最初のパキスタン人については読み合わせを行って間違いがないことを確認してコピーを取って現物を手渡した。つぎに二人目、この人物は前日、パスポートを忘れてきて、やむをえず、スマホに入っているパスポートの写真を見ながら書いた。受け取るときはパスポートの現物を持参するようにと話しておいたので、提出してもらってパスポートの内容と英文書類を突き合わせてみると、驚いたことにパスポート番号の末尾の2が英文書類には3と記載してある。末尾以外は合っている。これでは乗れない。前日、確認したときに写真がよく見えなかったこともあり、やってしまったかとなんとも言えない気持ちになった。あれほど検査の日にパスポートを持参するようにと話しておいたのに・・・・ため息をついていても無意味なので、混んではいたけど、あわてて書類をあらたに作り直して読み合わせをして渡した。彼らが部屋から出て行って数分後、スタッフが「先生、さきほどの人たちが話があるって言っている」と言う。なにごとかと彼らを招き入れて、そこでひっくり返りそうになった。さきほど僕に提示したパスポートは有効期限を過ぎたパスポートで、現在使っているパスポートの番号は末尾が2ではなく、3でよかったとのこと。虚脱感。前日見せてくれたスマホの写真のパスポートが現在、使っているもので、だから僕が最初に作成した書類でよかったわけだ。その書類はくしゃくしゃに丸められて僕の足元のゴミ箱にある。ということはまた作り直さなければならないということだ。呆然。黙って立っている彼ら、でも、謝罪の言葉はなし。ああああっと大きい声を上げて「また作り直さなければならないだろう」と誰に向けての言葉というわけでもなく、叫んで、再び作成。彼らはにこにこと何事もなかったように僕の部屋を後にした。「切れる」というより「自分のミスではなく、人のミスで忙しいのに、時間もなにもかも振り回された」、こんな気持ちがぴったり。
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