ベルー人女性59歳、いつものように高血圧の診察を終えたところで「これ、わかる?」とバッグから書類を取り出してきた。市内の南部にある病院発行の書類で、スペイン語で印刷されてある。この病院にはベトナム人スタッフやベルー人スタッフが通訳ではなく、補助士として勤務していると聞いたことがある。きっと彼らの力を借りて、なんとか多言語対応しようとしているのだろう。すばらしい取り組みと思う。僕のスペイン語は大学のときのNHKラジオスペイン語会話が先生だ。それも1年も聞かなかったと思う。その冊子を読んでみると、「白内障で手術を受ける方のための案内」と書いてあった。なるほど、白内障で手術を受けるんですねと問うと、「そうなの、少し怖いけど」と返してくれた。こんな程度の僕のスペイン語力でも、患者は話が通じていると安心してくれるようだ。考えてみたら、医療に一番大切なことは医療者側と患者側がともに安心しあえる関係であることだろう。
先週のはじめに甲状腺機能亢進症でチアマゾールを一日30mg処方したフィリピン人女性が甲状腺ホルモンの採血のためにやってきた。この結果でチアマゾールの減量を考えるつもりなのだが、頻脈もかなり収まり、本人の顔にもようやく笑みが見て取れるようになった。
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