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2023年03月03日

令和5年3月3日金曜

患者数の割には外国人が多かった一日。ベトナム人男性82歳。インドシナ難民として日本にやってきてもう40年近くになるのだろう。かなり思い込みが激しいタイプの人でなかなかこちらの言うことは聞いてくれないのだが・・・僕のクリニックまでは遠いとので住まいの近くのF市の医療機関に紹介状を書いてほしいと言われて、情報提供書を書いたのが昨年の10月。そちらには受診することなく、戻ってきてしまった。高齢になったインドシナ難民出身のベトナム人は少なくない。高齢になると郷愁にかられてベトナムに帰りたいという高齢者も少なくはない。しかし、一度「国を捨てた」彼らに対する現政権の対応は厳しい。政治に翻弄された人生そのもので、かけてさしあげる言葉が見つからない。
 フィリピン人女性63歳、ご主人が肺がんで放射線治療を開始したところだそうだ。僕のところには紹介先の医療機関から最終検査中ですとの文書しか届いていない。確定診断が得られて、治療が始まったということなので喜ぶべきことだ。高血圧の診療を終えてから左の肩が痛いと訴える。話を聞いていくうちに、自身もご主人同様、肺がんに侵されているのではないかと考えていることがわかった。そんなことはないと話しても納得してくれず、胸部レントゲン撮影を施行。結果はどこにも異常がなかった。
 アフリカ某国の男性56歳、診察室に入って来た時の顔つきから悩みが深いことがわかった。問診票にはめまいと書いてあったので訊ねてみると、めまいはもうないと言う。めまいはあったが、寝られないからだと話し出した。彼の話は延々と続いたが、聞いてあげないと全容がわからないのと、聞いてもらえないというストレスが溜まっているようなので、最後まで聞くことにした。わかったことは・・・新型コロナの流行下に職を失い、新たな職を探そうとしたが、なかなか見つからないこと、日本人の奥さんがこどもを連れて出て行ってしまい、離婚には至ってはいないが、別れて暮らしていること、帰ってきてほしいのだが聞いてもらえないことなどだった。これらがストレスとなり、不眠、精神的不安につながっているらしい。本人の談によると一日3時間程度しか寝られないとのことなので、これでは体調は悪くなるはずだ。アルプラゾラム40mgを一日二回食後に内服、そして寝る前にゾルピデム10mgを一錠内服してくれるように話し、処方した。帰り際に、通院するために職場に説明が必要なので診断書を書いてほしいと言われた。あれっ、仕事先があるのだなと思った。
posted by AMDA IMIC at 09:37 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)