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2024年04月09日

2024年4月9日火曜

 フィリピン人女性36歳、婦人科で超音波検査を受けたところ、S状結腸にガスが溜まっていると言われて来院。この半年ぐらい、やぎの糞のようなころころした便が出るという。単なる便秘ならいいが、がんを否定しなければならないケースだ。直腸肛門診を行ってみたが、とくに異常なしこりはなし、ただし、直腸にまったく便がない。日本語が不自由なため、まずはCEAを含む血液検査を施行した。この結果も考慮に入れて、次の診察時にどのようにすべきか考えている。
 ベルー人男性33歳、ときどき前胸部が差されるように痛く、2週間前に一度、血を吐いたとスマホの写真を見せてくれた。ずっと下痢が続いていて、便が黒かった時もあるという。
すべての症状をひとつの病気で説明できれば一番いいのだが・・・心疾患で下痢とか吐血は考えにくいし、上部消化管疾患で下痢も考えにくい。下痢はずっと続いているというので過敏性腸症候群を考えても吐血が説明できない。こういう時には一つ一つつぶしていくのが正解だ。まず、心電図を撮ってみたが、まったく異常なし。ここで、以前に会社の健診で脂肪肝と言われて心配していると教えてくれた。空腹でやってきたというので、まずは採血して肝機能等を精査、結果は翌日にでも判明するので、その後に準緊急で上部消化管内視鏡検査を予定した。
 午後5時の診療終了直前に受付事務員から連絡あり。AMDAの人が来ているという。???
だれかと面会の約束をしたこともないしと思い、診療終了後に顔を見に行くと、25年ほど前にセンターに相談員として来てくれていた中国人の女医さんだった。たしか、新宿駅近くの医科大の留学生だった。簡単な挨拶の後、二つ聞きたいことがあるというので、唐突な訪問に少し驚き、少し構えながら、話を聞くことにした。ひとつめは彼女が関係する中国南部の富裕層の健診や診察の話だった。日本に旅してくるので、その旅の間に健診や診察を受けたいのだが、そういう医療機関を知らないか?ということだった。彼女の口調からは僕のクリニックで受けてくれたら話が一番早いのに・・・という印象だったが、お断りした。というより日常診療が忙しくて、彼女のいう「3千人」にもなるだろうという健診には応えられない。それに診察をした場合、どうしても次の「治療」というステップがある。僕のクリニックだけで治療が完結すればよいが、完結しない場合、莫大な仕事を抱え込み、周辺の医療機関に迷惑をかけることになるかもしれないと思ったからだ。それに、旅行中という一定の期間内に完結しようとするとほかの患者の診療に影響が出かねないからだ。医療滞在ビザの説明を行い、これは正門から攻めるべきと彼女に説いた。二つ目はもっと驚いた。ジェネリックの薬を大量に入手できないかというのだ。理由は中国でもジェネリックがあるが、品質があまりよくなく、薬効が不明で、その点、日本のジェネリックはいいというのだ。よくわからない話ばかりなので、もう少し詳しく訊ねたところ、中国でも品質がよいと言われるジェネリックは「核が日本製だ」と彼女が言う。よく意味がわからなかったが、中国で流通しているジェネリックのうち、製造の核となる部分が日本製の薬は品質がよいということらしい。我々は日本の薬の30%は中国から輸入していて、日本製の薬の30%も原材料は中国からと聞いているので、こういう話はにわかには信じがたい。ただ、富裕層という人々が中国製を信用していないということだけはよく理解できた。皮肉な話だ。彼女にはいまの話をゆっくりと説明し、なおかつ、呼吸器系の薬、胃の薬、経口抗生剤などが日本では極端に不足していることを告げると、今度は彼女のほうがすごく驚いていた。いずれにしても日本で大量の薬を買い付けること自体が法律的に難しく、それを海外に持ち出すことはさらに難しいことを話して帰ってもらった。
posted by AMDA IMIC at 08:41 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)
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