夕方になり、アメリカ軍厚木ベースから51歳女性来院。主訴は頭痛。まずはどのようなタイプの頭痛なのか、片頭痛なのかどうかを確認しようと問診を始めたら、付き添ってきた女性が処方箋が欲しいとつぶやいているのが聞こえた。ストレスが多いのよ・・・とも聞こえた。問診上は片頭痛ではなさそうなので、血圧を測定したら・・160/100 。いつもの血圧については本人もわからないようだが、これでは頭痛も来るだろう。胸苦しさもすこしあるようで、脈拍も90を超えていた。アムロジピン5mg とピソプロロール5mgを処方した。徐脈というピソプロロールの副作用を利用して脈拍も抑えようと考え結果だ。家族歴に糖尿病が多いので、次回10日後には空腹時採血を行い、肝機能、腎機能、脂質代謝にあわせて糖尿病関係の項目もチェックすることにした。もし糖尿病関係の数値が悪ければ、腎機能にはあまりよくないといわれるピソプロロールはやめて、ほかの薬を処方せざるをえないだろう。
前日のPCR検査の結果、陽性者は17人だったが、その中にぺルー人が二人、ラオス人が一人、フィリピン人が一人。フィリピン人にはフィリピン人スタッフから連絡を入れてもらい、自宅療養や濃厚接触者の取り扱いについて話してもらった。ペルー人二人とラオス人については僕自身が電話でなんとか説明をしたが、その後、ベルー人の一人から折り返しの電話があった。自宅療養や濃厚接触の取り扱いがわからないと。かなり説明を追加したが、僕のスペイン語の限界を超えそうになった。県はホームページに自宅療養についての各国語版があるという。探してみたら、たしかにあるが・・・多くの外国人はあそこまでたどり着けないだろう。ピークに近づきつつあるのだが、外国人感染者や濃厚接触者が自宅療養や濃厚接触の取り扱いについて、都道府県の境を超えて受け付ける相談窓口が必要だろう。
昨日、人生はじめてMRI検査を受けた。その病院では検査の前に「発熱はなかったか、感染者との接触はなかったか、最近、PCR検査を受けたか・・」などの問いが書かれた紙に記載を求められた。マスクとフェイスシールドをつけているとはいえ、毎日、多い日は30人近い感染者のPCR検査を至近距離で行ってきた僕は濃厚接触者にならないのかどうか、考えこんでしまった。しかし、ここで「感染者との接触があった」に〇をつけると大騒ぎになったあげく、僕自身、検査が受けられないのではないかと思い、×をつけておいた。どうなんだろう?
昨日の国会中継やら大阪府知事の発言を見ていると、この人たちに政治を任せておいてだいじょうぶかと思ってしまう。国会中継は立憲民主党の長妻議員が首相に「今回の感染増加で緊急事態宣言を考えていない理由は何だ」と問いただしたのに対して、首相が「今の状況では考えていない」と答えたものだが・・・緊急事態宣言を考えない理由は感染者の急増はあっても重症者が少ない、死亡者が少ないからではないのか? ここをはっきり言わないので意味のないやりとりになってしまっている。1月に僕のクリニックで見つけた陽性者は230人近く、全員が軽症、おまけにここにきて濃厚接触者は症状がない限り、自宅にいてよい、医療機関に行く必要はないとなれば、普通の風邪とどこがちがうのが、わからない。だれがどう考えても二類感染症とは異なる実態だし、取り扱いも二類感染症への対応ではない。首相がはっきりとこのように述べれば、つじつまが合う。大阪府知事の発言も同様で、これで緊急事態宣言を求めたら暴動がおきてしまう。こういうときにどうして日本医師会が黙っているのか、不思議でならない。日本医師会の権威と尊厳をかけた戦いだと思うが。
昨日の昼前、30年以上、お世話になっている理髪店の奥さんから僕の携帯に電話があった。2日前にお客さんとしてやってきた人から電話があり、コロナに罹ったと言われたそうだ。自分たちは無症状なのだが、濃厚接触になるのか、仕事はどうしたらよいのだろうと質問された。保健福祉事務所に訊ねても、はっきりとした答えはくれなかったそうだ。まず、手で髪の毛を触っているし、濃厚接触にはなるだろう、オミクロン株だと推定できるので潜伏期は3日間程度、だから金曜日までは休むようにとアドバイスした。これでは商売があがったりだよと言われたが、その通りだろう。現状の新型コロナの症状で、濃厚接触者に自宅待機10日前後を強要したら、個人の経済も社会の経済もすべてがおかしくなってしまう。だからこそ、真の医学的見地に基づいた政治の力が必要なのだ。
2022年02月03日
令和4年2月3日木曜
posted by AMDA IMIC at 09:03
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