていて、戸惑うことの原因ではないかと結論付けるしだいだ。
 イギリス人男性55歳、腹痛で来院、左の下腹部から背部にかけても痛いというので、検尿を行ったが、とくに異常所見はなかった。彼が指さす「痛い」というところを見ると、いわゆる「あったもこっちも」であり、便通の状態も不安定、排便すると痛みが消失するそうだ。こういうことが1年以上続いているとのこと。話していてがんを心配していることに気が付いた。問いかけてみると、その通りと言われた。症状と病状の長さ、飲酒の状況などを鑑み、機能性疾患を疑うと話すと、IBSか?と言われた。その通りと答えると、なんだか納得したような様子。たぶん、本国を含めたどこかほかの医療機関でもIBSと言われたことがあるのだろう。とりあえず、飲酒が多めすぎで、肝機能を含む血液検査を行い、自費でCEAも検査した。CEAが自費になることを日本の診療報酬制度から説明し、納得してもらった。
 フィリピン人女性69歳、以前は高血圧ほかたくさんの病名で診ていた。肺結核になり、近くの国立病院を受診、そちらですべての薬を処方されることになり、縁が切れた・・・と思っていたが、当該病院より肺結核の治療がすべて終了したので戻しますという文書を持って現れた。内視鏡検査を予約していても、特定健診を予約していても、連絡なくすっぽかす。怒り心頭の寸前だったので、複雑な気持ち。
 診療終了一時間前になり、米軍基地関係の女性53歳来院。9月2日に高血圧や糖尿病の薬を60日分して以来の来院だ。今日はそっちの治療ではなく、膝が痛いという。見ると、右の膝がやや腫れて熱感がある。これは整形外科の分野で僕の専門外だから、整形外科の専門医を受診するようにと話したところ・・・すでに受診して膝を穿刺されたが、逆にそれから悪化したので行きたくないと強く話す。こういうのも困りものだ。準緊急として今回だけ、消炎鎮痛剤を処方するが、これでよくならなかった場合、僕の知っている整形外科を紹介するので、受診して欲しいと話し、了解を得た。そして前回の血液検査の結果について言及した。中性脂肪は567、血糖値は300近くでHbA1Cは8.6、空腹時採血の結果だ。もうとっくに内服薬は終了したはずなので聞いてみてびっくり。何も飲んでいなかったと・・・
それから糖尿病と高血圧、脂質異常症を放置するとどうなるのか?について延々と説明し、最終的に治療をきちんと受けることを確約してもらった。医師が怖いのだそうだ。医師と患者は敵ではなく、同じ病気に立ち向かい、あなたが元気に暮らせるようにそのために苦言も呈するのだよと話すと、ようやくうなずいてくれた。
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2024年11月22日

2024年11月22日金曜

 朝から会社に提出する検診の希望者の予約が3人分入っていた。通常の診療の中で行うので、一日2人が無理なく行える人数なのだが・・・どうしてもこの日に受けなくてはならないというフィリピン人女性がいて、かなり無理を覚悟で3人目として予約に入れた。なのに・・・朝になって、今日は都合が悪くなって行けないと連絡があった。こういう時が一番がっかりする。改めて日程をと言われても本当にやってくるのかどうかわからず・・・かなり無理をして予約に入れたのだということを理解して欲しい。
 このところ、一段と寒くなり、発熱者や喘息も増え、呼吸器系疾患で米軍基地関係者がほぼ毎日のようにやってくる。昨日も47歳男性が喘息で来院。最後に英文の領収書を書いた。本人が加入している本国の民間保険会社に提出するためだ。彼は自費でクリニックの窓口で医療費の全額を現金で支払い、この英文領収書を民間会社に提出すると、医療費の金額が後日、彼の口座に振り込まれるというシステムのためだ。
 フィリピン人女性42歳、会社の検診で肝機能の数値が高いと指摘され、精査のために来院。採血の結果を聞きにやってきた。会社の検診時とちがい、肝機能を示す数値はすべて正常範囲内、HA抗体も陰性。このまま様子を見ることにした。初診時も今回も高齢に見える日本人男性が付き添って来た。なんにも言わず、いっしょに診察室に入ってくる。きっと「関係者」なのだろうとは思うが、英語もタガログ語もわからないようだし、二人での会話がない。黙って隣に立って居られても、こちらが当惑する。せめて自己紹介とか、こういう関係なので話を聞かせてほしいとか先方から言ってほしい。こちらがあんたはだれ?と訊ねたら愉快ではないだろうから。もっと厳密にいえば、結果を本当にいっしょに聞いてもらっていいものなのか、もっと重大な事象なら問題になるだろう。
 昼休みにフィリピン国籍で昨年から来日し、県立高校に通うお嬢さんが、日本語の教員とともに面会にやってきた。この日本語の教員は日系ベルー人で、本人やお母さまや一族を患者として長く拝見している。はじめ、面会の意味がよくわからなかったが、日本で医師になりたいのだと聞かされた。とても利発で、来日してわずかに1年半で、日常の日本語会話はほぼ理解できるようになっている。日本で医学部に合格することはかなりの難関だ。それを知ってもがんばりたいと言うのなら、ぜひやり遂げてほしい。
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2024年11月21日

2024年11月21日木曜

フィリピン人女性39歳、会社の検診の結果を持って来院。指摘されたのはHbA1Cの高さと脂質異常症、血圧は正常範囲内。かなり太っていて、BMI 26を超えている。訊ねてみた。フィリピンでは自分が周りより太っていると思っていないよね右矢印1はい、そうです。もしかして太っている方が健康と思っているんじゃない右矢印1はい、そうです。ようするに太っていることに違和感?を感じていないということだ。こういう人に食事療法を説明することは並大抵ではない。なぜ、日本人は長生きだと思う?というあたりから話を始め、BMIを25以内に落とし、脂質代謝を正常に近く保つことが大切と説明をした。
 ブログを書いてからメールをチェックしていたら、おや?と思うメールを発見。差出人はずっと僕が拝見していてベルーに帰国した日系ベルー人の男性のお孫さんであるお嬢ちゃんだった。利発なお嬢ちゃんで幼稚園に入る前あたりから僕のクリニックに通院してくれていた。タイトルにこの男性の名前が入っていたので、もしやと思ったら・・・いやな勘は当たっていた。流ちょうな日本語としっかりした文章で、彼が今日の朝、亡くなったと伝えてくれた。高血圧があり、いつかはこういう日が・・・とは思っていたが、悲しさがこみ上げた。チョコレート工場に勤めていたころは診察に来るたびに会社で配られるチョコレートを持ってきてくれたり・・・仕事がなくなり、ベルーに帰国した後も日本にやってくるたびに寄ってくれたり・・・彼がいう「せんせい」という下下がりの発音が忘れられない。彼には医療って心と心と教わったような気がする。彼の命取りとなったらしい二つの病気には共通点があり、きっとひとつの原因が心臓にあったためなのだろうと推察した。あくまでも推察だが、日本に残っていたら、この原疾患の治療ができたろうとついつい残念に思ってしまう。ご冥福を祈りたい。
お嬢ちゃんのほうはというとたしか、高校まで日本ですごし、大学はペルーに帰ってからと記憶しているが、メールの文章の構成力と正確さを目の当たりにすると、日本で就職しないのがもったいないような気がする。来年、日本に行ったら、先生のところに寄りますと書いてあったので、楽しみに待ちたい。
少し驚かされたのは、彼女のおじいちゃんについて書いたセンターのブログの文章をメールにコピーして貼り付けてくれていたことだ。二人が最後に僕を訊ねて来てくれた2023年2月18日の翌日のブログだと思う。地球の裏側からでも見ていてくれたのかとうれしくなった。
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2024年11月19日

2024年11月19日火曜

月曜日にしては外国人患者数があまり多くなかった一日。急に寒くなったためだろうか。
日本人も外国人もインフルエンザに罹患する人がちらほら増えて来た。
 外国人の新患はフィリピン人女性58歳のみ。先週のはじめから咳と痰、二日前から急に咳が強くなってきたとのこと。新型コロナの検査のみ行った。インフルエンザに罹患して発熱がないということはないだろうと判断したため。結果は陰性、通常の「風邪」として処方した。インフルエンザの予防接種を受けている人については典型的な高熱、体の痛さとか出ないこともあるので、ワクチン接種歴があるかないかでインフルエンザの検査もすべきかどうかを判断しなければならなくなるだろう。
 フィリピン人男性31歳、以前に痛風歴あり、尿酸値も高く、尿酸を下げる薬を処方していたのに・・・いつしか来なくなってしまった。今回、再び、足が痛いと言うので、痛風発作の再発かと思ったが・・・一日で痛みは消失してしまったとのこと。痛風ではないと思ったが、尿酸値はチェックしておこうと採血させてもらった。
 結局、外国人患者はフィリピン人6人、韓国人ム1人、カンボジア人1人、スリランカ人1人、カナダ人1人だった。

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2024年11月18日

2024年11月18日月曜

16日の土曜日は25人の外国人患者。4時間で26人ということは1時間に6.5人ということで・・・総患者数が67人だから、患者の38.8%が外国人だったということになる。これが土曜の日常で、気がつけば定時通りに午後1時には診療が終わっているというのがすごい。
 26人のうちわけはベトナム人9人、フィリピン人8人、ペルー人2人、アメリカ人2人、
イギリス人1人、インド人1人、ネパール人1人、タイ人1人。
 16日がベトナム人スタッフが来てくれる土曜日だったので、ベトナム人の診察はできるだけ、彼女が来てくれる日に合わせるようにしている。万が一、彼女がいない日に来てしまい、日本語に問題がある場合は、電話で対応してくれるので助かる。9人のうち、3人は子宮頸がんワクチンの接種、6人は診察。
25歳の女性は胃が具合悪いということで内視鏡検査を予定していたが、時間通りに来てくれた。咽頭麻酔だけで内視鏡を挿入することができたが、やはり初めての内視鏡検査、恐怖感があったようで、検査するこちらも緊張した。とくに大きな問題はなかったが、ピロリ菌が陽性だった。ピロリ菌がいつごろなぜ、住みついたのかとか、ピロリ菌の存在によって何が起こるのかなどについて説明。除菌療法として一週間処方することや下痢など薬の副作用、そしてその後の呼気テストのことや、呼気テストの結果が陽性の場合には二次除菌が必要なことも話した。このような内容を説明し、理解してもらうためには熟練の通訳スタッフが絶対的に必要だ。ポケトークでなんとかなるとは思えない。また、有料の通訳サービスを利用した場合の費用についてはかなりの高額になってしまうだろう。
今、診療報酬は上がらず、上場企業のペースアップの話が華々しく報じられるたびに、苦々しい思いに駆られる。医療機関は勝手に診療報酬点数を上げるわけにはいかない。ある意味、医療機関の収入は国家統制されていて、2年に一回の診療報酬改定も実質的には改定ではなく、点数が下げられたり、項目がなくなってしまう改悪だ。とくにこの4月の改定では糖尿病、高血圧、脂質異常症が特定疾患から排除され、あらたに生活習慣病というくくりに入ることになってしまった。明らかに減収である。さらに厚労省が推し進めるマイナンバーカードでの保険証利用や電子処方箋への対応、それに伴うウィルス対策強化などで、医療機関から関係企業への毎月のシステム管理料は僕のクリニックレベルでも月に10万円を優に超えている。この上、外国人を診察することで通訳料など医療機関が費用を負担することについては医療機関の抵抗が大きいはずだ。
最近、思うことだが、外国人を積極的に受け入れていくためのシステム作りはそこそこそろったという気がする。ではそのシステムをどのように利用していくかというところで、医療機関側に金銭的な負担がかかる等で、二の足が踏まれている、そのような印象を強く受ける。日本語ができず、意思疎通が難しく、さらに習慣も考え方もちがい、診察に日本人以上に時間がかかる外国人患者を診るために医療機関がお金を負担する、結果として日本人1人を診るよりも収入が少ない、そりゃおかしいと医療機関が考えるのは当たり前だろう。このような費用を外国人患者から徴収するというのも外国人患者にとって、とくに日本の公的保険制度に加入している外国人にとっては抵抗が強いはずだ。実際に、費用負担の話をするとでは通訳は不要と答える外国人がかなりいると聞いた。
結論はこのような負担は公的資金で行うべきで、その原資は恒久税であるいわゆる出国税に求めるべきだと思う。
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2024年11月16日

2024年11月16日土曜

 フィリピン人男性53歳、とくに大きな病気はなく、毎年のがん検診や特定健診をきちんと受けている。胃がん検診としての内視鏡検査が予約となっていたので、時間通りに来てくれるか、一抹の不安があったが・・・時間通りに来てくれた。検査は麻酔してくれないとできないと言うので、サイレースを10%に生食で薄めて静注。すぐに寝てしまった。フィリピン人の奥様がいっしょに見たいと話していたので、この時点で内視鏡室に入ってもらい、観察をした。とくに大きな病的所見はなく、内視鏡を抜去した後にアネキセートの静注で麻酔を醒ました。静注後、2分程度で睫毛反射を確認できたので、名前を呼んだところ、目をあけてくれた。「これからですか?」と言うので、「終わったよ」と返事すると・・・これじゃ、内視鏡検査、やってなくてもわからないねと笑っていた。今日はベトナム人女性34歳の内視鏡検査が予定されている。ベトナム人スタッフがいる日ではないとできないというわけで今日になったわけだが、初めての検査だということで少々心配している。
 ペルー人男性65歳、発熱で来院。新型コロナもインフルエンザも陰性。症状に合わせて内服薬を処方。
 アメリカ人女性52歳。米軍基地の中から来院。受付でフィリピン人スタッフに甲状腺の問題で来たと話していたという。診察室で具体的な話を聞いたところ・・・米国にいた昨年、体がだるくて甲状腺ホルモンのチェックを採血で受けた。すると甲状腺ホルモンが低下していると言われて、レボチロキシンを一日一回、一回一錠内服するように処方されたという。病気の名前は何?と訊ねたが、わからないと話す。慢性の・・・と言い出したので、慢性甲状腺炎、別名橋本病ではないかと言ってみたが、わからないとのことだった。来日したのが6か月前で、以後、レボチロキシンを内服しておらず、体のだるさがあるためにやってきたと教えてくれた。まずは甲状腺ホルモン関係の採血を行い、低下していればレボチロキシンを内服した方がいいと提案した。頸部を触らせてもらうと甲状腺の右側がやや腫大しているような気がした。日本にあと5年いる契約で来たのでと話すので、きちんと診断、治療をしなければいけないと思った。最近、以前にも増して米軍基地から患者が来ている気がする。なぜ、僕のクリニックまで来たのか?と訊ねたら、基地内の会社の上司から勧められたという。名前を聞いたら、彼も患者の一人だった。ということは悪くは理解されていないのだなとほっとした。
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2024年11月15日

2024年11月15日金曜

 昨日もバングラデシュから一昨日来日した7か月の男児を含めて3人が新型コロナ感染者と判明した。10月は一か月で6人しか陽性者がいなかったのに、11月はすでに9人、それも8人が今週になってからの陽性者。あきらかに新型コロナが再び、増加に転じている。過去の波から推察すると、今月、12月と増えて1月にピークに達すると考えている。
 昨日はかなり深刻な例があった。フィリピン人女性32歳、4日前から食欲がない、頭が痛い、吐き気がするとやってきた。話が長くなりそうな気がしたので、奥の診察室で話を訊ねていくと、どうも頭痛にしても要領を得ない。筋収縮性かと思えば片頭痛のような症状も訴える。そのうちに、黙りこくってしまった。フィリピン人スタッフがメンタルみたいと言う。彼女の顔を見ると、目に涙、体が小刻みに震えていて、大腿部を抑えても不随意運動のように止められない。ふと、彼女の右の前腕の内側に傷を見つけた。手を捕まえて、よく見せてもらうとリストカットの跡だった。あまり、時間は経過していないと見た。理由を聞くと・・・来日して数か月、介護施設で働いているそうだ。就労目的でやってきたというので、実習生や研修生ではなさそうだったが、不明。日本語はかなり上手ではあるが、細かいことを表現するのは苦手なようだった。この日本語は来日してからではなく、フィリピンにいる時に勉強したと話してくれた。フィリピン人スタッフが職場のいじめがつらいと話しているという。どういうことがあったのかを具体的に訊ねた。すると、日本人の同僚が彼女のことを日本語が理解できないとからかう、彼女の目の前でほかの日本人スタッフに日本語ができないと話すということだった。これは大変なことが進行していると思った。まず、何も食べていないし、飲めないというので点滴を施行。かなり泣いていた。心療内科の薬を飲むことは問題の解決にはならないので処方しないと説明し、今回の件を職場に報告してもよいかと訊ねると、いいという返事。彼女の携帯から電話してもらったが、電話に出て来た彼女たちの責任者というのが会計担当者だったので、仕事の現場の担当者に代わってもらった。担当者には事情を説明、フィリピン人の彼女の話がすべて真実かどうかはわからないが、現在の状況とリストカットは現実であると話し、フィリピンに帰国したいと思い詰めていることも追加しておいた。ぜひ、必要な手段を講じて欲しい。日本人の同僚や上司がいじめなどとは思えないようなことでも本人にとってはいじめと受け取れるようなことはありうる。こういうケースを直視して職場で改善していかなければ、外国人のいる職場で同じようなことがおこりかねない。それは人手不足に悩む政府も企業も望むところではないはずだ。
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