昨日、外務省と国際移住機構共催のオンラインシンポジゥムにシンポジストとして参加した。タイトルは外国人の受け入れと社会統合のための国際フォーラムで医療を中心に話し合うということでシンポジストを依頼されたのだが・・・シンポジストで医師は僕だけ。医療通訳等をコーディネートしている方や医療通訳の方の話を聴けてとてもよかった。このような話し合いはぜひ日本医学会総会でも行ってほしい。たくさんの医師に話を聴いてほしいのだ。
今回のシンポジゥムで僕が訴えたかったことは3つだ。一つは医学生、看護学生の教育カリキュラムの中に外国人に対する医療を入れてほしいこと。残念ながら、地域医療として外国人の患者を診ることに関心を持っていてくれる医療関係者が多いとは言えない状況だ。そんな状況で外国人患者を診ることはトラブルにもつながりかねない。今や、日本に住む外国人は300万人近く、現状を打破するには外国人の医療について学生の頃より講義を受けて、理解を深めておくことがなにより大切だと思ったからだ。そしてこれが自らのそして医療機関の危機管理にもつながるからだ。
次は差別と逆差別、そして平等の意味をよく考えて行動することだ。難民条約を批准している我が国は「医療については内外平等原則」の原則に立っている。ゆえに外国人を差別することは決してあってはならないが、一方、外国人に対して過剰なサービスを提供することは日本社会の一部に外国人に対するヘイトを呼び起こす可能性がある。
最後は日本社会全体に申し上げたい。わが国において国から都道府県、市町村に至るまで、政策やなにかを立案するのはわが国に居住する圧倒的多数である日本人だ。たとえば、建築物を作るとき、車いすの人が利用しやすいようにと構造を考えるように、「この政策、このシステムを日本語がわからない外国人が本当に利用できるのか」という視点、我が国には日本語が理解できない人たちが隣人として暮らしているという視点を行政に働く人たちだけでなく、我々、多数派の日本人が忘れずに持っていないといけないと思う。
2022年03月03日
令和4年3月3日木曜
posted by AMDA IMIC at 09:15
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