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2023年04月28日

令和5年4月28日金曜

驚いたこと・・・3か月前に右の腰背部痛で来院、検尿で潜血反応が3+だったフィリピン人女性、急いで近くの公立病院の泌尿器科に診察依頼を書いたのだが・・・昨日、来院報告がファックスで届いた。手術が必要と書いてあったが、驚いたのはあの状況で3か月間、情報提供書を持ったまま、受診しなかったこと。受診するしないは患者が最終的に決めることだが、それにしてもモチベーションが下がる。
フィリピン人男性64歳、昨年、脳出血で緊急入院し、助かった男性だ。その入院中のMRIで動脈瘤が見つかった。日本人の奥様から僕に直接、電話あり。動脈瘤の治療について専門病院の医師と話し合っていたのだが、カテーターでコイルを詰めるには動脈瘤が大きすぎ、医師からはクリッピングを勧められているが、本人は乗り気ではなく、結論がなかなか出ないのだそうだ。きょう、先生のところに行くので、クリッピングを受け入れるよう、説得してほしいとのことだった。内容はわかりましたと電話を切って机の上のカルテを見たら、次が彼だった。いつものように高血圧の診療を行う。血圧を測定し終わると、彼がMRIの写真を出してきた。たしかに大きい。この動脈瘤は大きいから手術でなければ逆に危ないと思うよと話すと、やっぱりと納得してくれた。奥様の勝ち。いつも彼が言うことには、今回脳出血で入院、治療を受けたわけだが、フィリピンにいたら医療費が高いうえに公的保険がないので、治療を受けられずに死んでいたよ、ドクと。本当なのだろう。
フィリピン人女性58歳、この6か月、頭が痛いという。フィリピン人スタッフが診察の前に教えてくれたが、ご主人の浮気で困っているのだとのこと。疼痛の症状から片頭痛は否定できた。血圧もむしろ低いぐらい。寝られないのだそうだ。第一に考えるべきは筋収縮性頭痛。とりあえず、ミオナールと疼痛時のためにロキソプロフェンを処方して様子を見ることにした。
政府発表の昨日の統計では我が国の人口は2070年ごろには8000万人台で、少子高齢化が加速度的に進むらしい。あかちゃんの数はというと減り続けるそうだが、それを救っているのが外国人なのだそうだ。現在は人口の約2%が外国人だというが、70年代には約11%が外国人になると推測されるのだそうだ。さらに毎日訪れている外国人観光客のことを考えれば、外国人医療を充実させることの意義は極めて大きいといえよう。それはまた日本の医療機関にいかに混乱なく、外国人患者を受け入れてもらうかということが、ますます重要になるということだ。在住外国人の数を増やしていくのは産業の空洞化を防ぐために必要だが、我が国は移民国家にはならないと某政党幹部がマスコミに述べていたようだ。移民国家という単語がきっと我が国の在り方の中でタブーなのだろうが、言葉の遊びはどうでもいいことだ。要するに、我が国は外国人に頼らざるをえない社会の入り口を超えたところにすでにいるということだろう。
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2023年04月27日

令和5年4月27日木曜

ベトナム人女性28歳、中下腹痛と嘔吐で来院。感染性胃腸炎と思った。過敏性腸症候群でも下痢、腹痛など似た症状を呈するときがあり、とくに発熱がない感染性腸炎であると診断がむずかしくなる。過去にこのように痛みを何度も経験しているかどうかも大切なポイントなのだが、彼女は日本語もつたなく、英語は話せない。やむをえず、土曜にやってくるベトナム人スタッフに電話連絡。電話で通訳をしてもらった。結果的には嘔吐を伴う感染性腸炎と診断した。薬についてもどういう作用の薬を何のために一日何回、一回に何錠内服するか等、続けて通訳してもらった。ここまでやらないと患者は心配だろう。
フィリピン人男性56歳、巨漢。たぶんBMI が40近いだろう。いつもは高血圧で拝見しているのだが、頻脈があり苦しいとやってきた。冷や汗をかくこともあるそうだ。あわてて心電図を取ってみたが・・・虚血性心疾患のような所見はないが、頻脈はすごい。100を超えている。このままでは心機能に重大な問題がすぐにでも発生するかもと推察、市内の循環器専門病院に紹介状を書いてすぐに行ってもらった。
ラオス人女性38歳、発熱と咽頭痛。新型コロナも疑って抗原検査を行ったが、陰性。陰性と告げるとタイ語で「普通の風邪なのね」と答えた。そう、「普通の」風邪だから風邪の薬を処方するよとタイ語で説明したが・・・もしかしたら、「普通の風邪なのね」はラオス語とタイ語で同じなのかもしれない。
フィリピン人女性40歳、20代から甲状腺機能亢進症で受診、いいかげんな受診方法で何度も注意したことがあるのだが、またやってくれた。今年の初めにいいかげんに内服をしていて何度目かの甲状腺機能亢進状態になってしまった。あれほど維持量はきちんと内服するようにと話していたのに。ようやくチアマゾールを一日2錠まで下げることができたのが2か月前。さらに一日一錠にまで落とすことができるか、あるいは2錠のままのほうがよいかを判定するために次回は採血と話しておいた。処方のための受診日の一週間前に指定した日に来てくれたので褒めてあげようとしたら・・・・頻脈があったので一週間前から勝手に一日4錠内服していたとのこと。いったいどういうことだと頭から湯気が出そうになった。彼女の住まいは徒歩で数分のところ、おまけにどうでもいいことはフィリピン人スタッフによく連絡してくる。採血をしてTSH、FT3、FT4の結果を見ても、判定がむずかしい。理解できないのは抗甲状腺ホルモン剤の使い方はむずかしいので自分勝手に増やしたり減らしたりしないようにと何年も言い続けているのに、またこういうことをして・・ということだ。本人はごめんなさいと言うが、本気でごめんなさいとは思っていないだろう。第一、ごめんなさいは僕にではなく、自分の体に言うことばだ。来なくなったなと思っていたら、チアマゾール内服中に妊娠してしまい、僕に怒られるからと出産後まで来なかったこともある。きっと通常の医療機関ならあきれられて出入り禁止にされかねないだろう。こういう人まで面倒見なければならないのが外国人医療・・と言えば、外国人差別と言われるかも。でもこれが現実。
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2023年04月25日

令和5年4月25日火曜

カンボジア人女性28歳、咳と嘔吐があると父親が連れてきた。この女性は先天性脳性まひで片麻痺があり、まったく歩行もできない。生まれてすぐのころから一家は僕のところに通ってくれている。いいかげんなところもある父親だが、こと彼女のことについては昨日のように仕事中であっても工場勤務の制服のまま、彼女を車に乗せてやってくる。幸い、単なる風邪ひきであった。きっと彼女を抱えて大変な苦労があって今も続いているのだと思う。実は同じようなケースはもう一件あって・・・日系ぺルー人の一家だが、娘さんがちょうど同じ年ごろで、同じように先天性脳性麻痺がある。この彼女はカンボジア人の彼女とちがってなんとか発声はできる。この一家も一家をあげて彼女を支えている。二つの家族の対応を見ていると、いつもできるだけのことはしてあげたいと思う。
 ガーナ人男性55歳、診察室に入るなり、自転車に乗っていて車とぶつかり、某大学病院に一週間入院していたという。それは大変だったねと話して、きょうはどうしたの?と訊ねると血圧が高いのでいつもの治療で来たという返事。しばらく彼の顔を見ていなかったような気がしてカルテをめくると最後にやってきてから1年半経過している。その最後も鮮明に記憶しているが、下痢を伴う発熱でC0VID-19が陽性だった。そのころに処方していたのがアムロジピン5mgとピソプロロール2.5mg、血圧を測定してみると180/130近い。塩分を控えるように厳しく話し、アムロジピン5mgにピソプロロールを5mgに増量して処方した。
 午後2時頃、バングラデシュのAMDAの支部長のナイ―ムDRとシャフィードDRからラインに電話あり。東京でバングラデシュと日本の協力についての催しがあり、やってきたので今晩、会いたいと言う。35年来の友人なので、彼らの突然の来日には慣れている。夜、奥様達も含めて銀座で食事した。ちょうどラマダン明けだそうで、牛肉を食べまくる彼らを見て、吹き出しそうになった。そういえば、ラマダン中でも病気の人は日中、治療として食事を摂ってよいとか、薬を内服してよいと聞いたことがあるので、訊ねてみたら・・・だめという返事だった。
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2023年04月24日

令和5年4月24日月曜

22日の土曜日は全般的に患者数が多くて、外国人患者も朝からまるで満員御礼。4月から週二日勤務している長女もさすがに驚いていたと思う。ベトナム人スタッフがやってくる日だったこともあり、ベトナム人が中でも多かった。
 ベトナム人男性32歳、受付に直接、やってきてベトナム人スタッフに相談したのだという。ベトナム人スタッフによる彼の悩みと言うのが・・・ベトナムの旧正月のころに一時帰国し、バイクに二人乗りしていて転倒した。運転していた友人が怪我をして血が出ていたので、処置をしてあげた。日本に帰ってきてから友人の母親から電話があり、実は息子はHIVに感染していると言われた。それから毎日、寝られないほど心配しているということだった。これは本人談なので、本当かどうかわからない。要するにHIVに感染するようなチャンスがあったことはまちがいないようだったので、イミュノクロマトグラフィ アッセイ法で30分検査を行うことにした。すると、梅毒やその他、できる性病の検査もしはてほしいと言い出した。結局、即日知りたいということで梅毒、HBs抗原検査を行うことにした。採血をしようと腕をまくると上腕から背部にかけて鯉柄の大きな入れ墨。どこで入れたのかと訊ねたら、日本の社長が入れてくれたのだと答える。どういう会社でどういう社長か、驚いた。結果はすべて陰性。来た時の顔とはまるでちがう笑顔で帰って行った。
 前日に胃が痛いとやってきたベトナム人男性27歳、ベトナム人スタッフに励まされながら内視鏡検査室へ。無事に喉頭麻酔だけで挿入できた。胃の中はとにかく荒れているという印象。空気ががまんできないようで、なかなか胃が膨らまない。なんとか十二指腸を観察できたが、異常なし。胃角小弯に胃潰瘍があるのが見えた。大弯側は胆汁の逆流でうまく見えないのだが、顆粒状の変化が一定の面積あるようだった。がんでないとしたら、急性胃粘膜病変(AGML)か? 後者なら七転八倒するような痛みがあるはずなのだが、痛みはごくごく軽そうだ。念のために生検を行っておいた。また、ピロリ菌は陽性。生検結果が出るまで、たぶん一週間程度。それまでと思って一週間分の除菌療法を処方。できれば僕の予想がはずれていることを願うばかりだ。
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2023年04月22日

令和5年4月22日土曜

中国人女性、PCR検査陰性で無事、本日帰国のはず。うれしそうに帰って行った。先生、来てねっといいながら。延吉市かあ?どこぞの将軍様の国に近くて、スパイとまちがえられかねないので行くことはないだろう。
ベトナム人男性27歳、空腹時に心窩部が痛いと来院、食べても痛みがあるとたどたどしい日本語と英語で話す。症状からは十二指腸潰瘍が疑わしいと思ったが、うまく伝えられず、ベトナム語の医療用語集を使った。たまたま本日、ベトナム人スタッフがやってくる日なので、無理をしてでも本日、内視鏡を施行してしまおうと決断、ベトナム人スタッフと電話で連絡を取り、彼女から私の言いたいことを伝えてもらった。すると明日は仕事に行かねばならないと言う。会社宛てにこのような理由で検査がどうしても明日必要なので休ませてくださいという文章を書いてあげると話して納得してもらった。こういう人を通訳なく診察することは厳しいだろう。詳細に説明しようと思えば思う程、できなくてイライラしてしまう。
中国人男性32歳、帰国のためのPCR検査を施行。
某近畿圏のがん専門医療機関から紹介した某東南アジアの女性について3回目の返事があった。日本人のご主人とけんかしてこちらにいる姉を頼ってやってきて、それで僕のところに来たのが昨年の夏か秋。すでに進行型の乳がんだったので、今後のことを考え、説得してこの専門病院に紹介状を書いて帰ってもらった。それから化学療法を行って、手術を行った。今回はその術後の創あたりに再発してきたとのことだった。皮膚に転移したのだろう。僕自身、開業まで乳がんの手術も行っていたし、さまざまな段階の患者を診てきたので、今後どのようになるかが手に取るようにわかってしまう。なんとも言葉に表現できない。まだ、小さい子供がいるのに・・・
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2023年04月21日

令和5年4月21日金曜

フィリピン人女性38歳、鼻水や目がかゆいと来院。こちらはアレルギー性鼻炎や同結膜炎と考えて処方。つぎに会社の健診でひっかかり、2週間前に行った精査のための血液検査の結果を説明したが・・・中性脂肪が269でひっかかったのが2月、なのに391にまで上昇している。おまけにHDLコレステロールが33しかない。ドクター、ごめんなさいの後に自分でバボイだよねと言う。バボイとはタガログ語で「大きい豚」という意味だ。彼女も人が良くて吹き出してしまったが、食事療法の説明をがっちり、それだけではたぶん無理と思い、内服薬を処方した。さあ、増えた体重はどうなるか? 減ると続けて通院してくるだろう。増えるとたぶん足が遠のく。そして会社の健診でまた指摘されると覚悟を決めてやってくる。たぶん、多くの人は僕が怒ると思うからだろう。怒ったことなどない。彼らの人生にかかわることなので彼らの前で嘆くことはあるが。怒って言うことを聞いてくれるならいくらでも怒る。
フィリピン人女性69歳、日本の公的保険に加入していない。3か月の親族訪問ビザで来日しているようだ・・たとえば娘さんが日本人と結婚していて出産するので手伝うとか、姉妹が日本人と結婚していて会いに行くというケースが親族訪問では多いケースだ。彼女自身、車椅子を使う状況なので手伝いにやってきたのではないだろう。フィリピンの病院でもらっていたのと同じ薬が欲しいと同国の医師の処方箋を見せてくれたが、読めない。糖尿病の内服治療薬とプロトンポンプインヒビターが書かれており、糖尿病と逆流性食道炎があることはわかった。来てしまったものはしょうがないが、できればフィリピンの医師の診断書をもらってきてほしいものだ。そうでなくてはたとえ短期とはいえ、手探りの医療になってしまう。彼女の場合はいずれ血液検査などが必要だと思う。病気を理由にビザの延長、変更を申し出る可能性がありえるからだ。こういうときに入管に書く書類は難しい。
中国人女性41歳、中国に土曜の昼に帰国するためのPCR検査を施行。中国のどこ?と訊ねると延吉市だという。もしかして朝鮮族?と訊ねるとそうです、よく知ってるねと言われた。次の彼女の言葉に少しショックを受けた。この病院、いつからあるの? 今回、中国に帰るのでPCR検査できるところをインターネットで探して見つけたけど、すぐ近くにずっと前から住んでいるのよと・・・地域でちょっと有名になっているといってもこの程度。
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2023年04月20日

令和5年4月20日木曜

ネパール人男性42歳、糖尿病、きちんと通院してくれて落ち着いている。
米国人のご夫婦、高血圧と糖尿病有り。診察は無事に終わったのだが・・・診療終了後に売り上げとデーターが合わないと事務から連絡があった。調べてみたら、このご夫婦に依頼されて英文書類のうち、一人分しかお金をいただいていないことがわかった。事務担当者が明日フィリピン人スタッフから連絡を入れて次回に支払ってもらうように言ってもらいましょうか?と提案があったが、してはいけないと話した。保険診療ではないし、今回はこちら側のミスなので、あとで支払え、はないと思う。ただし、今回の金額が「普通」と思われるのは困るので、連絡は入れて事情は話しておくようにと伝えた。
 台湾人女性78歳、すごくいい方なのだが、耳が遠いせいか、自分の思ったことをにこにこと話し、人の言うことはあまり聞いてくれない。同じ台湾人のご主人は認知症がひどく、最近、施設に入った。あの背中の曲がった小さな体で今までご主人の面倒を見て来たかと思うと、こういう人にはより親切にしてあげなくてはと思った。
 米国人女性53歳、喘息で治療中。この方も基地関係者で日本の公的保険に加入できないため、自費診療。昨年あたりから基地関係者の自費診療での受診者が目に見えて増えている。彼らにとって日本のこの小さなクリニックはどのように映っているのだろうか? 気になる。
 もうすぐゴールデンウィーク、昨日、バングラデシュのAMDAの支部長を務める30年来の仲のナイ―ム先生からラインで連絡があった。ゴールデンウィークの期間中に同国に関する観光などのPRのセレモニーに参加するために来日するとのことだった。しばらくぶりに彼の顔も見ることができそうだ。
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2023年04月17日

令和5年4月17日月曜

この季節にしては冷たい雨が降った15日の土曜日、全般的に患者数は少なかった。
 フィリピン人女性52歳、健康診断で予約なく来院。各種の健診は予約制が原則なのだが、初めての来院の方はそんなことは知る由もないだろう。期限が迫っているとのことなので受けいれて施行することにした。血圧は160/90と高く、尿糖が1+、朝食は食べたというのだが、尿糖がはっきり出すぎている。家族歴を訊ねると、複数の糖尿病を抱えた人がいることが判明。健康診断には血液検査の項目がない。ただし、今後の彼女の生活にとって正確な情報を得ておくことは必要と説明、あらためて空腹時に来院して採血をすることを勧めて了承してもらった。血圧についても、次回の来院まで毎日朝計測して数値を教えてくれるように頼んだ。さて、今週のどこかで来てくれるだろうか?
 タイ人女性50歳、高血圧でいつもの診察に来院。最近、気がついたのだが、彼女はタイ語で読めないし、書けないようだ。タイ語を見せても目がうつろになっている。丁寧に説明しているつもりだが、ほかのタイ人には通じる僕のタイ語の説明がうまく理解されずにもどかしい。日本語で説明するとほぼ理解されない。
 インド人男性33歳、インド人の奥様が付き添って来た。4月に入って胃が痛いと訴える。痛い場所を触ってもらうとほぼ心窩部。背部痛はなし。痛みは朝起きたときや寝る前など空腹時が多いらしい。食後はどうなるのか?と訊ねたら、痛みは変わらないという。十二指腸潰瘍を第一に考えるが、食後に痛みが変わらないという点から胃潰瘍が同時にある可能性も否定できず。すでに食事をしてきたというので、あらためて別の日に急いで内視鏡検査を行うべきと話した。すると職場と相談して連絡をくれるということになった。内視鏡検査だが、新型コロナなどのこともあり、一昨年から一日一件を原則とし、緊急あるいは準緊急患者については午後からでも即日を含めて急いで行うようにしてきた。本年も今日の段階で内視鏡検査は11月まで予約は満杯、これらの人はすべて大和市胃がん検診の人たちだ。これらの人から見ると、緊急あるいは準緊急に急いで内視鏡検査を行うことは優遇しているともとらえられかねない。外国人を優遇しているということではなく、痛みがあるなど急いで検査すべき人はたとえ、胃がん検診で予約している人であっても同じように検査を繰り上げて急ぐと話しているのだが・・・ときどき、理解してくれない人がいると受付から聞いた。
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2023年04月15日

令和5年4月15日土曜

ベトナム人女性38歳、咳が出てすでに一週間を経過しているが、治らないからと来院。フィリピン人女性39歳、5日前から咳と痰と咽頭痛があるという。最近、こういう外国人が少なくない。新型コロナやインフルエンザの検査をするには時すでに遅しの感が否めない。仮にどちらかに感染していたとしても、自宅療養の期間が過ぎようとしているころだ。それだけ、症状が軽いということだろう。「普通の」の風邪として診察処方した。
小児科の予防接種の時間にベルー人など多数。
午後3時を過ぎたころに両親とともにやってきたタイ人男児8歳、2日前に腹痛でやってきて採血の結果、細菌感染ではないと診断したこどもさんだが・・・ときどき腹痛を訴えるので両親がまた心配になったという。そう話す両親のわきで本人は動き回っている。どうみても腹痛があるとは思えない。発熱もなし。念のために腹部を触診聴診したが、異常所見はなし。両親が心配する急性虫垂炎ではないと話した。当然のことながらではなにか?と訊ねられた。過敏性腸症候群の可能性を上げたが、便秘があるというので、便を出そうとするときに痛いのかもしれない、いずれにしても重大な疾患が隠れているとは思わないと説明した。帰り際に父親がスマホをかざして、見てほしいと言う。見ると肩のMRIの写真だった。昨年の7月ごろに交通事故に遭って受傷したとのことだった。ここから延々と話が始まった。彼は被害者で加害者側の日本人と話し合わなければならないが、日本語がわからないので、タイ語で弁護士を探したとのことだった。彼に言われて検索するとたしかにタイ語で広告を出している弁護士がいるようだ。ところがその弁護士自身はタイ語が話せないそうで、通訳を利用した話し合いとなったとのこと。そして6か月を過ぎたところで、加害者側から肩の治療の終了を告げられ、弁護士には通訳費用だけで75万を支払ったそうだ。そして今、肩のことで仕事ができず、生活が苦しく、また肩については手術を受けなければならないと言われているが、45万ぐらいかかると言われ、そのままにしているとのことだった。そうそう、加害者側からは40万円ぐらいが振り込まれているそうだ。加害者側にも弁護士にも不満があるそうだが・・・・
ここからは僕の推察だが、弁護士に支払った75万円というのは通訳の費用だけでなく、弁護士に対する謝礼を含んでいるのだろう。また40万円を受け取っているということは受け取った時点で加害者側の保険会社と彼との側、正確にいえば彼の代理人である弁護士との間でなんらかの示談あるいは治癒とするという申し合わせがあったにちがいないということだ。そして弁護士に一任するとか、それでいいとかそんな署名を彼はしたのではないだろうか?
彼の肩関節の手術だが、保険診療となれば高額医療費助成制度も使えるはずで、制度について説明したが、理解できていないようだった。ただ、問題は原因が交通事故であることだ。相手の自動車保険での支払いが終了したという時点で治癒とみなされているというのなら、その後のこととして保険診療が認められるのかもしれないが、このあたりが問題となるのだろう。
日本語がうまくわからない、日本の医療制度や交通事故にまつわる民間保険の使い方や相手との交渉がわからないと、一家が経済的に危機に瀕する今回のようなトラブルに発展する。来週の火曜にAMDA国際医療情報センターのタイ語の相談時間に電話するように伝えたが。
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2023年04月14日

令和5年4月14日金曜

カンボジア人男性57歳、下痢、腹痛で来院。彼が日本にやってきた直後から知っているのだが・・数年ぶりにやってきた。日本語もそれなりに上手になっている。それでも感染性の腸炎だよと話してもいまいちわからないようなので「汚いものが腸の中に入ってしまった」と話したら、わかってくれた。そして食べるものはしばらくはカロリーが低いものねと説明したら・・急に笑い出した。前日、ラーメンを食べたそうだ。それからさらに悪くなったとのことで理解してくれたようだった。
 カンボジア人女性71歳、上記の男性の奥さん。彼女はよくわからない。数年に一回、一か月ぐらいのうちに何回かやってきて、ぱたっと来なくなってしまう。胸が苦しいという。これは心電図と胸部写真の検査をしないと納得してくれないのかな?と思っていたら、食べた後に食事が入っていかない気がすると言う。しかも、住まいの近くの病院で上部消化管内視鏡検査を受けて「異常なし」と言われたのだそうだ。内服治療もしているという。彼女がやってくるときはおよそいつも胸の苦しさを訴える。彼女がインドシナ難民として大和定住促進センターに入所して以来の「つきあい」なので、すでに35年を経過している。そんな関係なので、彼女のプライバシィもよく知っている。いつも具合が悪い時は仕事や家族などなにかがうまくいっていないときで、検査はするのだが、最終的には自律神経失調症と考え、内服治療で来なくなる。今回もそれに近いのだろうと推察した。
 ベトナム人男性65歳。ベトナムからインドシナ難民として来日したのが37年前。もともと、思い込みが激しいタイプで意見をする人とはけんかになってしまうと聞いたことがある。一人暮らしの上に昨年の夏に脳梗塞を患い、左の片麻痺が残っている。リハビリを勧める病院とも大喧嘩して、なんとかしてほしいと僕のクリニックにやってきた。ベトナム人のスタッフを通訳として間に入れても、僕が彼女の口を通じてお願いすることはことごとく拒否。しまいには彼女をののしり始めてしまう。きょうはどうしたのか?と思ったが、寝る薬だけが欲しいと言い出した。以前に比較して椅子からたちあがるときのようすもいい。片麻痺は残ってはいるが、軽くなっている。それが彼の気持ちを軽くしているのだろう。あの体でひとりでこの日本で生きていくのは大変だろう。しかし、ベトナムの政府からみたら、自分たちを裏切って国を捨てた人ということになる。帰国しても、何の保護もないと聞いたことがある。やはり、ここでなんとか受け取れてあげるしかないと考えている。
 カンボジア人女性64歳、正確には中国系カンボジア人。彼女もまたインドシナ難民として日本に定住目的で受け入れられた一人だ。インドシナ難民とはラオス、カンボジア、ベトナムの元フランス領インドシナ3国から共産革命を嫌って脱出、世界に散らばった難民の総称だが、実は3か国ではない。国籍こそ3か国だが、正確には4つなのだ。その4つ目は中国人だ。祖先が中国から南下してベトナムに住むようになったか、カンボジアに住むようになったか、ラオスに住むようになったかということだ。とくにカンボジア、ラオスの中国系の人はタイやミャンマーの中国系の人と同じ潮州人で、会話は潮州語。中国人としてのアイデンティティや仲間意識が非常に強い。ベトナムにいた中国系の人は潮州人と広東人だ。祖先がカンボジアに居ついて、生活を始めたがゆえに彼女に降りかかった「難民」という災難。それでも彼女のように日本で安定した生活を築きはじめている人もいる。
 インドシナ難民出身の人たちは僕を信頼してくれている。その気持ちにどう応えていったらよいのか、老齢になった身で考える。
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