午後になり、フィリピン人女性21歳来院。めまいがするという。めまいの診療をしたのちにひとしきりおしゃべりをした。彼女の両親は二人ともフィリピン人、長く僕のクリニックに通院してくれている。彼女は日本で生まれたか、ごく幼い時に来日したのだろう、日本語は僕らとほぼ同じ。大学生だというので、何を専攻しているのかと尋ねたら、県内に比較的新しくできた私大看護学部の3年生だという。感心した。フィリピン人の中には手っ取り早く収入を増やすために、こどもを早く働かせようとする親が少なくない。資格を取って日本で働くといった発想はなく、こどもたちも中学生ぐらいになって来日すると日本語が上手にならないし、結果として日本の教育システムから脱落し、夜の街で働くとか、そういう方向に行ってしまう。なぜ看護学部に進学したのか?と尋ねたら、にこっと笑って母親に勧められたと話してくれた。両親の仕事も知っているが、日本で生きていくためにはなんらかの資格があったほうがいいと母親は強く思ったのだろう。看護師になるには3年制の専門学校だってあるのに、4年制の私立大学に通う学費だって安くはないはずだ。彼女のすばらしいところはその親の苦労や想いを受け止めていることだろう。
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