タイ人男性21歳、就労のための健康診断の結果を求めて川崎からやってきた。健診を行ってからすでに二週間も経過している。遠方からやってくるとこのようにすぐに取りには来ることができないということになりかねない。ゆえにできれば現住居の近くで健診を受けてほしいと思う次第だ。外国人患者を受け入れる医療体制を地域の中で充実させていってほしいと切に願う。
ベトナム人の一家3人。前日金曜日にご主人34歳だけがやってきて受診したい旨を話していった。片言の日本語は話せるのだが、込み入った内容は全く理解できない。3人についての問題が書いてある大きな紙を見せてくれた。いったい、だれが手伝って書いてくれたのか、訊ねるのを忘れた。ご主人については「糖尿病の検査を受けたい」と、奥様30歳については「おなかが急に痛くなるので大腸内視鏡とおなかの超音波検査をしてほしい」と、娘さんが喉が痛がっていて診てほしいと書いてあった。詳細がわからないのでベトナム人スタッフにラインをしてマイク機能でやりとりをした。ご主人については昼食を食べてきたとのことなので、検査のために朝から食事をしないで来てほしいこと、奥様とお嬢さんについては診察を引き受けることを伝えてもらった。29日の土曜日、混んでいる中、お嬢さん二人を連れてご夫妻が現れた。診察の順番になり、金曜日同様、ベトナム人スタッフとマイク機能を使ったラインで僕を入れてやりとりをした。ご主人については、なぜ糖尿病の検査をしたいのか?とくに家系的に糖尿病にかかりやすいのか?など訊ねてみた。すると家系的には糖尿病はいないとのこと、ただし、自分の皮膚の病変が治りにくいので糖尿病ではないかと心配していると答えてくれた。皮膚病変の湿疹様で感染ではないのだが、肝機能。腎機能を含めて採血をした。奥様についてはすぐにリクエストの大腸内視鏡や超音波の準備をするのではなく、どのような理由で希望しているのかを訊ねてもらった。すると・・・一か月前から腹痛があり、下痢もある、それで心配になったとベトナム人スタッフを介して教えてくれた。ベッドに横になり、痛い部分を触ってもらうと腹部全体、痛みに波があるという。腹鳴も聞こえた。すでに上部消化管の内視鏡検査はどこかの医療機関で受けていて、何でもないと言われたとのこと。聞けば痛みは初めてではなく、2年前辺りからときどきあったらしい。疾患としては症状やヒストリーから小腸、大腸疾患、とくに過敏性腸症候群を疑う。
ベトナム人スタッフが来院するのが2週間後の土曜なので、まずはトリメブチンとビオスリーを2週間分処方、腹痛にはスコポラミンを処方し、2週間後の土曜日に来院してもらい、症状がどのように変化したかを報告してもらい、改善傾向がなければ大腸内視鏡検査等、予定する方向で納得してもらった。このようなケース、電話通訳を含めて通訳がいないと診察さえむずかしい。そしてやりとりにかなりの時間がかかる。医療機関が電話通訳の費用を懸念して電話通訳を利用しないというのもよく理解できる。医療機関に負担を求める限り、
外国人患者受け入れは進まないだろう。
土曜日から久しぶりに北海道へ。ふるさと、夕張郡栗山町の空気を吸い、短い夏は朝早くからセミを追いかけ、長い冬はスキーをしていた御台師山のそばに行き、一人で大人用の長い竿を持って魚を釣っていた夕張川の川面を眺め、町役場の祖父の銅像に挨拶し、数えてみたら70年の付き合いになるかけがえのない友人に会い、元気になりました。感謝。
2023年07月31日
令和5年7月31日月曜
posted by AMDA IMIC at 09:01
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