2021年01月02日
令和3年1月2日土曜
海外渡航と発熱患者だけ受け入れるつもりでいたが、朝、クリニックにやってきた直後の7時半ごろ、電話の着信があり、受話器を取ってみたら、英語で「きょう、診てもらえますか?」とのこと。どうしたのですか?と尋ねると、おなかが痛いという。発熱はないとのことなので、9時から10時の間に来てもらうことにした。海外渡航のナイジェリア人のPCR検査を6人済ませたころに現れたのはインド人男性31歳、近隣のA市からだった。食事をする前に痛い、食べるとすこしよくなる気がすると言う。これだけなら胃酸が高い状態、十二指腸潰瘍を疑うが、痛いところを触ってもらうと、「朝はこっち、今はこっち」とおへその周りや、左右の下腹部を指さす。一昨日、A市内の医療機関を受診したところ、この薬をもらいましたが、内服しても効果がありませんと言いながら、見せてくれたのはネキシゥムとイルソグラジンだった。消化性潰瘍を疑ったのだろう。どういう病気を疑うと言われたのかと訊ねたら、日本語がわからず、説明が全くわからなかったと教えてくれた。ベッドに上がってもらい腹部の触診、聴診を行うと、腹鳴が亢進している。所見から考えられるのは急性感染性腸炎だろう。下痢をしていなかったかどうかを尋ねると、腹痛が始まった22日ごろには水のような下痢をしていた、現在は下痢はないとのことだった。食事について尋ねると、食欲が落ちたことはあまりなく、ずっといつものように食べていたと答えてくれた。インド料理だからカレー?と尋ねるとそうだとのこと。インドのカレーは高カロリー食だ。これは感染性腸炎に罹患したあとの食事療法がうまくいっておらず、長引いているだけだろうと推察した。痛みも強弱強弱するというので、これまでの話を英語で説明、食事療法について説明、最後に腹痛時のためにスコポラミンを処方して終えた。元旦は帰国するナイジェリア人6人を含めて、外国人の受診者は10名、受診者総数は18名。海外渡航のほかにPCR検査は発熱患者が5人、無症状の濃厚接触者が4名、いずれも結果はきょうの早朝に判明する。最後にやってきた男性は発熱してすでに3日を経過しているので簡易抗原検査を行ったところ、速攻で陽性反応。発熱センターに彼が相談したのが31日の夕方、同センターから当院に受け入れ打診があったのが1月1日の午前11時ごろ。同センターへの電話問い合わせが急増して対応が遅れているそうだ。また近隣の保健福祉事務所から陽性者についての問い合わせあり、その時に「前日、陽性で発生届が出された人について30人には当日連絡できず、本日に積み残した」と教えてくれた。陽性者が早く早くと自宅で指示を待っているのに、それが翌日になってしまうとは・・・患者や濃厚接触者の急増で発熱センターの機能も保健福祉事務所経由の機能もオーバーフローですでに崩壊していると言って過言ではないだろう。対策は2つ、一つは二類感染症に指定されているために発生する法的に行わねばならないことのうち、必要ないことを省くこと、さきほどの発熱センターの件やとくに保健福祉事務所の件だ。二類感染症を外してインフルエンザと同じ五類感染症とすることで解決するだろう。もう一つはワクチン接種を可能な限り、急ぐことだろうと思う。
posted by AMDA IMIC at 08:33
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