フィリピン人男性64歳、昨年、脳出血で緊急入院し、助かった男性だ。その入院中のMRIで動脈瘤が見つかった。日本人の奥様から僕に直接、電話あり。動脈瘤の治療について専門病院の医師と話し合っていたのだが、カテーターでコイルを詰めるには動脈瘤が大きすぎ、医師からはクリッピングを勧められているが、本人は乗り気ではなく、結論がなかなか出ないのだそうだ。きょう、先生のところに行くので、クリッピングを受け入れるよう、説得してほしいとのことだった。内容はわかりましたと電話を切って机の上のカルテを見たら、次が彼だった。いつものように高血圧の診療を行う。血圧を測定し終わると、彼がMRIの写真を出してきた。たしかに大きい。この動脈瘤は大きいから手術でなければ逆に危ないと思うよと話すと、やっぱりと納得してくれた。奥様の勝ち。いつも彼が言うことには、今回脳出血で入院、治療を受けたわけだが、フィリピンにいたら医療費が高いうえに公的保険がないので、治療を受けられずに死んでいたよ、ドクと。本当なのだろう。
フィリピン人女性58歳、この6か月、頭が痛いという。フィリピン人スタッフが診察の前に教えてくれたが、ご主人の浮気で困っているのだとのこと。疼痛の症状から片頭痛は否定できた。血圧もむしろ低いぐらい。寝られないのだそうだ。第一に考えるべきは筋収縮性頭痛。とりあえず、ミオナールと疼痛時のためにロキソプロフェンを処方して様子を見ることにした。
政府発表の昨日の統計では我が国の人口は2070年ごろには8000万人台で、少子高齢化が加速度的に進むらしい。あかちゃんの数はというと減り続けるそうだが、それを救っているのが外国人なのだそうだ。現在は人口の約2%が外国人だというが、70年代には約11%が外国人になると推測されるのだそうだ。さらに毎日訪れている外国人観光客のことを考えれば、外国人医療を充実させることの意義は極めて大きいといえよう。それはまた日本の医療機関にいかに混乱なく、外国人患者を受け入れてもらうかということが、ますます重要になるということだ。在住外国人の数を増やしていくのは産業の空洞化を防ぐために必要だが、我が国は移民国家にはならないと某政党幹部がマスコミに述べていたようだ。移民国家という単語がきっと我が国の在り方の中でタブーなのだろうが、言葉の遊びはどうでもいいことだ。要するに、我が国は外国人に頼らざるをえない社会の入り口を超えたところにすでにいるということだろう。
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