フィリピン人男性54歳、血圧が高いとやってきた。180を超えているという。ここまではフィリピン人スタッフから聞いた話。自分で血圧を測定したのか?と少し不思議に思った。カルテが運ばれてきて気がついた。半年前に高血圧で受診。初診時にイルベサルタン100mgとアムロジピン10mgの合剤を10日間だけ処方していた。その後、再診時に採血する予定にしておいたのに、その一回で来なかった。診察室で血圧を測定してみると198/120、高すぎる。どうして血圧が高いと気が付いたのか?訊ねてみると、働いているのが建築業で、医者で定期的に血圧を測定し、高いと仕事を休む仕組みになっているのだそうだ。このような仕組みは建築建設業には多い。要するに自分で心配で血圧を計測したのではなく、会社で働くために半ば強制的に計測して血圧上昇を指摘されたというわけだ。まずはイルベサルタン100mgとアムロジピン10mgの合剤を一日一回で処方した。降圧効果を確かめるため、10日分だけ処方して次回は採血と話したところ、今日も何も食べていないと言うので、肝機能、腎機能、脂質代謝などの項目について採血を行った。やれ。終わったかと思ったら、席を立ってからフィリピン人スタッフに何事か、タガログ語で話している。フィリピン人スタッフから説明があった。すでに一か月半、仕事を休んでいるので、会社宛てに働いてもいいという診断書を書いてほしいと言っているとのこと。たぶん、彼としては高血圧の治療よりもこの「働いてもいい」という診断書の方が重要で、それでやってきたのだろうと理解した。給与が減るのだから。そうでなければこんな高血圧を一か月半も放置しているわけがない。彼に説明した。もし、脳卒中になってしまったら、あるいはほかの病に倒れたら、あなたの生活も苦しくなるが、フィリピンの家族に仕送りをすることもできなくなる。だから、キチンと治療を受けるようにと。でも話さなかったことがまだ一つ。避けられたはずなのに保険診療で高額な医療費を使い続けることだ。こんな人ばかり増えたら、皆が支払う公的保険の掛け金を上げざるをえなくなってしまう。最後に食事について指導した。
フィリピン人の兄弟43歳と37歳。兄のほうは痛風発作の後に高尿酸血症を認め、フェブクソスタット20mgを毎日内服中。現在、尿酸値7.0。弟のほうは痛風発作を起こして3週間目。なぜか、2週間間が空いてしまった。初診時の尿酸値は10.2と際立って高い数値だ。これを説明、フェブクソスタット20mgを開始することを伝えた。アルコールを多飲するとのことで、それが一番の原因と説明し、やめるように話したが、果たして本当に理解して実行してくれるかどうか・・・フィリピン人の生活習慣病はほんとに多い。
posted by AMDA IMIC at 09:01
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