某欧州の若い女性、留学生だとのこと。数日前に体重が減っているから胃の検査を行ってほしいと支援者らしい日本人から電話があった。別の医療機関で血液検査などを受けたとのことなので、ただちに内視鏡検査を行うのではなく、まずは先の医療機関で行った検査結果を見せてくださいと話した。それらしい女性がやってきたのは午後になってから。聞けば来日直前につきあっていた男性との別れがあり、朝は食事をしなくなり、3月以来、体重が10キロ減ったという。見せてくれた血液検査の結果では、血糖値が70で、GFR Creatが65、ほかに肝機能など異常な所見はなかった。しばらくこのデーターを見ながら、彼女を前にして考えた。採血と食事との関係を訊ねると食後3時間で採血したのだとこと。食後、3時間にしては血糖値が70と低すぎるし、65以上が正常範囲内であるGFR Creatも20台前半という年齢を考えると低すぎる。これらについての説明を行い、あらためて空腹時の採血をさせてもらうことの了解を得た。普通体形のお嬢さんなのだが、よくよく考えると10キロやせても今の体形ということは、以前はもっとふくよか・・というより肥満体形に近かったのだろう。先の血糖値もGFR Creat もやせた結果なのか、原因なのかもよくよく考えねばならないし、動悸がすると訴えていたこともあり、甲状腺機能のチェックも必要、今の栄養状態をみるためにアルブミンも調べておこうと思う。拒食症である程度、やせてしまうと、それからあせって食べようとしてもなかなか食欲が湧かないことがある。動悸も自律神経失調症のような気がすると、それと疑うには甲状腺ホルモンの血液検査のほかに心電図で異常がないことも確認しなければならないだろう。最初の医療機関ではうまく英語が伝わらなかったと彼女が話していたが、これだけのことをまちがいなく伝えるにはある程度の英語力は必要と思う。
ベトナム人女性33歳、左の上腕の皮下に埋め込まれた避妊用のチューブの摘出術施行。同じベトナム人のご主人が付き添って都内からやってきた。触診で扇状に二本挿入してあった。できるだけ小さな創で抜去しようと思うのだが、扇のかなめが少し距離がある。二本の間を5ミリほど切開し、皮膚をずらしながら二本摘出まで5分かかったかかからないか・・・外科医でよかったと思う瞬間。抜糸で医療機関を受診する必要がないようにアロンアルファでとめておいた。
先週の木曜に取材に来たNHKの方からメールあり。来週火曜の夜6時からの首都圏ニュースで放映されるとのことだった。時間のある方はぜひご覧いただきたい。
2023年07月15日
令和5年7月15日土曜
posted by AMDA IMIC at 09:39
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