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2023年04月15日

令和5年4月15日土曜

ベトナム人女性38歳、咳が出てすでに一週間を経過しているが、治らないからと来院。フィリピン人女性39歳、5日前から咳と痰と咽頭痛があるという。最近、こういう外国人が少なくない。新型コロナやインフルエンザの検査をするには時すでに遅しの感が否めない。仮にどちらかに感染していたとしても、自宅療養の期間が過ぎようとしているころだ。それだけ、症状が軽いということだろう。「普通の」の風邪として診察処方した。
小児科の予防接種の時間にベルー人など多数。
午後3時を過ぎたころに両親とともにやってきたタイ人男児8歳、2日前に腹痛でやってきて採血の結果、細菌感染ではないと診断したこどもさんだが・・・ときどき腹痛を訴えるので両親がまた心配になったという。そう話す両親のわきで本人は動き回っている。どうみても腹痛があるとは思えない。発熱もなし。念のために腹部を触診聴診したが、異常所見はなし。両親が心配する急性虫垂炎ではないと話した。当然のことながらではなにか?と訊ねられた。過敏性腸症候群の可能性を上げたが、便秘があるというので、便を出そうとするときに痛いのかもしれない、いずれにしても重大な疾患が隠れているとは思わないと説明した。帰り際に父親がスマホをかざして、見てほしいと言う。見ると肩のMRIの写真だった。昨年の7月ごろに交通事故に遭って受傷したとのことだった。ここから延々と話が始まった。彼は被害者で加害者側の日本人と話し合わなければならないが、日本語がわからないので、タイ語で弁護士を探したとのことだった。彼に言われて検索するとたしかにタイ語で広告を出している弁護士がいるようだ。ところがその弁護士自身はタイ語が話せないそうで、通訳を利用した話し合いとなったとのこと。そして6か月を過ぎたところで、加害者側から肩の治療の終了を告げられ、弁護士には通訳費用だけで75万を支払ったそうだ。そして今、肩のことで仕事ができず、生活が苦しく、また肩については手術を受けなければならないと言われているが、45万ぐらいかかると言われ、そのままにしているとのことだった。そうそう、加害者側からは40万円ぐらいが振り込まれているそうだ。加害者側にも弁護士にも不満があるそうだが・・・・
ここからは僕の推察だが、弁護士に支払った75万円というのは通訳の費用だけでなく、弁護士に対する謝礼を含んでいるのだろう。また40万円を受け取っているということは受け取った時点で加害者側の保険会社と彼との側、正確にいえば彼の代理人である弁護士との間でなんらかの示談あるいは治癒とするという申し合わせがあったにちがいないということだ。そして弁護士に一任するとか、それでいいとかそんな署名を彼はしたのではないだろうか?
彼の肩関節の手術だが、保険診療となれば高額医療費助成制度も使えるはずで、制度について説明したが、理解できていないようだった。ただ、問題は原因が交通事故であることだ。相手の自動車保険での支払いが終了したという時点で治癒とみなされているというのなら、その後のこととして保険診療が認められるのかもしれないが、このあたりが問題となるのだろう。
日本語がうまくわからない、日本の医療制度や交通事故にまつわる民間保険の使い方や相手との交渉がわからないと、一家が経済的に危機に瀕する今回のようなトラブルに発展する。来週の火曜にAMDA国際医療情報センターのタイ語の相談時間に電話するように伝えたが。
posted by AMDA IMIC at 08:24 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)
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