フィリピン人男性27歳、来日して半年。体がだるいと訴えて親族と来院。前回が初診で肝機能、甲状腺など採血を行ったが・・・FT3がごくわずかに高い以外はすべて異常がなかった。こちらについては経過観察をしようと話した。もう一つ相談が・・・と本人から有り。髪の毛がたくさん抜けるとのこと。親族が言うには日本の仕事にストレスがあるのだそうだ。ペースが合わないというようなニュアンスだった。どちらがいいとか悪いとか言うつもりはないが、たしかにフィリピン国内での仕事の進め方とは大きくちがっているのだと思う。最近、こういう研修生や実習生の中に心身に変調を来して来院する人が散見される。
このようなことを防ぐには来日する前に、日本での就労について全員に「研修」を受けてもらうべきだろう。雑なシステム運用の結果が、こういう人たちを生み出すことになるのではないかと思うしだいだ。開業する少し前だから35年ぐらい前だろうか、近くの公立病院の外科に勤務していたとき、時間外にフィリピン人の若い女性が胃が痛いとやってきたことがあった。聞けば最近、フィリピンから来日、市内のフィリピンパブで働き始めたとのことで、男性従業員が付いて来た。内視鏡検査まで行って十二指腸潰瘍と診断し、内服薬を処方したが、あまり上手ではない英語で「仕事がつらい、規則が多すぎてつらい」と話していた。
タイ人男性54歳、高血圧で通院中、前月の採血の結果。中性脂肪が843、尿酸値が7.3、これは放置はできず、タイ人スタッフを通じて詳しい生活状況を聴取、食事療法と内服薬を処方した。
フィリピン人男性19歳、日本で再婚した母親に呼び寄せられて来日、就労するための健康診断を依頼され、施行したところ、肝機能の数値がかなり悪かったという状況。その原因を探るべく、まずはHA抗体とHBs抗原を調べたが、陰性。ここまではわかった。これ以上の検査となると、近くの公立病院の消化器科にお世話になるしかないだろうと思っていたが・・・日本の公的保険に加入していない。来日して3か月。まさか、こんな若さで医療機関のお世話になるとは思っていなかったのだろうが・・・前回、早く公的保険に加入するようにと話した。母親にどうなったかを訊ねてみた。母親はまず自分の社会保険の家族として加入できないか、自分が働く会社の社長にお願いしてみたそうだが、本人もこの会社で働くそうで、どうせ本人も独立した保険証がもらえるはずなので、いま、母親の保険に家族として入ることは面倒くさいから・・・と断られたそうだ。面倒なのかどうかとは関係ないだろうが、外国人相手にこんな対応をする社長がまだいるのかとあきれてしまった。そういう時には短い間でも国保があるとは話したが、このケースは社保加入が優先されるケースだ。
データの通りをただ診断書に書き込むと不採用になることもありえないことではないと本人と母親に話し、まずは肝機能庇護剤を自費で内服してもらい、一か月後に採血して肝機能をチェック。よくならない場合は保険に加入してから近くの公立病院の消化器に情報提供書を書くと話して、納得してもらった。
2024年09月09日
2024年9月9日月曜
posted by AMDA IMIC at 10:53
| TrackBack(0)
| (カテゴリーなし)