• もっと見る

2023年12月28日

令和5年12月28日木曜

 フィリピン人女性57歳、先日、採血した結果が戻って来ていて、「お呼び出し」に応じて来てくれた。甲状腺機能亢進症があり、もともとフィリピンの医療機関から彼らの処方通りに処方を続けてほしいと頼まれた患者だ。その内容はチアマゾールを毎日3錠内服であったので、当初から維持量としては多すぎるのではないかと思っていた。困ったことになかなか採血する機会を与えてくれず、長期処方を希望し、心配はしていたのだが・・・今回の採血の結果、TSHは跳ね上がり、FT3もFT4も正常下限をかなり下回った数値となっていた。データーを説明し、一日量をまずは1錠とする、すなわち2錠減らすと話すと、下を向いて顔をおおって泣き始めた。どうして泣いているのか?と訝しく思って尋ねたら、うれしいと一言。病気が治る方向なんでしょ、ドクと言われた。
 今年の診療も今日28日まで。年末になり、新型コロナはゆっくりと増加傾向。インフルエンザは底が抜けたように急増している。きょう28日は木曜で、開業医は全般的に木曜日休診が多い。あと1時間半程度で今日の診療が始まるが、発熱者が押しかけて来るのではないかと恐ろしい。
 年末に年上の大切な友人が整形外科領域の手術を受けた。その関係でいろいろと調べてみたら、銀座あたりに保険診療を受け付けない、整形外科領域の手術を行う医療機関がいくつかあることを知った。いずれも設立からあまり時間が経過していない。どうやらターゲットは国保や社保を持たない訪日外国人らしいと想像できた。いわゆる観光しながら医療も受けるというメディカルツーリズムの範疇らしい。きっと訪日前に医療滞在ビザを取得してやってくる人たちがメインのターゲットではないのだろう。大切な友人は一日入院の手術のはずだったが、術後の経過が思わしくなく、術後11日を経て、ようやく歩行器で歩くリハビリを行っている。年末年始は入院生活を余儀なくされてしまう。彼が受けたような「先進的医療」であっても、合併症が出てしまうと、退院までの期間が泥沼化しかねない。短期滞在ビザでやってきた外国人がこのような状態になったとき、ビザの更新を申請せざるをえない状況になることも十分に考えられる。健診ならともかく、治療、とくに外科的治療を要する場合はやはり医療滞在ビザを取得しての来日が王道だと思う。
posted by AMDA IMIC at 09:12 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)

2023年12月26日

令和5年12月26日火曜

 昨日、僕が診察した発熱患者のうち、A型インフルエンザ陽性の方が14人。小児科で診察した陽性者を併せると24人。A型インフルエンザの患者数が爆発的に増えている気がする。普通は学校が冬休みに入ると、感染はやや収まる傾向になるのだが、今年に限ってはそうではないようだ。みんなが感染症に弱くなったということなのか・・・急性感染性腸炎の患者も一日で4人。なにかが変だ。
 南隣のF市に在住のベルー人夫婦。いずれも発熱、いずれもA型インフルエンザ陽性。内服薬の処方と今後の生活についての指導。
 ベルー人女性75歳。心筋梗塞で市内の循環器専門病院を受診してなんとか乗り越えた方。状態が落ち着いているのでいつもの高血圧の診療に際して、内服薬の処方を頼まれている。ようやく年末までがんばったねと同行の家族と話した。来年もよろしくとあいさつされたが、こちらの体力等を考えるといつまで「来年も・・・」とあいさつを受けることができるのだろうか。
 発熱しているフィリピン人女性21歳、男性20歳を連れてフィリピン人の母親が来院。まずはお子さん二人の新型コロナ、インフルエンザの抗原検査を施行。弟は陽性、姉は陽性反応は出なかったが、感染している可能性が極めて高い。姉がどうしよう?と不安げな顔つきでつぶやくので、理由を訊ねると・・・いま、大学の看護学部の3年生で、あすには実習が入っているのだそうだ。実習に行っていいわけがないことを説明、そしてインフルエンザの場合には普通の風邪とは異なり、休み扱いにはならないことを伝えて、まずは担当教員と連絡を取ってインフルエンザに感染していることを伝えるようにと話した。この姉は母親からしっかりタガログ語を学んでいて、将来、さらに国際化が進む時代の医療に欠かせない人材になる気がする。
 フィリピン人女性57歳、食欲がない、体がおかしいとやってきてから早や2週間。引き金になったのが好きだったフィリピン人男性に「振られた」からというのはフィリピン人スタッフから聞いて知っている。せがまれて行った採血の結果を説明した。肝機能、腎機能、血糖値は異状がないが、中性脂肪は正常範囲の上限をかなり上回っている。血圧もまったくの正常範囲内。これで納得して帰ってくれるかなあと思ったら・・・食べられないので点滴をしてほしいと言い出した。食べられないというのだから、拒否をする理由はないが、どうみてもどこかに大きな病気があるとは思えない。いよいよ、心療内科の出番かもしれない。
posted by AMDA IMIC at 09:12 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)

2023年12月25日

令和5年12月25日月曜

 寒さもピークに達したと朝、車内のテレビから。フロントガラスが凍っていた。
 フィリピン人女性46歳、会社の検診で異常値を指摘されたと来院。差し出された検診の結果を見ていくと・・・LDLコレステロールが158(正常上限119)、血糖値が121(正常上限99)とやや高い。これぐらいの異常値でやってきたのか、フィリピン人としては珍しい・・・などと思ってよくよく見ると、検針日は2023年10月。案の定、彼女が取り出してきたのは今後の経過等について会社に報告する用紙。僕が記載しなければならない。要するに異常値があれば、医療機関を受診し、治療方針等を確認して用紙に記載してもらい、会社に提出するという流れになっているのに、無視をしていたのだ。今回、会社から〇月〇日までに必ず提出することと念を押され、たぶんだが彼女自身の意思に反してやってきたというわけだ。だからさほど数値が悪くないのに僕のところまで来たのだろう。食事をしてきたというので、まずは食事療法について説明し、1月明けてから朝食は取らず、水以外は飲まずに来て採血をしようと話して、会社への用紙に医療機関を受診したことを記載した。記載した用紙をゲットしたことで彼女のとりあえずの目的は達したわけだ。さあ、1月になってほんとに採血に来てくれるかどうか?
カナダ人女性34歳、指のささくれを自分で処理していたら、痛くなってきたと来院。見ると発赤してわずかだか腫脹している。細菌感染を引き起こしたのだろう。抗生剤の内服を処方。これでも痛みが強くなるようなら膿が溜まってしまった可能性があるので必ず来院するようにと伝えた。もうひとついいですか?と問われた。手の掌から指にかけて荒れてしまったようにひび割れて痛くなるのだという。角化症と判断し、ウレアクリームを処方した。
 ペルー人女性54歳、発熱と呼吸器症状で来院。新型コロナが陽性、インフルエンザは陰性だった。ことしの診療も今日からあと3日を残すのみ。
posted by AMDA IMIC at 09:14 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)

2023年12月23日

令和5年12月23日土曜

 フィリピン人女性49歳、あまり高くない発熱と咽頭痛で来院。新型コロナは陰性、インフルエンザはA型が陽性。ここのところ、インフルエンザに罹患した外国人患者にはオセルタミフルやリレンザのように5日間連続で使用しなくてはならない薬を避けて、1回20mgを2錠(80kg以上の人は4錠)を飲めばそれで完結するゾフルーザを処方している。医学的な理由というより、常日頃の内服薬を僕の指示通りに内服してくれない「確信犯?」が多すぎるので、当日内服したらそれで終わりという薬のほうが効果的と考えたからだ。
 アメリカ人男性48歳、近くの米軍基地から来院。ゆえに保険外診療となる。高血圧である薬を内服していたが、最近、小さな発疹が皮膚に現れるようになったため、内服している降圧剤の副作用か?と疑って来院。血圧は高めだが、正常範囲内にあり、降圧剤がよく効いていることがわかる。ほかに疾患はないとのことだが、念のために腎機能にやさしいというARBから一種類、処方しておいた。すると今までは6か月分処方してもらっていたので、6か月処方して欲しいと言う。できない、いやしないほうが良いと断った。次に理由を解説、今回の薬で副作用、合併症が出ないという保証はないし、治療効果も確認したいので、まずは一か月処方して経過を見せてほしいと話した。なるほど、その通りだと納得してくれた。いずれ採血もしてみないと手探り状態で薬を使うことになり、不安を覚えた。
 ナイジェリア人男性53歳、処方薬について僕の前で話したことと、調剤薬局で話すことがちがうことが多く、必ずと言ってよいほど、診療を終えてしばらくすると近くの調剤薬局から問い合わせの電話が来る。具体的にはあれはいらない、これがいるという処方して欲しい内服薬の種類についてだ。血圧もそれなりに安定しており、いつものように4種類の内服薬を処方箋に記入。さあ、いつどんな電話がかかってくるかと構えていたら、今回はとうとう電話がかかってこなかった。余っていた薬もすべて飲み終えたということなのだろうか。彼の場合に一番困ることは、自己流の解釈で薬を内服することだ。慣れていないと理解不能に陥ることだろう。
posted by AMDA IMIC at 09:38 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)

2023年12月22日

令和5年12月22日金曜

フィリピン人男性41歳、検診をしたいと数日前から予約あり。内容は胸部レントゲン撮影、心電図、検尿と採血。これに聴力、視力が加わればまるで就労の際の検診内容となってしまう。それにしても自費でこれだけの検診を行うとは・・・と思い、問診時に訊ねてみた。すると驚くべき話だった。検診だから国保や社保なしで検査しているのではなく、持っていないと言うのだ。不法滞在か?と訊ねると、そうだと言う。ではなぜ検診を受けるのか?と訊ねると・・・すでに入管に出頭していて帰国日を待っている状態なのだそうだ。帰国してからフィリピンの医療機関に行って検診を行うと、もっと高額になるかもしれないので、日本にいるうちに安いところで自分の体をチェックしておきたかったとの話だった。たしかに僕のクリニックは自費診療は保険診療の10割で一番安いグループに入ると思うし、フィリピンでは医療機関によって金額にかなりのばらつきがあり、フィリピンで医療を受けたとか検査を受けたというフィリピン人に話を聞くと、金額は僕のクリニックの料金より高かったりするので、彼の考えはまちがっていないかもしれない。
 米軍基地からやってきた米国人男性28歳、父親が付き添って来た。何も事前に連絡なしに発熱して4時間程度で来てしまった。呼吸器症状あり。発熱後4時間で新型コロナの抗原検査やインフルエンザの抗原検査を行っても正確なデーターが出ないであろうことを伝え、症状があるならまずそれに対する内服薬を処方、検査を受けたいのであれば、翌日の朝、改めて来てほしいと話した。それでよいとのことでまずは症状に合わせて内服薬の処方を行った。
 昼休みの直前に小児科の待合室を通ったら、ナイジェリア人の父親と3歳ぐらいのお子さんがソファに座って順番を待ちながら、遊んでいた。心がほっとする風景。
 午後になりフィリピン人男性32歳、発熱と呼吸器症状で来院。新型コロナは陰性、インフルエンザはA型が陽性だった。かなりがっかりしたようす。日雇いで休むと賃金が出ないかもしれないと。
 フィリピン人女性49歳、紹介されて手術は終わったけど、そこで血圧が高いと言われたという。話がつながらない。手術目的でどこかに紹介したなんてカルテの記載もない。こういうケース、少なくない。前後関係を確認するために訊ねなければならない。わかったことは検診で貧血を指摘されてやってきたので、僕が上部消化管の内視鏡検査を行って、異常はなかったこと。それで婦人科に貧血の原因となる疾患があるのかないのか、受診するように話したこと。ここまでだ。そして訊ねていくと、その先があった。いつも行く婦人科があるのでそこを受診するというので診療情報提供書は書かなかった。その婦人科で子宮筋腫を指摘され、それが手術適応ということで近くの国立病院を紹介され、そこで手術を終えたが、血圧が高いので、今後の治療をどこか、知っている医療機関で受けるようにと言われたとのことだった。このような謎解きは診療に必須だが、ややこしい。時間がかかる。僕が訊ねている間、先方も言いたいことを言うので、脈絡がわからなくなってしまう。ついつい、「待て、まずはこちらの質問に答えてくれ」と叫んでしまう。
posted by AMDA IMIC at 08:50 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)

2023年12月21日

令和5年12月21日木曜

 インドネシア人女性24歳、発熱と呼吸器症状で来院。日本語がとても上手。一昨日に新型コロナ陽性と診断したインドネシア人女性と同じ部屋に住んでいるという。念のためにインフルエンザも含めて検査を行ったが、新型コロナが陽性だった。11月の新型コロナ陽性者は9人、10月が27人、12月は20日の時点で21人、やはり増加傾向はまちがいない。
 ペルー人男性65歳、すごく心配性。3日前に発熱と呼吸器症状でやってきて、新型コロナとインフルエンザの抗原検査を施行。ともに陰性。風邪と診断して症状に合わせた内服薬を処方した。まだ、発熱があり、症状も改善しないという。新型コロナやインフルエンザは重い病気で治るのに時間がかかり、風邪ならなんてことはない病気ですぐよくなるはずと思い込んでいるようなので・・・単なる風邪の場合は症状に合わせた内服薬を飲むしかないので、人によっては治るまでに時間がかかる、インフルエンザはオセルタミフルやゾフルーザやリレンザというインフルエンザウィルスを直接やっつける薬があるので、はじめは症状は重くても、治るのはむしろ早い傾向があると話した。それでも納得してくれず、渋々、再度新型コロナとインフルの抗原検査を行ったところ、やはり陰性。ようやく納得してくれた。
 ドミニカ人女性53歳、8月に採血し、血糖値、HbA1Cを検査して、まったくの正常値だった。今回は喉がかわくというようなことを言い、「兄弟5人のうち、自分以外の4人がみな糖尿病なので糖尿病の検査をしてほしい」と迫って来たのが数日前。このような勝手な思い込みで保険診療を行うのは医師として本意ではない。上のペルー人男性の件もそうだが、医療費の無駄遣いと思う。4か月前の血糖値とHbA1Cの値は正常上限に近いのではなく、まったくの正常値だった。それが4か月で口喝を訴えるほどの糖尿病になっているとは通常は考えられないからだ。数日前にやってきたときに何を言っても納得しないので、やむを得ず、検査。結果を聞きにやってきたのだが、今回も案の定、ともにまったくの正常値。データーについて説明し、糖尿病はないと話すと首をかしげて納得できない様子で席を立って行った。このようなケース、文化や考え方のちがいというより、日本に比較して健康や病気に関する個人の知識に差が大きいということなのだろう。
 南アフリカ出身の白人男性27歳、発熱で県内の比較的遠方より来院。検査結果は新型コロナもインフルエンザも陰性。どうしてこんなに遠くまで来たの?と訊ねたら、近くで英語が話せる医師を探したら見つからなかったからと答えてくれた。そんなはずはないのだが・・・県のホームページにアップロードされている医療情報とは異なるということか、あるいは日本語で書いてあるために彼らには理解できないということなのか・・・なんだか申し訳ない気分になった。そもそも、外国語対応ができるのかできないのかということが日本語だけで記載してあるなら、だれのために書いてあるのだろう?
posted by AMDA IMIC at 09:03 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)

2023年12月19日

令和5年12月19日火曜

 スエーデン人女性37歳、頻尿と排尿時痛で他院を受診、「おしっこはきれい」と言われ、尿路系の感染症は否定されたけど、症状は悪化しつつあると先週の金曜日にやってきた。左の下腹痛も連動してあるそうで、これはもう泌尿器の専門医に診てもらうべきと考え、そのまま近くの専門医に紹介状を書いた。診断はやはり尿路系の感染だそうで、処方された抗生剤を内服して症状はかなり軽くなったと話してくれた。専門医で行ったエコー検査で大腸内に大きな便のかたまりがあると言われたそうで、緩下剤を処方して欲しいと言われた。聞けば便秘症は以前からあったようで、恥ずかしくて言えなかったとのことだった。
 インドネシア人女性24歳、前日から発熱して来院。新型コロナとインフルエンザの抗原検査を行ったところ、新型コロナが陽性だった。
 アメリカ人男性34歳、北隣のS市から来院。3か月に一回、甲状腺機能低下症でやってくる。いつものように処方し、次回は採血して甲状腺ホルモンを検査すると伝えた。
 米国やアジアのいくつかの国でオミクロンの新たな変異株による新型コロナの感染が増えていて、入院患者も増えているという記事を読んだ。国内でも微増しつつあり、五類になったことで、現在、どのような変異株が感染の中心を占めていて、どのような変異株があらたに増えつつあるのかというタイムリーな情報がないことに不安を覚える。インフルエンザはすでにA型の流行に加えて、B型も散見されるようになってきている。医薬品は咳止めや去痰剤が圧倒的に不足しており、さらに新型コロナやインフルエンザの検査キットさえ入手しにくくなっている。年末年始に向けて、悲壮な思いで臨んだ2年前、3年前を思い出した。
posted by AMDA IMIC at 11:23 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)

2023年12月18日

令和5年12月18日月曜

 16日土曜日も外国人患者多数。僕が診察しただけで18人、小児科を加えると30人ははるかに超えていた。
 ベトナム人男性35歳、研修生か実習生らしい。南隣のF市から来院。雇用主が心配してついてきた。事前に彼の問題は聞いていた。健診を受けたところ、胃の透視で胃の上部に粘膜下腫瘍があるのではと診断され、内視鏡検査を受けたいとのことだった。というわけでわざわざベトナム人スタッフがやってくる土曜日に内視鏡検査を組んだ。咽頭麻酔だけで十分、検査ができた。指摘部位を含め、よく観察したが、粘膜下腫瘍はなし。とくに異常なことはなし。検査中、雇用主にも検査室に入ってもらい、画像を直接見て確認してもらった。検査後、本人に画像を見てもらいながら説明。なんでもない、心配ないと話すとようやく笑顔になった。
 フィリピン人男性34歳、以前からかなりの心配性であったが・・・今回も胸が痛いと来院。血圧は異状なく、脈拍も正常、胸部写真も異状なし。気になることがあると胸が痛くなると自分でも話していた。処方はせず。
 台湾人女性79歳、夏ごろだったか、ご主人が他界。精神的にはようやく落ち着いてきたようだが、ご主人の世話という生き甲斐がなくなったためか、少し認知症的なところが見られてきて、心配。
 フィリピン人女性58歳、高血圧と糖尿病で県央のA市から定期的に受診している。お正月を前に春巻きを大量に持ってきてくれた。ただし、揚げないと食べられないそうだが、くださったその気持ちに心から感謝。病状も落ち着いている。似たような名前の人がいて、その話をしたら、ベトナム人スタッフから一言。ベトナム人患者を33年近く診てきた僕には衝撃的な一言だった。似たような名前、それは一つはベトナム人の苗字が日本人ほど多くなくて、グエンやトランが代表的。そして「バン」は男性を表し、「ティ」は女性を表すということ。だから女性に「トランティ〇〇」、男性に「グエンバン〇〇」のような名前が多い、すなわち似たような名前が多いということなのだそうだ。
 台湾人男性29歳、便といっしょに血液が出たと来院。以前も内痔核で診察したことあり。肛門鏡を使って拝見するとやはり内痔核がかなりあり。便は便で出て、血液はそれに付着しているとのことで肛門のすぐ近くから出血していると判断。直腸指診でも異状なく、内痔核として治療を開始した。
 ドミニカ人女性53歳、久しぶりに理論が通じない人を説得する難しさを感じた。甘い物を食べた後に冷や汗が出る、めまいがする、兄弟5人のうち、一番下の自分を除く4人が糖尿病なので自分もそうにちがいないと言う。実は8月にもその前は2月にも採血していて、その結果は血糖値が100以下、HbA1Cも5台とまったくの正常範囲内。体重も変化なし。糖尿病に違いないと主張する。なんとも説得しようがないので、空腹時であることを確認して採血した。
posted by AMDA IMIC at 10:10 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)

2023年12月16日

令和5年12月16日土曜

 前日、準緊急で内視鏡検査を予約したカンボジア人女性28歳、指定した時間にきちんと来てくれた。ちょうど長年、拝見しているカンボジア人女性60代が待合室にいたので、彼女を紹介したところ、60代の女性のほうが目を輝かせて話してくれた。28歳の女性のほうはカンボジア語はなんとか聞き取れるが、自分では話せないということでけっきょく日本語の会話になってしまった。その彼女、無事に内視鏡検査を終えることができた。とくに大きな病変はなく、仕事上お酒を飲むというので、膵炎を疑ってその後採血、採尿を行った。
 ペルー人女性28歳、発熱で市内の遠方より来院。新型コロナは陰性、A型インフルエンザが陽性だった。
 アフリカ某国の男性33歳、国保の保険証が都内になっていた。町田まで来たので受診したと。咳、痰、咽頭痛あり。新型コロナとインフルエンザの抗原検査を行ったが、ともに陰性。通常の風邪と考えて処方したのだが・・・続きがあった。寝ているときに呼吸が止まっていると友人に指摘されたので耳鼻科に行きたいとのこと。どうやら彼にとってはこちらの問題のほうが気になってやってきたようだとわかった。ただ、どこの医療機関を受診しようとしても咳、痰、咽頭痛では新型コロナとインフルエンザの検査は勧められるだろうし、中には陰性が証明されないと診ないというところもあるかもしれないので、結果的には検査しておいてよかったと思う。日本語はまったくわからないというので、とりあえず宛先を指定せずに耳鼻科あてに紹介状を書いておいた。最後に保険のための支払い証明書を求められた。国保に加入しているのに、さらに民間の保険に加入しているとは・・・と不可解な思いにかられながら、いつものように海外の保険会社宛ての英文の支払い証明書を書いた。それでも腑に落ちず、在留カードなど含めて再度、よくチェックするようにと事務に指示したが、帰った後、事務から聞いた話では「日本なんとか財団」に提出する書類であったらしい。たぶんだが、この財団は留学生などに対して国保の自己負担分のすべてではないが、かなりの部分を肩代わりしている財団のことだろうと思う。久しぶりにこのような話を聞いて一瞬、よくわからなかったが。それなら英文で書類を作成する必要はなかったし、独自のフォーマットがあったのではないかと思う。
posted by AMDA IMIC at 11:16 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)

2023年12月15日

令和5年12月15日金曜

 フィリピン人女性57歳、一週間ほど前に初診。独身じゃないはずなのだが、付き合っていた「素敵な」男性と別れることになり、心臓が苦しく、食欲がないと来院。胸部レントゲン写真でも心電図でも異常なし。自律神経失調症を疑って処方したのだが・・・それから一週間、今度は「素敵な」彼氏が見つかり、どきどきする、寝られないと来院。明らかな精神疾患はないようだが、困ったものだ。点滴をしてほしいと言うので、500cc施行。機嫌よく帰って行った。狐につままれた気分。
 ベルー人女性62歳、軽度の発熱と呼吸器症状で来院。インフルエンザは陰性、新型コロナが陽性。結果を告げてキットを見せてあげたが、予想外のことであったらしく、かなり動揺していた。
 カンボジア人男性61歳、定住目的でインドシナ難民として受け入れられてすでに40年近くなるはず。この10年ぐらいはカンボジアと日本の間を行き来して商いをしているようだが・・・なかなか血液検査をさせてくれない。今回も前回からすでに半年近く経過している。内服の意味があるのかないのか、何を考えているのか、よくわからない。
 午後になり、心窩部痛で27歳女性来院。お酒もかなり飲むそうで、胃十二指腸の病気、膵炎が考えるべき疾患になりそう。年末でもあり、痛みがつらそうなので、翌日である本日、午後から準緊急で内視鏡検査を行うことにした。当初は検査をいやがり、怖がっていたが説明して納得してもらった。内視鏡検査の説明をしていて、外国人でもきちんと検査終わるのだよ、そんな心配な検査ではありませんと話すと・・・先生、私も外国人なのと言い出した。名前は全くの日本名。どこの国?と訊ねると、カンボジアと答える。インドシナ難民として日本に定住目的で受け入れられたカンボジア人のこどもと分かった。彼女自身は日本で生まれたそうだ。いろいろと話していくうちに、彼女の母親は難民として日本にたどり着いたその過程や定住促進センターのことについて彼女にほとんど話していないことがわかった。僕の立場では自分史のために覚えていてほしいが、彼女の母親にとってはあまり話したくないつらい過去なのだろう。僕が定住促進センターの医師を務めていたと話すと、目をまんまるくして、打ち解けてきた。
posted by AMDA IMIC at 07:42 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)