先日、
東京都中野区立江古田小学校で出前授業を行いました。その時に、5年生からこんな質問が出ました。
Q「ベトナムの人は水牛を食べるの?」現地NPOのキンさんが答えてくださいました。
A「ベトナムの北部のハザン省(中国との国境近く)のように、水牛を神聖なものとして大事にし、その肉を決して食べない地域もありますが、水牛が働けなくなると、食肉として食べる地域もあります。」なるほど、地域によって、水牛を食べるところも食べないところもあるのですね。
キンさんは水牛について、さらに色々なことを教えてくださいました。
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水牛の寿命は約25年。人間の3分の1くらいです。生後2〜3年で、鋤(すき)の引き方など畑仕事を教え始めるんですよ。丈夫な水牛なら、20年は働いてくれます。でも、気候や育て方によって、寿命や働ける年数は変わってきます。昔のお百姓さんにとって、水牛はとても大切だったので、ベトナムの人たちはこんなことを言います。
「人生の三大行事は、水牛を買うこと、結婚すること、そして家を建てること。」 農業で生活をしている人が多かったので、水牛を買うことが、まず第1の行事なのです!
子どもが書いた次の文章を読んでみてください。きっと参考になると思います。
「人間にとって動物は大切な存在です。ペットにもなるし、肉を食べることもできるし、羽や毛や皮を利用することもできます。ベトナム人にとっては、水牛は他の動物より特別な存在で、国を象徴するものの1つになっています。」
ベトナムで水牛のもっとも大切な役割は、労働力としてです。畑を鋤(すき)で耕すのは、農作業の中でも1番大変な仕事です。たいていは、日が照りつける日中か雨が降る中で、作業することになるので、体力も忍耐力もいります。だから、村1番の力持ちであっても、すぐに疲れ果ててしまい、一人で畝(うね)を全部作るのは無理です。でも、この仕事は、水牛が手伝ってくれるおかげで、かなり楽になりました。力持ちの水牛さんたちのお陰で、人が重い木の板で泥土を掘り返しながら進む危ない作業をしなくてすむようになったのです。その結果、水牛は、お百姓さんたちにとって重労働から解放されるために必要な、何よりも大事な財産になったといえます。最近では、トラクターを使って農作業をしている所もありますが、特に北部や田舎の方ではいまでも主として水牛が畑仕事に使われているんですよ。
水牛は、また、ベトナムの文化にとっても重要な意味を持っています。水牛は、長い間、勤勉さや我慢強さといった素晴らしい特質を備えたベトナム人の象徴でした。農村地帯では、子どもたちが毎日世話をするので、水牛は子どもたちの大の仲良しの存在でもあります。ドンソン時代(紀元前1世紀〜4世紀)の青銅器には、水牛の絵柄が彫られたものが多く見られます。闘牛のお祭りで、水牛が勝負の前に毎回丁重に扱われるのを見ると、この水牛という動物が(神への貢物として)いかに人々から敬われているかがわかります。
水牛は、労働力であるだけでなく、ベトナム人全員にとって、大切な友だちであり、非常に身近で愛すべき存在なのです。
ベトナム人にとって水牛がどんなに大事な存在か
わかってくれましたか?
みなさんの国にもそんな存在の動物はいますか?
また、ベトナムのことについて知りたいことがあったら
どんどん質問してくださいね!