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2025年03月21日

2025年3月21日金曜

昨日、Yahooで3月15日付の産経新聞の記事を読んだ。タイトルに1年に111億円、短期滞在の外国人の高額療養費制度利用に疑問の声「厳格適用すべき」とある。
 そもそもが、出入国管理庁が定義する短期滞在とは「3か月未満、日本に在住する外国人」のことであり、逆に3か月以上は滞在できないということだ。その典型は観光客や親族訪問で来日する人たちということになる。
高額療養費制度とは国民健康保険や社会保険などの我が国の公的保険に加入している人々の医療費の自己負担分がある一定の金額を超えた場合、所得に応じて自己負担金に上限が設けられていて、それを超えた分は国保、社保から医療機関に支払いがあり、個人の負担は免除されるという仕組みになっている。
すなわち、高額療養費制度の恩恵を受けるには国保、社保に加入していなければならず、したがってその前提である住民基本台帳に記載されていなければならない。その住民基本台帳への記載はわが国に3か月以上滞在する在留資格を持っている中長期に在留する外国人に義務付けられている。3か月未満しか滞在が許可されていない短期滞在者は住民基本台帳に記載されず、したがって国保、社保などの我が国の公的保険制度の枠外であり、それゆえ、短期滞在者が高額療養費制度を利用するなどということはありえないはずだ。
ありえたとするならば、その外国人は3か月未満の在留資格しかないのに国保か社保の公的保険に加入できてしまったということになるからだ。
 この記事を読んでいくと、そもそもは国民民主党の玉木代表が「わずか90日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度を受けられる現在の仕組みは、より厳格な適用となるよう見直すべきだ」と2月15日に自身のXで指摘したということが記事の元になっていると書かれている。
ところが産経新聞の記事を読んでいくと令和4年3月から5年2月までの外国人が利用した高額療養費は111億円だったと書かれていて、それが短期滞在者による高額療養費の利用額とは書かれてはいない。さらに国民民主党の玉木代表がXに投稿した「わずか90日の滞在で数千万相当の高額療養費が受けられた」という事例について具体的にどこから引用したのか、彼自身が集めた情報なのか、何も記載されてない。すなわち、玉木代表の意見は単なる憶測というそしりを受けかねない危険な感情論にすぎないということにはならないか。
さらにいえば、記事のタイトルにある「短期滞在の外国人の高額療養費利用」と玉木代表が自身のXに投稿した「わずか90日の滞在で数千万の高額療養が受けられた」という言葉は矛盾する。90日滞在できたということは法的には短期滞在ではないからだ。短期滞在なら90日未満の滞在であり、90日を超えては滞在できない。
玉木代表のXへの投稿が本当に短期滞在の外国人の高額療養がけしからんと書いたのか、中長期の滞在でも90日を超えて滞在したら高額療養が適用される我が国の公的保険制度の現状を憂えたのか、産経新聞の記事からはそれが読み取れない。しかし、産経新聞の記事は短期滞在の外国人の高額療養費利用はおかしいと書いてあり、玉木代表のXへの投稿を短期滞在者の高額療養費利用が111億円あると読者に受け取られかねない、いわば曲解しているのではないか?と受け取られてかねない内容となっている。
私自身も我が国に居住する外国人が急増する中、現在の外国人への医療制度の適用がこれでいいのだろうかとの疑問を抱いてはいる。とくにこの記事で述べられているように短期滞在者が高額療養費制度を利用している現実があるというなら大きな問題であると思う。
ゆえに公的政党の代表である玉木氏についてはXへの投稿の内容の信ぴょう性や「わずか90日」という表現が90日を超えるのか、90日を超えていないのか、その言葉の使い方について、法的にちがってくるのだということを理解して投稿したのか、玉木氏は説明する義務がある。
また産経新聞のこの記事を書いた記者の方はその言わんとすることが日本に90日を超えては滞在できない外国人が法的には利用できないはずの高額療養費制度を利用できてしまうのがおかしいと書いているのか、90日を超えて滞在できる外国人が日本人同様に合法的に高額療養費制度を利用できる現状がおかしいと書いているのか、説明する義務があるだろう。

posted by AMDA IMIC at 14:19 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)
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