国籍別にはフィリピン5人、USA3人、ネパール2人、ブラジル、韓国、タイ、ペルー各1人であった。
公的保険からみると、社保6人、国保5人、生活保護1人、自費診療2人であった。自費診療の2人はともに米軍基地関係者で、治外法権ゆえに何年住もうと、日本の住民基本台帳に記載の対象外であり、したがって日本の公的保険にも加入できない人たちである。
彼らは自己防衛のために祖国の民間保険会社の保険に加入している人も多く、このようなケースではどこの医療機関を受診しようと、医療費を支払いましたという証明書があれば、保険に定められた支払いの上限を超えない限り、後に保険会社から支払った医療費と同額が銀行口座に振り込まれる。実質、ゼロ負担というわけだ。しかし、民間保険に加入していなければ支払った自費診療額はそのまま、患者の負担となる。
米国での民間保険の掛け金は日本人の我々からみると、信じられないほど高額と聞く。彼らの目には日本の医療費は信じられないぐらい安く映るだろう。再診だけなら支払いは1000円を超えないのだから・・・まるでスーパーかコンビニの安いおかず一品ぐらいだ。
それなら、高額な掛け金を支払って民間保険に加入しなくてもいいんじゃない、という考えは当然出てくる。毎月、生活習慣病で受診して薬をもらっても、受診した医療機関の自費診療費が公的保険制度の保険点数の10割であれば12万を超えるかどうかだろう。それなら100万円を超えるような掛け金を民間保険に支払うのはいやになるというものだ。
こういう考えは本来、日本の公的保険に加入する資格がある外国人の中にもあるようだ。
すでに故国で民間保険に加入している場合、日本に中長期の滞在でやってきても日本の公的保険に加入しようとしない人がいる。国保加入対象となる人たちだ。社保の対象となるような事業所勤務の外国人は事業所が厳格に法律を守っているからだ。
我が国の公的保険に加入資格がある人は日本人、外国人を問わず、公的保険に加入しなければならない義務がある。しかし、罰則のない義務なので加入しなくても罪に問われることはない。ただし、海外の民間保険と日本の公的保険では決定的に違う点がある。海外の民間保険では支払いの上限額があるが、日本の公的保険にそれがないこと、日本の公的保険には高額医療費助成制度があること、そして出産にも利用できることだ。
日本の公的保険は病がないときにも皆で掛け金を支払い、病に倒れたときには皆が支払った掛け金も利用させてもらって元気になったら、また自分も含めただれかのために掛け金を支払うという互助会の精神から成り立っている。元気なときにまで掛け金を支払うのはいやだと皆が言い出したら、公的保険制度は成り立たない。日本に中長期に住む外国人にもこの点をよく理解して欲しい。
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