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2019年08月30日

令和元年8月30日金曜

またフィリピン人女性の新患、64歳、北隣のS市から。診察の前にフィリピン人スタッフが話しを聞いて書いてくれたメモがはさまっていた。めまいがあること、おなかがぐるぐるし、ときどきキューと音がして痛いとのことだった。診察室に入ってもらい、フィリピン人スタッフにはもちろん付き添ってもらって診察を始めたのだが・・・日本語がそれなりに話せる。これなら風邪ぐらいはどこの医療機関でも十分に診察できると思うのだが・・こと、こういう「面倒くさい」症状の説明については日本語ではうまく言えないようだ。わかったことはS市内の医療機関で高血圧の治療を受けていること、その間もめまいはめまいで収まらないこと、そして1年ぐらい続いているおなかの痛みは下腹部正中から右側だというので、ベッドに寝てもらって腹部を触診しようと服を下げてもらったら、下腹部正中に大きな手術痕がひとつ、そして右側にも手術痕があった。これは何?と訊ねると、正中は子宮の手術をした、右は急性虫垂炎で手術をしたときの傷だという。まずは一番考えやすいのは癒着であろうと推測した。痛みが1年続いていてがんは少し考えにくいかとも思う。めまいの薬と大健中湯を2週間分処方してようすを見ることにした。便秘もあるらしく、便通を整えることも大切と話した。帰り際に、血圧についても今後、見てほしいと言い出した。どこで診察してもらうかは患者が選択してよい問題なので、どうぞと話した。降圧剤はちょうどあと2週間分あるというので、次回からいっしょに診察して処方することになるだろう。今回の診察をふり返って思うことは、ここまで書き記したようなことを患者が通訳なしでうまく説明できるとはやはり思いにくい。通訳なしに診察せざるをえない状況の医師にとっては情報を正確に得にくい、情報を正確に伝えにくい、そして適切な診療をやりとおしにくいということになるだろう。
posted by AMDA IMIC at 09:33 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)