27日の火曜日、台風を心配してか、患者数が多かった。外国人も多かったが、二人に翻弄された。
フィリピン人女性65歳、日本に在住している娘さんを訪ねて短期滞在で来日、京都観光などしていたという。7月に京都に行ったときに、めまい、胸の苦しさを訴えたが、すぐに回復したが、数日前に同様の症状が再発、今は少しよくなったが、心配で連れて来たと娘さんが話してくれた。フィリピンでの既往症を訊ねると、いろいろと薬を取り出して見せてくれた。全部で5種類あるが、3種類は飲み切ってなくなってしまい。2種類だけ内服しているとのこと。見ると、降圧剤が二つあり、一つは飲み切ってしまっていた。ほかに心機能の薬が一つ、脂質異常症の薬がひとつ。フィリピンでの心電図も持参して来ていたが、特異的な所見はなかった。血圧を測定すると、137/80とやや高いものの、極端に高いということはない。自費診療なので、費用に気を使いながらの診療となる。胸部レントゲン撮影と心電図は検査しないわけにはいかないと思い、施行。胸部レントゲンでは心肥大はあるものの、深刻なものではなかった。胸水もなし。心電図はフィリピンでのものとほぼ同じで積極的に虚血性心疾患を疑わせる所見はなかった。血液検査はフィリピンから持参したものがあり、費用の面からも省いた。短期滞在では3か月を超えては滞在できず、滞在期限まではあと2週間と少しと教えてくれた。もしかして、在留期間の延長または在留資格を変更しての滞在が目的の来院かとも思ったが、今回はそのような話は娘さんからはなかった。とりあえず、帰国までの間は一番困るのは虚血性心疾患なので、ニトロダムテープを毎日貼るようにと話して処方した。
過去に数回、訪れている南米某国の母親の件で、同国人の娘さんが来院。娘さんは母親が高齢であるし、同国にはこの娘さんの妹しかいないので、親族訪問の短期滞在でやってきた母親を日本で面倒みたいと画策している。実際にかなり太った方で心房細動もあり、血圧も高い。しかし、血圧は降圧剤を飲んでいただいてからはよくコントロールされており、いわゆる血液サラサラの薬も内服している。腹部が小山のようなので、なにか病変があるのではないかと近くの公立病院でCTスキャンを行っても、結果は全く異状なしとのこと。たぶん、病気があれば在留資格の変更ができて、長期滞在できると思ったのだろう。ところが検査しても何も深刻な病変が見つからず、入管でも2回申請を断られている。すでに弁護士も頼んでいると話してくれた。この日にやってきたのは娘さんだけ。これ、もらってきたと見せてくれたのは近くの公立病院の循環器内科の僕のクリニックあての診療情報提供書だった。病名は僕のクリニックでの病名に心肥大が加わっていた。今の通りの処方を続けてくださいと書いてあった。これで診断書を書いてほしいと言われたので、実際に診察した専門医の診療情報提供書を持参したほうがよいと話した。「心肥大という病名が付いたので、今回は入管に許可されるのではないか、飛行機の中で急変することを入管はいやがるので」と弁護士が話したと笑顔で教えてくれたが、なんだか複雑な気持ちだった。
2024年08月29日
2024年8月29日木曜
posted by AMDA IMIC at 09:03
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