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2023年10月31日

令和5年10月31日火曜

 ペルー人男性68歳、2か月ごとに高血圧の治療に来院。すでに1年間採血していない。採血は当該疾患の関連項目をチェックするだけでなく、現在、内服中の薬による副作用等が現れていないかどうかをチェックするのに重要なのだが・・・きょうも「食べて来てしまった、ごめんね」と笑顔で言われてしまった。
 フィリピン人女性53歳、前日からの発熱。体が痛いと訴えるのでインフルエンザの抗原検査から行ったところ、すぐにA型の反応が出た。実はインフルエンザから調べたのにはもうひとつ理由があった。保険証を持参しておらず、一時実費で支払うと言うので、新型コロナの疑いとして新型コロナ抗原検査を行う場合より、保険点数が安い「インフルエンザの疑い」を優先したのだ。結果的に新型コロナの検査を行わずに済んでよかった。
 ペルー人のご夫婦、南隣のF市から高血圧で通っている。今回は採血をさせてもらうので禁食で来てほしいと頼んでいたのに・・・彼らも「食べてきてしますました」と一言。モチベーションが下がる。次回は食べてこないようにとめげずに話した。
 米軍基地内からやってきたアメリカ人女性32歳、発熱と咽頭痛で来院。新型コロナとインフルエンザの抗原検査はともに陰性。診察室に入ってもらい、キットを確認してもらい、ともに陰性なので普通の風邪ではないかと話したところ・・・早口で〇〇ではないかと心配していると言う。よおく聞き取ってみると溶連菌感染症のことだった。たしかに溶連菌感染症は風邪と症状が似ているが、かなり高い熱と咽頭痛を主訴としている。そこで口腔内より溶連菌検査を行ってみると、はっきりとして陽性だった。彼女から言ってもらわなければ、もう少しで見逃すところだった。溶連菌はもちろん細菌感染なので、インフルエンザや新型コロナ、普通の風邪とは抗生剤を使うところが全く異なる。再度、診察室に入ってもらい、「きょうから私はあなたをドクターと呼ばなければならない」と前置きして結果を伝えると、具合がよくないはずなのに大爆笑してくれた。
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2023年10月30日

令和5年10月30日月曜

 タイ人女性53歳、タイ語でまったく話せないという日本人のご主人と特定健診で来院。はじめて僕のところにやってくるそうで、僕がタイ語で話しかけても普通にタイ語で返事をするだけで驚かない。聞けばタイ人の友達から僕のことやクリニックのことを聞いていたとのことだった。
 タイ人女性71歳、先週、高血圧の治療にやってきてから一週間しか経過していない。胸が苦しいという。血圧を測定したが、ほぼいつもの彼女の血圧と同じ。呼吸音もとくに異常なし。念のために心電図をチェックしてみたが、狭心症や心筋梗塞を疑わせるような所見はまったくなかった。当日のタイ語の通訳スタッフに詳しく状況を聞いてもらったところ、日本人のご主人の状態があまりよくなく、いろいろなことを考えると不安になったり、ストレスを強く感じるとのことであった。こういう情報は通訳スタッフがいないとなかなか収集できない。気持ちを軽くし、落ち着いてもらうためにアルプラゾラムを処方してみた。診察の終わりにパンパンに膨らんだかばんから、タイのグリーンカレーとカノムチンをたくさん取り出してくれた。自分で作ってきてくれたのだという。彼女はクリニックにやってくるときにいつもなにかタイ料理を作って来てくれる。これらのタイ料理は午後1時からの新型コロナの予防接種が始まる直前にスタッフの胃の中に消えて行った。
 ラオス人女性54歳、生命保険の審査に来院。どこの国の人かと訊ねたら、ラオスと教えてくれた。この年齢なので、もしやと思い、インドシナ難民として来日したのか?と訊ねると、「はい」と答える。ということは大和定住促進センターに入所していたの?と訊ねるとそうだとのこと。1985年に定住促進センターに入ったとのことで、僕が嘱託医を務める直前だった可能性がある。僕はあそこの医師を務めていたのだよと話すと、ぱっと顔が輝いた。年齢から考えると、当時は10代だったに違いない。保険の審査用紙の質問はかなり難しい。この日本語が理解できる外国人は極めて少数だろう。彼女でも理解できない箇所が多い。ラオス語とタイ語には共通点が多く、彼女たちはタイ領内のラオス難民キャンプに長く留め置かれていたはずだ。また、タイの東北部イサーンと呼ばれる地域はもともとラオ族が多く住んでいて、イサーン語と呼ばれてかの地で広く話されている言葉はほぼラオス語と同じだ。そこで当日のタイ語スタッフを呼んで話してもらったところ、やはり100%通じていた。彼女のおかけで無事に書類を作成することができた。ちなみにこのラオス人女性は僕のクリニックに土曜日にタイ語のスタッフが勤務しているとか、僕自身がタイ語を話すとか、まったく知らなかったそうだ。
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2023年10月28日

令和5年10月28日土曜

 フィリピン人女性42歳、健診での白血球数が10000を超えていて、精査のために来院。白血球の分画を見たが・・・すべて異常なし。結果を告げたときにぱっと顔が明るくなった。遠い親族に白血病の患者が2人いるそうで、いよいよ自分もだめかと思って検査してからの一日を過ごしていたそうだ。
 フィリピン人女性64歳、同じく会社での健康診断の結果を持って来院。悪いと指摘されたところをよく診てほしいという。結果用紙には精密検査を行った医療機関の印と医師のサインの欄がある。結果を上から順に眺めていっても、異常値が見つからない。最後をよくよく読むと「今回は再検なし」と書いてある。日本語が読めないためにやってきてしまったわけだが、「先生に結果を詳しく説明してもらって安心した」と言ってくれた。
 アメリカ人女性62歳、統合失調症あり、専門病院で内服治療を受けているが、自己判断で内服がいい加減になり、それらしき症状が出ているときがあり、そういうときは大変である。過去には入り口のドアやシャッターを割れんばかりに叩き、大声を張り上げたことがあった。診察室に入ってくるとすでに顔つきが怪しい。足に怪我をしているという。診ると左の下腿の一番下あたりに横に二つ、外傷がある。ガラスで切ってしまったというが、自ら切ったのではないかと疑った。それも傷の状況からはすでに一週間は経過している。さらに創の周囲が発赤し、蜂窩織炎になりかけている。抗生剤を処方した。
 アメリカ人女性64歳、近くの米軍基地内から来院。先日、ご主人の下腿の蜂窩織炎を拝見したばかりだが、今回は奥様が頻尿、排尿時痛だという。尿検でも白血球がかなり出ている。膀胱炎と考え、抗生物質を処方。基地に勤務する息子さんに会いに来日し、ご主人と奥様とともに医療機関の世話になってしまい、ほとんど観光など行けなかったはず。明後日、帰国するというので、旅行中、水分補給が足りなくならないように努め、排尿をがまんしないようにと話した。
 夜になって都内で某公立病院の事務方と会ったが・・・不法滞在とわかっていた人のがんの手術を行ってしまい、約1000万円の未収金が出ているとのことだった。こうなってしまうともはや回収はむずかしい。公立病院ということはその未収金は市民からの税金で賄われることになる。こういうことがありうるので、外国人患者受け入れの方針について診療科を超えて、院内で意思統一しておく必要があるのに怠っていたようだ。手術をしないで帰国させることが人道上問題と言う人もいるだろう。そういう方に問うてみたいのは、では近隣の発展途上国からがんに限らず、命にかかわる疾患で助けを求められたら、皆、日本に招いて手術をするだろうかということだ。この人にだけ、日本で手術をしたというのは差別とは呼んではいけないのか? この公立病院でその後、同じく不法滞在でお金がないという人の白内障について、担当医が手術をしたいというのを周囲が押しとどめたことがあったそうだ。さらに未収金を積み上げることが確実だったわけで、このような判断は苦い判断であっても当然の判断といえよう。
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2023年10月27日

令和5年10月27日金曜

 フィリピン人女性38歳、前日からの発熱、咽頭痛にて来院。新型コロナもインフルエンザも陰性。娘さんが5日ほど前に溶連菌感染症と診断されたとのことなので、続けて溶連菌の検査も実施。すべて陰性だった。
 数日前にやってきたインド人女性26歳、脳神経内科専門医が処方した薬を内服してまだ3日目。薬の効果がすぐに表れるとは思えない段階。痛みが右の上肢だけでなく、左にも発現してきたという。ここは王道から・・・すなわち脳、頚椎に異常がないということを証明しておくことから始めなくては・・・と近くの公立病院で頭部と頚椎のMRIを撮影することを提案。もちろん、なぜ検査をするのかという趣旨も説明しておいた。同国人のご主人も彼女の症状にかなり困っているようで、検査を受けることに同意してくれた。近くの公立病院に電話でMRIを申し込んだところ、来週の水曜日の午後1時と指定されたので、その後、一週間程度で、こちらに結果が返ってくるので、こちらで結果説明をすることを話しておいた。痛みが強いというので、結果説明の日までと思い、ロキソプロフェン60mgを一日三回で処方しようとしたら、患者である奥様から、「そんなに痛くないから必要ない」との発言有り。痛くて寝られなかったという発言と矛盾する。とりあえず、鎮痛剤として少しだけ手元にあるようにと説得して処方した。いつも寝るときに痛くなるらしい。昼はだいじょうぶとのことだが・・・とりあえずMRIの結果待ち。脳内も頚椎にも異常がないとしたら、かなり稀な疾患か、あるいはヒステリーの可能性も考えておかねばならず。一時帰国するというのもひとつの方法かもしれないと思った。
 今週月曜のテレビ東京「主治医の見つかる診療所」で取り上げられてから、周囲からは問い合わせや来院する外国人が急増するのではないかという意見をいただいているが、まったくいつもと同じ。ほっとしている。
 夕方、知人である医師から電話あり。アジアの某国の女性が白血病ということで治療のために来日を支援。保険外診療で治療費約1000万円を負担し、現在、再発し、骨髄移植しか方法はないと言われているとのこと、それにかかる費用が約2000万円で、費用をなんとかする方法はないか?たとえば国保か社保に入れることはできないかという相談だった。いまさら国保や社保に日本で加入できる方法はないだろうし、それをやってしまうことは日本の公的保険制度のつまみ食いになってしまう。発想すること自体がありえない。過去に県医師会の役員として携わった人がこのような発想をすることが理解できない。この件は医療滞在ビザを申請することもなく、日本に個人のお金で受け入れようとした時点ですでにアウトだろう。患者をかわいそうに思う気持ちはわからなくもないが、すると同国の、あるいは発展途上国のお金が払えない重症患者をみな、引き受けなくてはならなくなる。
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2023年10月26日

令和5年10月26日木曜

 タイ人女性59歳、午後からやってきて採血して欲しいと言う。そもそも約束は前日だったはずだが、起きて食事をしてその直後に僕のクリニックで採血の約束をしていたことを思い出したとのこと。とくに予約制でもないので、翌日になってもいっこうにかまわないのだが、もう午後。空腹時採血とは言い難いはず・・・と思い、訊ねると、夜の仕事なので、夜中に寝て、昼過ぎに起きると教えてくれた。タイ人には珍しくイスラム教徒。それもタイ南部のマレー系の出身ではない。東北タイの南部、カンボジア国境のシーサケット出身。珍しい。イスラムの戒律では飲酒は禁じられているはずだが、「ビールを飲むのは仕事のため、飲んではいけないとなったら仕事ができない」と柔軟? その彼女でも豚肉は絶対に食べないという。
 前日やってきたインド人女性26歳、脳神経内科の専門医である娘の診察を受けてもらったが、脳神経的には異状がないとのことだった。
 中国人女性25歳、発熱で来院。インフルエンザも新型コロナも陰性。普通の風邪と診断したが、説明が大変だった。
 メキシコ人女性38歳、発熱で北隣のS市から来院。彼女もインフルエンザ、新型コロナとともに陰性。ここにきてインフルエンザの流行に少し歯止めがかかってきたような印象を受ける。
 中国人女性30歳、下痢と腹痛。発熱はごく軽度、症状からは急性感染性腸炎を疑う。日本語はあまり話せず、半分は筆談だが、よくわかってくれた。
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2023年10月24日

令和5年10月24日火曜

インド人女性26歳、頭が右側だけ痛いとスタッフが聞き取った問診票にかいてあったので、見た瞬間、片頭痛かと思ったが・・・聞けば痛みではないと言う。右上肢が末梢はしびれ、上のほうは痛み、そして右のこめかみの部分が「針で刺されるようにちくちく」とするとのこと。インドで医師が処方してくれた薬を見せてくれた。全部、飲み切ったようだが、ビタミンDといくつかの合剤で、日本なら医療機関で処方はないだろうという内容だった。聞けば聞くほど、よくわからない。「あのお」と付いてきたインド人男性が日本語で話し出した。ご主人だそうで、いろいろと教えてくれるのだが、よくわからない。脳神経内科なのか整形外科なのか、はたまた心療内科なのか・・・年齢を考慮すると整形外科ではない気がした。脳神経内科専門医にまずは診てもらったほうがよいこと、そして専門医である娘が火曜の午後と土曜に診療していることを伝え、ほかの医療機関を選択してくれてもよいと付け足した。明日の火曜の午後に来るとおっしゃるので、診察代はいただかなかった。
ネパール人女性56歳、先日行ったピロリ菌の呼気テストは陰性だった。それを伝えると喜んでくれた。胸がやけるような感じがするのをてっきりピロリ菌が再び、住み着いたと思い込んでいたようだ。ではなぜこうなるのだろうと質問するので、まずは逆流性食道炎を疑うべきと理由を挙げて説明し、オメプラゾール20mgを一日一回就寝前で処方しておいた。
昨晩のテレビ東京の「主治医の見つかる診療所」を見た。足があるのにとうとう「神」にされてしまった。
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2023年10月23日

令和5年10月23日月曜

 21日の土曜日、朝から何かおかしい。日本人の患者が少なく、10時を過ぎるころには机に並ぶカルテは外国人のものだけになってしまった。スタッフに今日はおかしいねと話したら・・・わけを教えてくれた。市内の多くの小学校、中学校が運動会で両親は兄弟を連れて、ついでに祖父祖母も参加・・・というわけで少ないのだそうだ。近くに小学校、中学校があるのに気がつかなかったのは騒音問題、運動会の声がうるさいと近隣から苦情が来るので、昔のようなスピーカーでの案内や応援はしないらしい。たった一日なのに。
 フィリピン人40歳、高血圧で内服薬を処方してから初めての診察。10日間処方して血圧の下がり具合を見ようと思っていたのに、すでに15日が過ぎてしまった。血圧を測定してもこれでは降圧効果を判定することができない。僕の顔にやれやれというような表情が浮かんだのだろう。「血圧の薬を飲み終えて数日しても120台です」と自宅での血圧を教えてくれた。たしか、2歳になった女の子がいていまだに母乳をあげているそうで、降圧剤を内服するとこどもの健康に影響がないか?と問われたのを思い出した。そのことも心配しているのだろう。それより2歳になってまだ母乳をあげているほうが心配と話しておいた。食事も食べ始めているそうで、このままではハイパーカロリーになり、肥満への道をまっしぐらになりかねない。フィリピンの地方ではまだ、太っているほうが健康、お金持ちなら太っているという概念が広く受け入れられていて、そういうことも影響しているのだろう。これはまちがった概念と伝えておいた。
 アメリカ人男性、精巣に問題があると米軍基地から来院。これは明らかに泌尿器科なので、近くの専門医を受診するように勧めた。
 ナイジェリア人男性47歳、頭が重い、もやもやすると来院して高血圧を指摘、内服を開始してはじめての診察。きちんと内服方法を守ってくれている。血圧も180から140へ低下、症状も消失していた。これは降圧剤を内服したためだから、勝手にやめたりしないてほしいと告げた。約束通り、禁食で来てくれたので、生活習慣病関連の採血を行った。
 タイ人女性46歳、精神的に追い詰められているという。日本人のご主人がお亡くなりになり、前妻のこどもと彼女に財産を譲ると遺書があったそうだ。その遺書が有効なことはすでに弁護士が証明してくれているそうだが、ご主人の兄弟から高額なお金の要求があったのだという。日本人でも後妻に入った人との間でご主人が亡くなったあと、こういうもめごとがあると聞くが、後妻が外国人であれば、お金目当てで結婚したとか、故国の物価に合わせればもらいすぎではないかとか・・・さまざまな誹謗中傷もあるのだろう。睡眠導入剤と安定剤を処方した。
 今夜、午後8時からテレビ東京の主治医が見つかる診療所という番組で、小林国際クリニックが取り上げられる。気がついた方はぜひご覧ください。
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2023年10月21日

令和5年10月21日土曜

 まずはさんざん振り回された話、二つ。
 ネパール人女性41歳、そこそこ日本語が上手なのだが、医療機関での日本語は医療用語が入るので、むしろ全部英語で話してもらったほうがわかりやすい。市内の某病院でピロリ菌の除菌療法を受けた、ピロリ菌がいなくなったかどうか、調べてほしいと言っているなぜ?その病院に行かずに僕のところに来たのか?と訊ねると・・・すでにその病院で呼気テストを受けて陰性と言われたとのこと。それなら再度、呼気テストを行う意味はないはず。このあたりを質問していくとわかったことは、「今、喉から心窩部にかけてなにか調子が悪い、某病院の医師が呼気テストは陰性になったが、またピロリが入り込む可能性があると言われたので、入り込んだのではないかと心配している。だから再度、呼気テストをしてほしい」ということだった。なるほど、現在の症状をピロリ菌が復活したためと推測しているのだとわかった。こういう時は医学的な説得はむずかしい。原則論は話すが、検査をしてもらえないと不安感と不信感だけが残る。呼気テストは禁飲食で僕のクリニックでは予約を取ってもらっておこなうのだが、もちろん予約なし。診察は発熱患者も多く、混んでいる。それでも「朝から食べていないし、飲んでいない」と言われると、無下に断るのもかわいそうで・・・特定健診3件、胃がん検診の内視鏡検査2件をすませ、その間に通常診療と発熱患者の診療を行い、11時になり、ようやく手があいて呼気テストを行った。このようにしてあげることがよい結果を産むとは限らない。予約なしで行っても、ごり押しすればやってもらえるという誤ったシグナルを送ることになりかねない。このあたりはしっかりと話した。
 米国人女性51歳、2か月ぶりに米軍基地からやってきた。本人は英語が上手ではなく、娘さんが英語で話をしてくれるのだが、どうやら米国でもらっていた薬と同じものを欲しいと言っているらしいとわかった。携帯画面を見せてくれた。そこには欲しい薬が書かれているのだが、ひとつはオメプラゾール10mg 、もうひとつはハイドロクロロチアザイド5mg 、そして糖尿病の薬が書いてある。さらに2か月前に処方した眠剤と安定剤が欲しいという。それも処方箋に書き、すべて3か月分処方した。この内容は僕のクリニックの至近距離の調剤薬局にはないので、前回、近くの公立病院の門前薬局に行ってもらった記憶がある。今回もその調剤薬局に行くように伝えて15分も過ぎたころ、その門前薬局から電話があった。ひとつは眠剤や安定剤を3か月分処方することはできないと言う。それは保険診療での縛りであり、この方は保険外診療なので1か月を超えて処方してもなんら法的な問題はないと伝えたのだが、何度話しても態度が変わらない。もう一つの問題は本人が見せてくれたハイドロクロロチアザイドは一錠12.5mgと25mgしか存在していないそうで、5mgなんてないとのことだった。たしかに薬局方を調べるとそのように書いてある。戻ってきてもらい、本人に確認すると25mgの間違いであることが判明した。安定剤と眠剤は今回は処方しないことで一件落着したが、疲れ果てた。
 午後からミャンマー人女性37歳から皮下埋没型避妊チューブを抜去する小手術施行。東京都豊島区からわざわざやってきた。1年前にミャンマーで挿入後、出血が止まらないのだとのこと。局麻下で抜去。一本抜いたところでご主人から「二本入っているのではないか、そう聞いている」と言われたので、ゴム手袋を外して触診施行。術前の触診でも一本しか触れなかったのだが、念入りに触診してももう一本は見つからなかった。皮膚は縫合して寄せておいて、アロンアルファを使用、直後に縫合糸を抜去して抜糸が必要ないようにしておいた。
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2023年10月20日

令和5年10月20日金曜

 ネパール人男性43歳、久しぶりにあることを経験した・・・隣の部屋で糖尿病の治療を受け、待合室に出てから今度は僕に相談したいことがあるという。彼の順になり、部屋に入ってもらった。英語で話し始めたが、その英語が聞き取りにくい。何度も聞き返し、何が言いたいことを確認しながら話は進んだが・・・聞き違いかと思ったが、蛋白質を減らすにはどうしたらよいかと言っているようで・・・どうして蛋白質を減らしたいのかと訊ねると、足が痛いからとのこと。どういう相関関係なのか、皆目見当がつかない。しばらく考えてから蛋白質が多いのか?と訊ねると、わからないと答える。蛋白質の血中量を計測してもいないのに、減らしたいというはますますわけがわからない。どこが痛いのかと訊ねると、アキレス腱のあたりを指す。これは痛風の疑いがあるのではないかと考え、その説明を始めたが、採血して尿酸の値が正常でも痛風を発症することがあることをこの彼にどうわかってもらえばいいのかと途方にくれてしまった。このような思い込みが激しい患者は日本人でもちろんいる。だが、その程度が違いすぎるのと、日本語では説明ができても、今回のようにわかりにくい英語を聞きながら、質問に答えるのはかなりの労力だと改めて認識した。
 フィリピン人女性38歳、血圧が高いと横浜市からやってきた。比較的遠方から来たなと思っていたら、見覚えのある年上のフィリピン人女性が後ろから診察室に入って来た。どうやら彼女が連れてきたらしいのだが・・・患者から話を聞いているのに、この女性がうるさい。こんなだあんなだと話し出し、収拾がつかなくなる。叱ってもいいのだが、𠮟り方によっては誤解されかねない。ひとまず、黙っていてほしいと告げて、診察を始めたのだが・・今度はフィリピン人スタッフに向かって話し始める。血圧が180を超えているとのことだが、計測すると190/120、両親とも高血圧で、母は糖尿病もあるという。かなりしっかり治療をしなければいけないので、通院できるかと心配になり、訊ねると、さきほどの女性が市内の自分の家に泊まるときもあるからだいじょうぶと口を挟む。本人が同意しているようなので、降圧剤を二週間分処方、次回は採血も行うことにした。
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2023年10月19日

令和5年10月19日木曜

 インドネシア人男性40歳、前日から39度台の発熱あり。インフルエンザから検査を行ってみたが、陰性、次に行った新型コロナの抗原検査で陽性だった。
 外国人医療ではないが、驚いたことがあった。日本人女性10代後半。2か月前頃、今年の8月中旬に発熱し、来院。僕が新型コロナの抗原検査を行い、陽性を確認している。彼女も前日から40度近い発熱、2か月前に新型コロナに罹患しているのでと思い、インフルエンザから検査を行い、陰性だった。新型コロナの抗原検査を行おうかどうか、迷ったが、ここは原則論でと考え、新型コロナ抗原検査を行ったところ、はっきりとした陽性であった。保護者も本人も驚いていたが、僕も驚いた。たぶん、2か月前の株はオミクロンXBBで、今回はオミクロンの別の変異株なのだろう。現在の五類感染症では、保健所などでどの株なのかの検査はお願いしても施行してもらえず、もしかして新たな大流行の変異株ということも考えられなくもない・・・というよりそのような変異株が出現しても見落としてしまう。いくら五類に分類変更したといえど、この疾患の過去の感染状況を考慮するなら、このあたり、特別に対応すべきだろう。せっかくの発見の機会を失うということは対応が遅れるということだから。
 午後になって北隣のS市の米軍関係者から電話あり。米国から観光でやってきている父親の足がバンバンに腫れあがっていて、痛がっているという。受け入れてほしいということなのだが、拝見して整形外科とか僕の診療外の疾患であるなら、別の医療機関を紹介することがありえることを告げ、理解してもらったうえで受け入れた。1時間もしないうちにそれらしき人がやってきた。拝見すると右の下腿が発赤し、腫れあがっている。触ると明らかに熱感があり、痛がる。蜂窩織炎を疑って血液検査をさせてもらうと白血球数は9100、CRPは21.1と上昇している。もう一か所、少し痛いというところを見ると、第5指の外側がどうやら白癬に感染しているような印象だ。以上から白癬の部位からなにやら菌が皮下に入り、広がったものと診断し、これを本人と家族に説明。抗生剤の点滴を行おうとしたが、翌18日が水曜日で僕のクリニックの休診日にあたるため、続けて点滴を行うことができない。考えた末に初診受付の時間は過ぎているが、緊急として近くの公立病院に連絡し、受け入れをお願いした。折り返し、連絡があり、皮膚科で受け入れるとのことなので紹介状を書いて行っていただいた。同病院の自費診療費用は保険診療の15割、僕のクリニックの1.5倍だが、もはやそんなことを問題とは言っていられない状況だった。
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