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2020年10月08日

令和2年10月8日木曜

隣のZ市からやってきたベトナム人女性69歳、受付までやってきてメモを見せたらしい。そのメモをスタッフが持ってきた。見ると日本語で「下腹部、腰が痛い。すごく痛くて熱い。精神病がある」と書いてあった。付き添ってきたのは息子さん、メモを書いたのは息子さんではないと言う。患者の「支援者」の誰かが書いたらしい。診察室では僕が症状について一つ質問すると、その明確な回答が返ってくるわけではなく、延々と自分の症状の話になっていき、要領を得ない。現在、なにか薬を内服していませんか?と問うと、こちらについても要領をえない。薬手帳を確認させてもらうと高血圧や高脂血症で某クリニック、緩和精神不安定剤を別の某クリニックで、いずれも長期に処方してもらっていた。排尿回数が多く、夜は寝られないぐらいと話すので、まずは検尿を行った。すると尿が混濁、亜硝酸塩が出ているので、これは膀胱炎がひどいための症状かと疑い。まずは抗生物質を処方して様子を見ることにした。この話をしているときにベッドサイドの壁に貼ってあるタイのお寺の写真などを見ていた患者が「これ、タイか?」と言い出した。そうですと答えると、「タイに住んでいた」と言い、「えーとスークムビットのソイの1の近くの・・・」と続けながら、なぜかタイ語で話し始めた。驚いてタイ語で応じると、顔がぱっと明るくなり、話を続けるのだが、やはり要領を得ない。タイ、とくに東北タイにはベトナム人が多く住んでいる。フランスとの独立戦争や南北ベトナム戦争のときに戦火を逃れてメコン川を上流に逃げて東北タイにたどり着いた人たちがいる。その子孫なのかと思ったがちがうとのこと、またこの年齢で日本に住んでいるベトナム人と言えば、インドシナ難民として日本に定住を希望して受け入れられた8000人がいるが、そのうちの一人でもないという。タイには日本人のご主人の仕事で5年住んでいたのだそうだ。彼女を診察していて、話を続けて、感じたことは大きな精神疾患があるというより、性格的なものが大きいのではないかということだ。この日の診療を振り返ると、今後の診療が大変だろうと予測してしまう。上記の二つのクリニックでも手を焼いたのだろう、抗生物質が効きますように祈りたい。
posted by AMDAcenter at 09:05 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)