フィリピン人女性43歳、きょうはどうしたの?と訊ねると、血液検査をしてほしいと言う。何の血液検査?と訊ねると、わからないとのこと。さらに訊ねていくうちに、健康診断と同じように考えていることがわかった。彼女には日本の公的健康保険の適用にはルールがあり、なにか症状があって病気を疑う場合、それに関連した検査だけが適用になるのだと説明した。するとあちらこちら悪いところや心配だというところが出てきた。一般的な血液検査だけを行った。このように保険診療下では検査、薬の処方、その他の検査等、およそ電話帳のように分厚い「ルールブック」がある。面倒くさいといえばそれまでだが、多くの人が健康保険の下で診療を受ける、すなわち公的保険の恩恵を受け、その制度を長続きさせるためにはルールが必要不可欠なのだということを話しておいた。このようなことを説明しておかないと日本の公的保険の趣旨が理解されないだろう。
タイ人女性76歳、診察室に入って来るや、なにやら強い匂いがしてきた。診察しようとするといつものようにかばんからタイ料理の数々、デザートやビニール袋に入ったスープまで出てきた。全部、診察終了後にスタッフの胃袋に消えて行った。いつもながら感謝。
22日の11時15分にクリニックを長女に任せて抜け出し、故中西泉先生の告別式に行ってきた。12時の開場の前に到着し、奥様とお目にかかり、棺の中の先生のお顔を間近で拝見してお別れをしてきた。12時過ぎに到着するとお焼香だけで終わってしまうと思い、早めに出かければ最後にお顔が拝見できるかと思ったのだが、その通りでよかった。中西先生はAMDA国際医療情報センターの運営では副理事長でありながら、あまり表に出ることはなさらず、私たちを後ろで支えてくださることが多かった。それでもいつも感謝していたのは、あの中西が関っているのかというだけでAMDA国際医療情報センターの信頼度がゆるぎないものになっていったからだ。とくに東京都医師会関係では極めて大きな存在だった。中西先生とはそういう方だった。心から合掌。
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