• もっと見る

2025年04月25日

2025年4月25日金曜

4月24日の患者総数は80人、外国人患者は7人、8.78%と少なかった。
 国籍別にはフィリピン人2人、アメリカ人、インドネシア人、ペルー人、スリランカ人、ナイジェリア人各1人。
 先週からあちこちが痛いと具合が悪いインドネシア人技能実習生23歳について10時頃、実習先の会社の社長の奥様から電話があった。一昨日にクリニックを訪れたときには痛みはもうないと話していたのに、前日、右の下腹痛がひどく、近隣の某三次医療機関に救急搬送されたのだという。採血を行い、CTも行い、すべてが陰性、異常値はなく、けっきょく帰宅したのだと教えてくれた。一昨日に受診をしたときに血を吐いたらしいと言っていることややや貧血気味であったこと、胃潰瘍に薬を処方したところ、上腹部通が改善したことなどを話すと、上部消化管内視鏡検査を勧められたが、受けるなら僕にやってほしいと断ったのだという。朝食は少し食べたとのことだったので、昼は水だけにしてくれるようお願いし、午後3時から内視鏡検査を行うことにした。初診時、採血だけでも大騒ぎしたので、静脈麻酔下に検査を行うことにした。
 結果的に無事に検査を行うことはできたが、静脈麻酔の注射をするのが大変、大暴れで3人がかりで抑えて施行。内視鏡挿入時も大変な力で暴れそうになったが、あっさり挿入できた。十二指腸の第二部までとくに粗大病変はなく、内視鏡を抜去。麻酔を醒ますための静脈注射をするときにも大暴れだったが、覚醒した後に訊ねると、何も覚えていないとのことでほっとした。
 インドネシア語の通訳、社長の奥様と3人でまず話したことは・・・初診時の訴えは赤黒い血を吐いたということと左胸部を痛がっていたこと。診察の終わりになり、急に上腹部痛もあると話したこと、その数日後には内服薬で痛みはないと話していたこと、その翌日に右の下腹部の疝痛がひどく、救急車で搬送され、採血の結果も腹部CTも何も異常所見がなかったこと、これらを総合すると大きな器質的疾患はなく、機能的疾患も考えにくく、話のつじつまが合わないことが多く、メンタルな問題が根底にあるのではないということ、いわゆるヒステリーのような疾患だ。その後、本人を交えて再度内視鏡検査の結果を説明、寝られないことやインドネシアの祖父の体具合が悪くて心配していること、親戚に体が痛くなって亡くなった叔父がいて、自分もそうではないかと心配していることなどを聞き取った。
 大きな病気はないことを強調、薬は処方せず、しばらく様子を見てもよいと話した。本人以外の人には症状を頻回に訴えたり、仕事を休まざるをえなかったりした場合には実習を打ち切って帰国を考えるのも手段の一つであることを話しておいた。
 このケース、インドネシア人である通訳も受け入れ会社の社長も奥様も彼を好意的に見てくれていて、すべての技能実習生が彼のように環境に恵まれていたらと思った。
posted by AMDA IMIC at 10:12 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)
トラックバックの受付は終了しました

この記事へのトラックバック