2020年06月04日
令和2年6月4日木曜
スリランカ人女性22歳、隣のA市から。同じスリランカ人のご主人が付き添ってきた。日本語は買い物程度だと思われる。英語で話しますか?と問うと、そちらのほうがいいとのこと。来院の理由を尋ねるとご主人が胃が痛いからと言う。どういう時に痛くなるの?とさらに尋ねると排尿の後と答える。どう考えても一つの病気では説明しがたい。ベッドに横になって触らせてもらい、聴診器で腹鳴を聞いてみた。どこが痛いのか、触ってもらうとへその周囲、これは胃の痛みの場所ではない。むしろ大腸、小腸の動きが強い場合に痛みを感じる場所だ。それにしてもこれだけではなにかわからないと思い、何かほかに症状がないか、詳しく聞いてみた。すると排尿回数が多くて、その割には一回の尿の量が少ないと言う。たぶん膀胱炎だと気がつき、尿検査を行うと案の定、白血球が相当に出ており、尿が混濁していた。どうして僕のところまで来たのかと聞いてみたら・・近くの病院に行って胃が痛いと話したら、「ここに行けば英語が通じるから」と僕のクリニックの住所が書いてある印刷物を渡されたそうだ。もう少し、症状を聞いてあげたら・・・ここまで来る必要はなかったのではないかと思った。抗生剤を処方し、よく水を摂取して尿量を増やすように、また尿意を感じたらがまんしないですぐにトイレに行くようにと話した。ところで、彼女の名前がイスラム教徒の名前だったので、訊ねてみたらやはりイスラム教徒だった。タミール人?と続けて訊ねると、そうだと答えてくれた。スリランカには多数派のシンハリ人と少数派のタミール人が住んでいて、北インドからやってきたといわれるシンハリ人は仏教徒、南インドから渡って来たといわれるタミール人はヒンズー教だ。ヒンズー教にはカースト制度があり、カーストの低い人たちやアウトカーストの人たちは集団でイスラム教に改宗することにより、カーストによる身分制度から逃れることができる。だから、イスラム教と言われると、民族的にはタミール人だと思ったわけで、この僕の勘は当たっていた。
posted by AMDA IMIC at 09:05
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