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2022年05月20日

令和4年5月20日金曜

近隣の市の若い歯科医の先生から外国人医療に関心があるので見学させてほしいと連絡があったのが2週間ほど前。19日木曜なら仕事が休みで来院できるとのことだったので、ぜひとお受けした。僕のクリニックでは取材や見学者がいらっしゃる日に限って、なぜか外国人患者が少ないというジンクスがある。19日も午前中は日本人患者も少なく、10時半をすぎると少しおしゃべりをするような時間も生まれた。おかげで外国人医療についていろいろと話をさせていただくことができたが、こんな時間を持て余すようなことはそうそう続かないと思っていたところ、午前の終わりごろから底が抜けたように外国人患者も日本人患者も増え始め、診療終了後に数えてみたら外国人患者の総数は18人だった。
 午前の終わりに立て続けにやってきた初診の外国人患者が3人。一人目は中東の某国の男性。数日前より左の前胸部が痛い、背部にまで痛みがあるとのことで、まずは血圧測定。血圧は全く正常、胸部レントゲン撮影も行ったし、心電図もチェックしてみたが、異常は全くなかった。聞けば仕事のことでかなり興奮したことがあったらしい。とりあえず鎮痛剤を数日分だけ処方してみた。近くの米軍基地からやってきたアメリカ人女性44歳、めまいがすると来院。もともと貧血があると言われているとのこと。本人は貧血とめまいに関係があるかどうかを知りたいとのことだった。血圧は正常範囲内だが高血圧でニフェジピンを内服しているという。採血をしてみると血色素は15近くあり、貧血とはほど遠い。現在、貧血ではないことを伝えた。つぎにニフェジピンの副作用をみるとそのひとつにめまいがあることを確認。現在の基地の中の医療施設の主治医にニフェジピンを中止してほかの降圧剤に変更してもらうことも考えるべきと話した。さらに本人にはのぼせとかいわゆる更年期障害のような症状が複数あることから、めまいもその症状の一つの可能性があり、婦人科も受診しておくべきとアドバイスした。中国系のカナダ人女性29歳、左の耳介の裏側に痛みがあると来院。聞けば数年前から同様の痛みがあり、自発痛はないとのこと。ここですというところを触ってみると小さなしこりらしきものが触れる。たぶんリンパ節にウィルス性感染か?と思ったが、おなかが大きいことに気がついた。現在妊娠7か月とのこと、数年前からあり、緊急性がないので、出産を終えてから拝見しましょうと話すと納得してくれた。
ドミニカ人男性15歳、前日から発熱、下痢、腹痛ありで来院。新型コロナの感染でもこのような消化器症状を呈することがあるので、抗原検査を行う準備をして外で対応したところ、「2か月前に新型コロナに罹ったけど、また罹りますか?」と質問された。僕のクリニックで調べた中で2回新型コロナに罹患した人が3人いるが、いずれも昨年の8月ごろに流行ったデルタ株と思われる感染と今年の2月を中心としたオミクロン株に感染したケースである。オミクロンに感染したという方でも発熱してやってきた場合、変異株の存在も疑ってかなりの人数の方に検査を行ってみたが、オミクロン株が2回感染したケースは皆無だった。したがって新型コロナの検査を行うことをやめ、クリニックの中に入ってもらって採血し、白血球数とCRPをチェックしたところ、前者は12000、後者は5.6と高値であった。これは細菌感染性の急性腸炎でしかも腹痛、発熱、下痢などの症状がかなりきつく、便培養を行った。キャンピロバクタ―を疑い、ホスミシンの内服を処方しておいた。スペイン語で付き添いの母親に説明したところ、患者である息子に「先生、スペイン語の発音がよくなったね」と言われた。
posted by AMDA IMIC at 10:37 | TrackBack(0) | (カテゴリーなし)
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