2月15日(金)、
東京都目黒区立下目黒小学校で4年生を対象に2回目の出前授業を行いました。下目黒小学校は、2008年から、
ラオスのブオンナム小学校と交流を続けています。
昨年末の12月5日(水)の
1回目の出前授業の内容を思い出しながら、AEFAスタッフとの質疑応答も交えて、さらに深くラオスについて学びました。また、自分たちの、そしてラオスの子どもたちにとっての幸せとは何かについても、皆で話し合いながら考える時間を持ちました。
4年生の皆さんは、1回目の出前授業の内容を、細かいことまで実によく覚えてくれていました!
あいさつは「サバイディー」、先生など目上の方には手を高く上げて。
カエルを食べていること、子どもたちが自分で川へ水を汲みにいくこと、自分の年齢が良く分からない子もいること(戸籍が整備されていない)、学用品が不足していること・・・などなど。
1回目の出前授業を聞いて、ラオスについてさらに詳しく知りたいと思ったことがいろいろあったようで、たくさんの質問をしてくれました。深く関心を寄せてくれていて、嬉しい限りでした!
細かい部分まで突っ込んだ鋭い質問が尽きませんでした!
皆さんから質問を受けて答えたことは、例えば・・・
<ラオスという国について>
・1つの国として統一されたのは、15世紀頃だと言われている。文字を持たない民族だったので、歴史が記録されていない。
・太陰暦を使っていて、年によって正月の日付が違う。今年は4/12〜4/15。
・約8割の人たちは農業を行っている。役所には公務員がいる。大きな街には、銀行や会社などがある。コーヒー工場、織物会社、ビール工場、水力発電やダムの会社、NGOなどは、憧れの職業。
・2月はスイカが旬。5〜6月の雨季が果物の最盛期で、マンゴー、ドリアン、マンゴスチンなどがとれる。
・お札の裏にはダムの絵があるように、水力発電は国の大きな産業だが、発電した電気は主にタイやベトナムへ輸出している。電線はあっても、自分のところへ電気を引くお金が無いと電気は使えない。山の中の生活ではほとんど電気は使われていない。
・国全体の人口は、約650万人。国の統計では、小学生は約90万人。
<学校について>
・ラオスの4年生たちの身長は、日本の2年生くらい。
・公立の学校に通うのにはお金は不要だが、ノートや鉛筆を買うのにはお金が必要。試験に受からないと進級できず、その試験には登録料が必要。2〜3年間かけてお金をためてから、中学へ行く子もいる。
・遊具はあまりなく、休み時間には上級生が下級生を整列させて体操をしたりしている。「ブタとトラ」という、鬼ごっこのような遊びもよくやっている。
・毎週金曜日に皆がスコップを持ってきて大掃除をするのが、行事のようなもの。文化祭や運動会などのような行事は無い。
<山の中の生活について>
・カエルを食べるのは、食べ物が無いからだけではなく、おいしいからでもある。街では高く売られている。
・安全な水、薬、病院などが不足しているので、5才までに亡くなってしまう子が多い。1人の女性から12人の子が生まれても大人になれたのは3人だけ、というようなこともある。
・1つの家に大家族で住んでいて、食べるところも寝るところも同じ。ゴザを敷いて皆で寝る。夏は蚊帳を使い、冬はたき火の周りで寝る。
・トイレは家の中には無い。AEFAが建設する学校には必ずトイレを作り、トイレを使用した後には手を必ず洗うことを教えている。
・雨季に川が増水して、流されてしまうのが怖い。
・山の村から街中の市場へはなかなか行けない。洗剤や生活雑貨などは、バイクに乗った人が村に行商に来る。
授業の合間の休憩時間には、ラオスの楽器や紙幣などを、実際に触って見てもらいました。竹とんぼやブーメランのようなおもちゃや、木琴のような竹の楽器などは、貸し出して遊んでもらうことになりました。
ラオスのお札
ひもを引っ張ると竹とんぼのように飛んでいく
休憩時間の後には、自分たちの、そしてラオスの子たちの「幸せ」について皆で話し合いました。
この日の出前授業に先立って、まずは「自分たちにとっての幸せってどんなことだろう」をテーマに授業が行われていました。
「自分たちにとっての幸せ」
同じ国、地域で住む自分たちでも「幸せ」の感じ方が違うことに改めて気付きました。
・ゲームをクリアしてしまうとやることが無くなってしまうので、幸せではないのでは。
・テストの点数は、どのくらいなら「よい」のか分からない。
・こたつは使っていないので、こたつを使うことが幸せかどうかは分からない。
それでは、生活も文化も大きく異なる
ラオスの子どもたちにとっての幸せとは、どんなことだろう?国を超えた時の、「幸せ」の感じ方について考えてみました。実際に本人たちに訊いている訳ではないので答えは分からないけれど、想像をめぐらせてみました。
まずは、各自で考えて書きました。
次に、5人ほどのグループに分かれ、各自の考えを紹介しあってグループとしての考えをまとめました。
「お金がある、というのは幸せではないのでは?」
「でも、お金があったほうがいいと思う。ノートや鉛筆が買えるから」
・・・などと、活発に意見を交わす声が聞こえてきました。
各グループの考えを書いたホワイトボードを並べていきました。
ラオスの子どもたちにとっての幸せとは、どんなことだろう?各グループからたくさんの考えが出ました!
・りすやかえるなど、自然のおいしいものが食べられること
・自然にめぐまれていること、動物達がみぢかにいること
・水が飲めること
・元気でいられること、病気にならないこと、長生きできること
・家があること、たき火で温まれること、安心してねむれること
・お金があること、機械があること
・働けること
・学校に行けること、勉強ができること、体そうできること
・読み書きなどができること、はなせること(共通した言葉で)
・学年が上がれること
・友達と遊べること、友達が増えること
・年がわかりたん生日いわいをしてくれること
・家族とすごせること
・みんなが笑っていられること
・ゆったり生きれること
「1回目、2回目の授業を受けていなかったら、絶対書けないよね。これだけでもすごい!少しでもラオスのことを分かることができた!」先生も感慨深そうでした。
先生からの問いかけもヒントに、「幸せ」についてさらにクラス全体で話し合っていきました。
☆「自分たちと比べて、ラオスの子どもたちのことをどう思う?」
・日本とラオスの生活は大きく違う。日本には物がたくさんあるけれど、ラオスでは学用品も生活用品も不足している。
・自分たちは試験がなくても5年生になれるけど、ラオスでは試験に受からないと進級できないから、上の学年に上がれたら幸せだろう。
☆「自分たちがラオスに行ったら、幸せになれる?」
・自分たちがラオスに住むとなると、困ることがたくさんある。トイレ、食べ物、仕事、生活のリズムが違う、鉛筆とか学用品をそろえるのが大変・・・
話し合いを重ねていくうちに、
自分たちとラオスの子どもたちの幸せには、共通のものと違うものがあることに改めて気付きました。
★ラオスの子どもたちの生活は自分たちとは違うけれど、幸せと感じることには共通なこともあるだろう。
・友だちといっぱい遊べること
・おいしいものを食べられること
・家族と過ごせること
★ラオスの子どもたちの幸せと、自分たちの幸せとは違うこともあるだろう。
・ラオスの人が日本に来た時に、「便利で都会な東京よりも、大自然がある長野がいい」と言っていた。幸せと感じることは、それぞれに違う。
出前授業を受けての感想を、皆さんが書いてくれることになりました。どんな感想を寄せてくれるのか、楽しみにしています!
自分たちと他国の暮らしの違いに気付くだけでも、大きな学び。そこから自分たちの生活を振り返ったり、ラオスの子どもたちも自分たちも、置かれた環境の中で自分ができることをやりながら生活しているということを、皆さんは改めて意識することができたようです。
2回に渡る出前授業。限られた時間の中ではありましたが、集中して深く考えたり意見を活発に交わしたりと、皆さんが積極的に真摯に取り組む姿に、AEFAスタッフも感じ入りました。