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2021年11月29日

令和3年11月29日月曜

フィリピン人男性52歳来院。英語がそこそこしかわからないようなのでフィリピン人スタッフの同席、通訳のもとに診察を進めた。血圧を測定すると170/100と高い。最後の来院日をカルテで見ると10月2日となっている。その時にテルミサルタン80mgとハイドロクロールサイアザイド12.5mgの合剤を一か月分処方している。今日の朝は薬を飲んだ?と訊ねると「飲んだ」と答える。指示通り、毎日飲んでいるならとっくに薬はなくなっているはずだ。ところが・・「薬はたくさんあるし、効果がない」と言い始めた。そんなばかなと思ってカルテをよく見ると、最後の診察は10月2日でも2021年ではなく、2020年だった。それからフィリピンに帰国してまたやってきたのだという。薬はテルミサルタンをフィリピンからたくさん持ってきたと言う。ここでようやく話がわかった。フィリピンに帰国して再度、日本に来るにあたり、できるだけ医療機関を受診しなくても済むようにテルミサルタンをたくさん購入してきたということなのだろう。それを内服しても効果がない、血圧が高いのでやってきたということだ。最後の診察まで1年ほど通院歴があり、その間、テルミサルタン80mgとハイドロクロールサイアザイド12.5mgの合剤で血圧は130/80程度のコントロールできていたことを確認、再度、前回と同じようにこの合剤を処方しようとすると、テルミサルタンでは効果がないと言い始めた。そこでフィリピンから持ってきたテルミサルタンを今日、持っているなら見せてほしいと言うと「ない」との返事。あれば説明は簡単なのだが・・・・テルミサルタンには20mg,40mg,80mg があり、一番強い80mgとさらにもう一種類の降圧剤であるハイドクロールサイアザイド12.5mgの合剤を昨年まで使っていて、当時は血圧がよくコントロールされていたので、今回もこの処方で大丈夫と話した。冒頭に書いたように言葉の行き違いがないように、すべてはフィリピン人スタッフの同席、通訳のもとで話している。フィリピンから持ってきたテルミサルタンを持ってきてくれなかったので、何mgのものかもわからないけど、それでもそれよりは降圧効果が強いはずと続けた。そして処方を書いたがなんだか不満そうな顔つきをしているとは思った。それから数人の診察を済ませたとき、フィリピン人スタッフが困り果てた顔で診察室にやってきた。どうしてもテルミサルタンの合剤では納得がいかないらしく、別の「強い」薬にしいほしいと話しているという。テルミサルタン単独ではなく、別の降圧剤との合剤だと説明しても聞き入れないという。ここでこの合剤を使うことをあきらめた。昨年通院していたころ、境界型の糖尿病もあり、食事療法を行っていたこともあり、ペーターブロッカーは腎機能を考えると使うべきではないだろう。考えた挙句、イルベサルタン100mgとアムロジピン10mgの合剤にカプトリルR17.5mgを朝夕食後に加えることにした。なんとも言えない敗北感・・というか、ここまで通訳を入れても理解してもらえないかというだれに文句を言っていいのかわからない、やり場のないイライラ感だけが残った。外国人医療のむずかしさの典型だ。日本人にもこのような人がいないわけではないが、外国人に圧倒的に多い気がする。学問的に理論的に説明しても理解されないし受け入れられない。保険診療の範疇ではできないようなことを求められることもある。僕のクリニックにはフィリピン人スタッフはじめ、いくつかの言語のスタッフがいるし、英語は3人が対応できている。それでも診察中にこのようなことがあると診療がストップしてしまうし、ましてや受付でなにかトラブルがあるとクリニックの機能が麻痺してしまう。だからこそ、厚労省が外国人受け入れのためのワンストップを作るというなら、日本側である医療機関だけではなく、外国人の側の医療・医事、あるいはこれから受診しようとしている内容等についての質問を受け付けてくれる、そういう機能をワンストップに持たせてくれないと、防波堤を作ってくれないと医療機関から見て、本当のワンストップにはならない。いやな思いをした医療機関は外国人受け入れにネガティブになっていくだろう。それではいけないし、厚労省の思惑とは反対の方向にことは進んでしまう。それでは結果的に予算の無駄遣い、単なるバラマキになりかねない。ここを深刻に真剣に考えてほしい。
posted by AMDAcenter at 09:29 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)