2020年07月03日
令和2年7月3日金曜
アフリカ某国からの留学生、痰や咽頭痛などの症状あると来院。咳はなし。熱は?と訊ねると「測っていない」とのこと、電子体温計を使ってもらったところ、37.6度。風邪で済ましてよいのかどうか、悩んだが、本人と相談し、今日の医師会のPCR検査を受けてもらうことにした。医師会のPCR予約センターに電話し、予約。その際、日本語はどうですか?と訊ねられた。本人に英語で訊ねてみると、「日本語はあまりできない」と英語で答える。医師会のPCR検査の場所、注意事項など事細かに説明した。まさか、これで通訳が同行しなければ・・とは言うまい。日本語がうまく理解できないと、こういうところにまで影響が出るとは。この2カ月、僕が医師会のPCR検査を申し込んで受けてもらった外国人は欧米の方が3人、フィリピン人が1人、これで5人目となる。幸いなことに過去の4人はいずれも陰性だった。秋から冬にかけて今より発熱患者は明らかに増えるだろう。ウィルス性の感染症だけでインフルエンザ、「普通の」風邪、そして新型コロナなど、それは僕のクリニックだけではない。全国的に同じはず。一つの医療機関で発熱患者が一日10人以上なんて、インフルエンザの流行時期にはごく当たり前。それに医療機関の数を掛け算した人数をすべて、各地の医師会が行っている発熱外来で診察するのは数的に無理、すなわち「発熱外来」というシステムは崩壊するだろう。医師会のPCR検査に患者を紹介しても、それも人数制限をはるかに超えることだろう。するとピンチを乗り越える方法は風評被害を恐れずに、自らの医療機関で発熱患者を診療し、必要に応じてPCR検査を行う、それも感染のリスクを低くするために唾液で検査を行うという方法しかないのではないかと思う。抗原検査を行うという方法もないわけではないが、現時点で抗原検査の多くは鼻咽頭からの検体採取によるものであり感染のリスクが高い。最近、より感染のリスクが低い採血による方法でも可能になったと聞いたが、それには器械が必要とのことなので、開業医には導入は難しそうだ。いずれにしても自らの医療機関で新型コロナの診療と検査を行う場合は、一般の患者といっしょにならないような時間帯または動線の確保が必要となるので、面積が小さな医療機関では難しいことになる。さらに、乳幼児など唾液採取が困難なケースは鼻咽頭からの検査を行わねばならず、したがって検体採取する側への感染を避けるために「重装備」が必要なので、それなりの医療機関で行ってもらう必要があるだろう。さて、このようにややこしいシステムを構築しなければいけなくなるわけで、その中で、日本全国、外国人患者もきちんとフォローしなければいけないのだが、各地区のシステムの説明、当日の言語対応などきちんとできるのだろうか?
posted by AMDA IMIC at 09:11
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