フィリピン人女性40歳、1年ぐらい前から頸部右側が腫れると来院。食べるときや飲み込むときに明らかに腫れて、しばらくたつと腫れは消失するとのこと。思い浮かぶ疾患が一つしかない。いつごろからこのようなことがあったのかと尋ねたら、少なくとも今回ではなく、かなり前。それも一回このようなヒストリーがあるとしばらく続くと話していた。診せてもらうとたしかに鎖骨から3横指ぐらい頭側が腫れている印象だった。痛みはないという。側頸嚢胞ではないだろうか? ほかに思い当たる疾患が全くない。この疾患だろうと話すとなぜか喜んでいる。聞けばどこに行ってもわからないと言われたそうだ。側頸嚢胞であれば先天性の疾患である。根治療法としては手術しかない。今、悩んでいるのはどこの医療機関に紹介すべきかということだ。もうひとり、どこに紹介すべきか悩んでいるのは米国人男性。この方は臀部の左右が割れ目となってぶつかる正中にかなり大きな炎症があり、膿がたまり、けっきょくは自潰してしまったケースだ。必ず同じ場所にできるこの疾患も珍しい疾患だ。これは毛巣瘻といい、たしか毛深い人に多く、毛が中に入って刺激して感染をおこす疾患だ。根治療法はやはり手術しかない。勤務医だったころに数人、手術を行った記憶がある。よく見ると小さな穴があいており、ここを中心に楔形にかなり深くまで切除し、縫合しなければならない。これらの二つの疾患は治療の経験がない外科医なら、もしかしたら受け入れ拒否をするかもしれないと頭が痛い。
74歳ベルー人女性、心疾患で他院受診中。一昨日からひどい下痢だそうだ。幸い、発熱もなく、水分も取れるということで、ビオスリーだけ処方し、飲食と手洗いなどの注意点について説明しておいた。彼女は娘が2人、息子が1人、近くに住んでいるのだが、ひさしぶりに拝見したカルテには生活保護の字があった。
2023年01月19日
令和5年1月19日木曜
posted by AMDAcenter at 09:25
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