ベトナム人男性35歳、県内西部の温泉地から来院。だれに聞いてこんな遠方までやってきたのか、ホテルに勤務していると言う。日本語はスーパーで買い物ができる程度。わかったことは8月に沖縄で上部消化管内視鏡検査を行ったこと。その後も胃が具合悪いので内視鏡検査を再度受けたいということだった。ゆっくりとした質問を日本語でしてみた。すると・・・胃が痛い、具合が悪いと言うが、指で指し示すあたりは両側の中腹部、そして便が柔らかいらしい。言葉が通じ合わないと、とりあえず、先方の要求を受け入れて、内視鏡の検査をいつ予定しようとか、あるいは言葉が通じないからほかの大きな医療機関に行ってくれとか、そういう対応になりかねないケースだ。これは胃の疾患ではないから胃の内視鏡検査は必要ない、そして過敏性腸症候群が疑われるので、血液検査や内視鏡検査で診断できる類の疾患ではなく、腸の機能の問題なのだとか・・・そういうことは的確なる通訳を入れて話さなければ解決できない。ベトナム人スタッフに電話を入れてみたが、電話はつながらず・・・彼女が来てくれる今週末の土曜日に来てほしいと話すと、仕事が休めないから来れないとのこと。それでは僕も困るが、彼がもっと困るはずなので、14日に診察をこちらで受けるために休みを取らせてほしいとホテルあてに手紙を書いた。すると、社内にベトナム人の統括を担当しているもう少し日本語のわかるベトナム人女性がいると言い出した。彼女に電話をし、14日にはベトナム人スタッフがいるので来院のために休みを取らせてほしいと話すと、よろしくお願いしますと言われた。
最後はがっかりした話。フィリピン人女性64歳、たぶん、20年近く高血圧で通院してくれている。診察の後に会社で受けた健診結果を見せてくれた。その中に上部消化管検査とペプシノーゲンの検査で将来胃がんになるリスクが高いとあり、彼女は怯え切っていた。萎縮性胃炎とあった。きっとピロリ菌が陽性なのだろう。ただし、保険診療でピロリ菌の有無を確認するためには再度、内視鏡検査を行わねばならない。すると、次の健診までは日がありすぎると言い出した。なんのことかと思ったが・・・訊ねてわかったことは僕のクリニックで上部消化管内視鏡検査を行っていることを知らなかったということだった。こんなに長く通院していて・・・奥の部屋で内視鏡検査の器械を見せてあげると驚いていた。彼女の不安を払拭するためにはいずれ、年明けに検査を予定しなければならないだろう。
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