16日の土曜日は25人の外国人患者。4時間で26人ということは1時間に6.5人ということで・・・総患者数が67人だから、患者の38.8%が外国人だったということになる。これが土曜の日常で、気がつけば定時通りに午後1時には診療が終わっているというのがすごい。
26人のうちわけはベトナム人9人、フィリピン人8人、ペルー人2人、アメリカ人2人、
イギリス人1人、インド人1人、ネパール人1人、タイ人1人。
16日がベトナム人スタッフが来てくれる土曜日だったので、ベトナム人の診察はできるだけ、彼女が来てくれる日に合わせるようにしている。万が一、彼女がいない日に来てしまい、日本語に問題がある場合は、電話で対応してくれるので助かる。9人のうち、3人は子宮頸がんワクチンの接種、6人は診察。
25歳の女性は胃が具合悪いということで内視鏡検査を予定していたが、時間通りに来てくれた。咽頭麻酔だけで内視鏡を挿入することができたが、やはり初めての内視鏡検査、恐怖感があったようで、検査するこちらも緊張した。とくに大きな問題はなかったが、ピロリ菌が陽性だった。ピロリ菌がいつごろなぜ、住みついたのかとか、ピロリ菌の存在によって何が起こるのかなどについて説明。除菌療法として一週間処方することや下痢など薬の副作用、そしてその後の呼気テストのことや、呼気テストの結果が陽性の場合には二次除菌が必要なことも話した。このような内容を説明し、理解してもらうためには熟練の通訳スタッフが絶対的に必要だ。ポケトークでなんとかなるとは思えない。また、有料の通訳サービスを利用した場合の費用についてはかなりの高額になってしまうだろう。
今、診療報酬は上がらず、上場企業のペースアップの話が華々しく報じられるたびに、苦々しい思いに駆られる。医療機関は勝手に診療報酬点数を上げるわけにはいかない。ある意味、医療機関の収入は国家統制されていて、2年に一回の診療報酬改定も実質的には改定ではなく、点数が下げられたり、項目がなくなってしまう改悪だ。とくにこの4月の改定では糖尿病、高血圧、脂質異常症が特定疾患から排除され、あらたに生活習慣病というくくりに入ることになってしまった。明らかに減収である。さらに厚労省が推し進めるマイナンバーカードでの保険証利用や電子処方箋への対応、それに伴うウィルス対策強化などで、医療機関から関係企業への毎月のシステム管理料は僕のクリニックレベルでも月に10万円を優に超えている。この上、外国人を診察することで通訳料など医療機関が費用を負担することについては医療機関の抵抗が大きいはずだ。
最近、思うことだが、外国人を積極的に受け入れていくためのシステム作りはそこそこそろったという気がする。ではそのシステムをどのように利用していくかというところで、医療機関側に金銭的な負担がかかる等で、二の足が踏まれている、そのような印象を強く受ける。日本語ができず、意思疎通が難しく、さらに習慣も考え方もちがい、診察に日本人以上に時間がかかる外国人患者を診るために医療機関がお金を負担する、結果として日本人1人を診るよりも収入が少ない、そりゃおかしいと医療機関が考えるのは当たり前だろう。このような費用を外国人患者から徴収するというのも外国人患者にとって、とくに日本の公的保険制度に加入している外国人にとっては抵抗が強いはずだ。実際に、費用負担の話をするとでは通訳は不要と答える外国人がかなりいると聞いた。
結論はこのような負担は公的資金で行うべきで、その原資は恒久税であるいわゆる出国税に求めるべきだと思う。
posted by AMDA IMIC at 12:04
|
TrackBack(0)
|
(カテゴリーなし)