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2023年03月18日

令和5年3月18日土曜

金曜日だというのに・・・私の診察室で診た外国人患者が13人。
ドミニカ人女性、高血圧有。頭になにかあるのではないかという疑いを持っていて、どうしても頭部のCTスキャンを撮影してほしいと来院したのが先週。近くの公立病院にCTスキャンの検査を依頼し、放射線診断部の医師の読影付きで結果が戻って来た。もちろん結果は「異常なし」。今度は左の前腕の発赤が気になるとのことで皮膚科に診療依頼を書いた。
 初診のバングラデシュ人男性26歳、会社へ提出する健診を受けるために来院。道に迷ったとかで1時間遅くやってきた。出身地を聞くと「チッタゴン」と言う。たしかバングラ第二のインド洋に面した都市で、その東はコックスバザール、そしてロヒンギャ族が逃げてきたミャンマーとの国境の川がある。もう30年近く前にロヒンギャの難民支援にAMDAが医療団を送ったところだ。僕がチッタゴン、コックスバザールという地名を知っていることにかなり驚いていた。
 フィリピン人女性69歳、いつもの高血圧と高脂血症の治療。
 フィリピン人男性56歳、会社の健診でs-GPTがやや高値で来院。もしやと思い、HA抗体を調べたところ、陽性だった。結果を説明した。
 韓国人女性65歳、いつもの高血圧の治療。前日、韓国の大統領と日本の首相が銀座で会食したことについて・・・仲良くしてくれないとこちらは居にくいよ、肩身が狭い、韓国でこれに反対している人はここのところ、よく考えてほしいと話していた。政治的内容なのでコメントはしないが、発言は事実なのだろうと思った。
 ベルー人女性74歳、先日、ベルーに帰国したが、数年ぶりに僕に会いにやってきたベルー人男性について語ると・・・〇〇〇って苗字は〇〇じゃないの?と言う。その通りだと答えると、ああ、来てたのねとおっしゃる。どこかでつながっているらしい。
フィリピン人女性64歳、高血圧の診療。診療を終えてからひとしきり、楽しそうにおしゃべりをして帰って行った。
フィリピン人女性68歳、やはり高血圧の治療にやってくるのだが・・・生活保護がはずれない。今の年齢からは今後も外れるのはむずかしいだろうと思った。
初診の米国人男性41歳、米軍基地に勤務。9か月前から疲れやすいとのこと。それで受診した日本の病院の健診結果も持参してきてくれた。通常、疲れやすいと言われると考えるのは糖尿病や肝疾患や甲状腺疾患。健診結果では糖尿病と肝疾患は異状なし。甲状腺については調べていなかった。血圧も脈拍も正常範囲内。考え込んでいると、「ときどき副鼻腔炎になり、薬をもらっている」と住まいの近くの耳鼻科でもらった薬の袋を見せてくれた。一つには「フロリード ゲル」と書いてある。これは食道にカンジダなど真菌が生えたときの治療薬だ。真菌が生えるということは免疫力が低下しているということもありえるわけで、エイズなども考えねばならない。HIVの検査もしなくてはと遠回しにフロリードゲルを内服している意味について説明を始めたら、「HIVの検査を受けたけど陰性だった」と先に言われてしまった。実はHIVの検査が必要だと言いたくて、いま、説明を始めたんですよと僕が言うと「そうだと思って、先に言いました」と返す。ここでお互い、見合って大笑いしてしまった。甲状腺を含めて糖尿病、肝機能など採血し、次回はさらに情報を得るために奥様に同行してもらうことにした。
フィリピン人女性54歳、いろいろと質問あり。応えきるまでにかなりの時間がかかった。最後に睡眠導入剤のゾルピデム5mgを取り出して、これが欲しいと言う。ご主人が内服しているのを「泥棒」しているのだそうだ。「今のだんながだめだから新しいだんな探さなくちゃあ」と言って大声で笑って出て行った。冗談なのか? 冗談にしてこういう類の冗談はあまり好きではない。
初診のフィリピン人女性43歳、足のしびれと両下肢の痛みがあるという。夜中に痛くて目が覚めることもあるが、日中は痛みはないとのこと。下肢を見せてもらったが、静脈瘤があるわけでもない。胸にときどき痛みがあるというので、念のために乳がんチェックも行ったが、異常所見はなし。肥満体形なので糖尿病なども疑い、採血を行った。
アメリカ人男性30歳、呼吸器症状と軽度の発熱とのことだったのでクリニックの外で新型コロナとインフルエンザの抗原検査を施行。いずれも陰性で、中に入ってきてもらって診察を行った。普通の「風邪」と考え、内服薬を処方した。
中国人女性55歳、寝られないとのことで睡眠導入剤を定期的に処方している。こちらの言うことは聞いてくれず、自分の主張に沿ったものだけを受け入れる。日本人の医師にとってこういう人の診療は慣れるまで、むずかしいだろう。
上記のほかに小児科でも外国人患者に奮闘。日本人患者の間にこんな外国人患者の診療がほぼ毎日の僕のクリニック。気がついたら立派な国際クリニックだと思う。
posted by AMDA IMIC at 13:47 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)