しばらく悩まされた。ずいぶん前の話だが、その時から仕事は仕事、プライバシィはプライバシィとはっきりけじめをつけることにした。
ペルー人男性58歳、年末に高血圧と右の下腹痛で拝見した。下腹痛については尿管結石の可能性が高いと考え、近くの公立病院を紹介。尿管結石の診断を受けた。そして高血圧についてはまずはアムロジピン5mgを処方して、今回、降圧効果をみて続きの処方をどのようにするか考え、空腹時採血も行おうと「空腹で来るように」とスペイン語で説明しておいたのに・・・窓口から連絡あり。前回の処方箋を持ってきたとのこと。内服しなかったどころか、受け取った処方箋を薬局に持って行かなかったのだ。結果として処方箋としての有効期限が過ぎてしまった。これが公的保険の制度であることを理解してもらうのに一苦労。そしてなぜ、降圧剤を入手しなかったことについて教えてくれた。近くの公立病院でCTスキャンなど行ったため、給料日までお金がなかったからとのことだった。彼自身、頭でお金を計算し、先に薬をもらったら、近くの公立病院での診療費が支払えるかどうか、心配になったのだろう。とりあえず、今まで高血圧状態でなんでもなかったわけだから、降圧剤は後回しにしようと・・・そう考えたに違いない。正しかったかどうかは別として彼なりに考えた末の選択だったのだろう、叱ってはいけないと思い、やめた。
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