前日にPCR検査を行った外国人はすべて陰性、ほっとした。インド人男性27歳、腸チフスを疑っているのでVidal testをしてほしいと一週間前にやってきた。とくに大きな症状もなく、あるのは疲労感と軟便。インドではそんなに腸チフスが多いのかしらと思いながら、まずはVidal testより便の培養を行い、サルモネラ菌がいるかどうか、調べてみようと提案し、行ったが・・・もちろん結果は陰性だった。結果を伝えると納得した様子でそのまま帰るかな?と思ったが、「ドクター・・」と今度は舌がおかしいとの話。なにか触れるというが触ってもわからない。ここで話が途切れそうになったが、味覚がおかしいともいうのでまずはビタミンB2を処方して様子をみることにした。同じくインド人男性44歳、高脂血症で横浜から通院してきてくれる。たしか、2週間前に処方したはずなのにカルテが並んでいる。血液検査の結果も電話で話したはずなのにどうして?と思いながら、診察室に入って来てもらった。どうしたのか?と尋ねると、自分はいつもは目がいいのだが、たくさん食べた後にピントが合いにくいとのこと。空腹時にはキチンとピントが合うという。こんな病気があるのか?と思いながらも一駅離れたところにある眼科に情報提供書を書いた。
この二つのケース、言葉や医療費や医療に関する文化や習慣などという一般的に外国人を診療する際の問題をさておいた外国人医療のむずかしさを物語っている。その一つは言葉ができるとなんでも相談されてしまうということ。もうひとつは腸チフスを疑ってしまったり、食べすぎると目の焦点が合いにくく、おなかがすくと焦点が合う、そして舌の話など・・・こちらが困り果てる内容というか発想が多いということ。気のせいと言ってはいけないし・・・彼らは二人ともIT関連の会社に勤務するインテリだ。眼科医もきっと困ったにちがいない。
2021年07月12日
令和3年7月12日月曜
posted by AMDA IMIC at 10:21
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