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2023年03月24日

令和5年3月24日金曜

前日が休診日、前々日の火曜日が祝日だったためだろう、朝から机の上は数えたくなくなるようなカルテの数。おまけに朝のうちに準緊急の内視鏡検査が1人。中には1時間以上、待ってくれていた患者もいたはず。必死に診療しているのだが、申し訳なく思う。
 フィリピン人女性49歳、日ごろは高血圧で通院している。数日前から耳に空気が入っている感じと話す。これはもう耳鼻科と本人に話したが、耳鼻科でうまく症状が話せないと言うので、フィリピン人スタッフの力を借りて、詳細に症状を聞き取り、情報提供書を書いた。
 フィリピン人男性43歳、数日前に左側頭部がガンガンする耐えがたい痛みがあると来院し、問診から片頭痛を考え、スマトリプタンを処方していた。僕が指示したように疼痛が始まってすぐにスマトリプタンを内服しても効果がないとのこと。男性に多い群発性頭痛としては症状が軽すぎる気がする。暴れまわるぐらいの頭痛が来ると聞いているし、僕が経験した患者も心配するぐらい暴れていた。ただ、群発性頭痛ではないと否定することはできないかもしれない。気になるのはチックのように小刻みに痙攣するようなそんな症状があること。これ以上は僕が診るべき状態ではないだろうと考え、近くの公立病院の脳神経内科に情報提供書を書いて行ってもらうことにした。
 午後2時から皮下埋没型の避妊チューブの摘出手術の手術が組まれていた。2時少し前に患者と家族が来てカルテが出来上がって来た。千葉の内房からやってきたベトナム人の奥さんと同国人のご主人だった。僕のクリニックで摘出していることはベトナム人の仲間から聞いたと話していた。そういえば、ここのところ、ベトナム人の手術が多い気がする。左上腕の内側に一本だけチューブが埋め込まれていた。一本なので、できるだけ小さい創で摘出してあげようとチャレンジ、マークをつけて局所麻酔を4cc皮下注して・・4ミリ程度の長さの切開を加え、5分程度でチューブを摘出できた。創は6-0シグマ針で縫合して寄せ、結紮はせず。寄せた状態で創にアロンアルファをたらし、急いでシグマの糸を抜去。そのまま創にスリーMテープを貼り付けて終えた。これなら抜糸のために僕のクリニックに来ることも近くで医療機関を探す必要もないし、なにより自費診療で再度費用を支払う必要がない。本人とご主人に終えた手術創を見てもらった。ご主人が「せんせい、ありがとう。ベトナム人にたくさん宣伝しておくよ」と言うので、気持ちはありがたいのだが、苦笑した。この程度の小外科なので、ぜひ全国の医療機関で行っていただきたい。僕のクリニックにやってきて同じ摘出術を受けた方で一番遠方からやってきたのは関空に勤務していた韓国人女性。手術を終えてそのまま羽田から関空に戻って行った。長野や静岡、栃木の福島県境からも・・・問い合わせは札幌からもあった。これって普通じゃないだろう。日本では皮下埋没型の避妊法は認められておらず、行われているというのを聞いたことはない。したがって、摘出を経験する医師も極めて少ないはずだ。明日の土曜日、某医学部の学生の見学、そしてAMDA国際医療情報センターのスタッフの見学が予定されていた。明日、予定を組んで、患者にお願いして貴重な小手術を彼らに見てもらえばよかったとつくづく後悔した。
posted by AMDA IMIC at 08:52 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)