(11/8) ジンバブエ便り vol. 61 現地のみんなが参加する「住民参加型学校開発事業」、着々と進んでいます! [2022年11月08日(Tue)]
皆さん、こんにちは! ADRA Japanは、2022年4月からジンバブエの、 ザンビアとの国境に近い西マショナランド州 ニャミニャミ地区で、 住民参加型の学校開発支援に取り組んでいます。 活動をしているマジャゾ小学校、 マレンベジャ小学校、サウィラマカンデ小学校 があるニャミニャミ地区は、 「マトゥサドナ国立公園」と呼ばれる国立公園が 隣接する地域です。 ゾウやクロコダイルをはじめとする野生動物と、 村の人々の生活圏が混在しており、 初めてこの地域に支援に入る 事業チームスタッフにとっても、 新しい発見が多いです。 ADRA Japanは、これまで8年間に渡り、 ジンバブエのミッドランド州 ゴクウェ・ノース地区で 教育支援に取り組んできました。 (今年の6月に完了した事業の報告はこちら) その中で培った経験を活かし、 ニャミニャミ地区では、住民が主体となって 学校開発を実施していくための 基盤づくりを支援する活動を開始しました。 <「通学中にゾウに遭遇したことがある人?」と 聞くと多くの子どもたちが手を挙げた(2022年6月)> 対象としている3校の小学校は、 ジンバブエ政府に正規登録されていない サテライトスクールです。 地域に野生動物が多く、通学中の危険があるため、 子どもたちの通学距離を少しでも短くするために、 村の人々によって設置されました。 資源が非常に限られている環境の中で 住民たちが協力して作ったワラぶき屋根や 木の下が教室となっています。 1校あたり、250人〜450人の子どもたちが通っており、 この地域の子どもたちにとって、 なくてはならない学校ですが、 ジンバブエ政府に正規登録されるためには、 整った学校設備が必要です。 また、学校のすぐ裏にまで 象などの野生動物が来る環境で、 子どもたちが少しでも安心して授業を 受けられるようにするためにも、 丈夫な校舎は必要とされています。 これまで、学校は収入向上活動の支援などを 受けたことがある一方で、 財政がひっ迫するジンバブエ政府からの支援は乏しく、 安定した収入源はありません。 そのため、教育環境の整備や学校の開発が 進まない状態にあります。 <丸太とワラの教室で学ぶ子どもたち(2022年7月)> こうした状況下で子どもたちが 学び続けることのできる学校を整備していくためには、 校長先生や教員、地域のリーダー、保護者からなる 学校開発委員会の高い運営管理能力が必要とされます。 そして、施設管理はもちろん、維持管理に必要な 収入の確保、予算管理、学校開発の計画づくりなどに、 学校開発委員会メンバーたちが 自ら取り組んでいくことが必要です。 こうした背景の中、私たちADRA Japanは 現地のジンバブエ支部とともに、 学校のインフラ整備を進め、 学校が自分たちで持続可能な開発を 行っていけるように、トレーニングを実施しています。 事業を開始して6か月が経つ2022年10月現在、 まだまだスタート地点ではありますが、 現地では少しずつこれまでの経験を活かした取り組みが 行われています。 <学校開発委員会のチームビルディング研修の様子(2022年9月)> < 研修後にフォローアップとして 参加者に聞き込みを行うスタッフ(2022年9月)> <住民から選ばれた建設作業員を指導する アドラのベテランスタッフ(2022年8月)> インフラ整備の一環で実施している校舎建設では、 住民から選ばれた建設作業員を ADRAスタッフが指導しています。 活動の中心となっているスタッフは、 地域開発にも理解が深く、建設の知識もあり、 技術的な指導もできます。 前のゴクウェ・ノース地区の活動でも、 人々に寄り添った指導を行い、 地域を支えた経験があります。 学校建設の資材となるレンガは、 住民によって集められた 水・砂利・砂などを使って、住民自身が作り、 建設作業員はそれを用いて校舎を建てていきます。 住民主体で校舎建設を進めることで、 建設後の施設管理や教育そのものに対する 住民の意識向上につながり、 さらには建設という専門的なスキルを身に付けた住民が その先のキャリアを切り開いていくきっかけにもなります。 もともとは何も無かったところに、 住民たちが汗を流して運んだ砂や砂利が集まり、 レンガが作られ、一段一段とレンガが積み上げられていき、 現在では、窓枠の高さまで校舎が完成しています。 その経過を見るだけでも胸が熱くなります。 <まっさらな校庭に住民たちが バケツに入れて運んできた砂が集まり始めた事業開始当時 (2022年5月)> < 何もなかった場所に校舎が形作られ始めた (2022年9月)> これらの活動を 「学校開発の基盤づくり」と語るのは簡単ですが、 本当の意味で住民参加型の活動に取り組み、 人々に主体的な学びをもたらすためには、 こまやかな配慮や辛抱強さが必要です。 それはときに遠回りにも見える道のりですが、 私たちアドラのジンバブエ事業チームは、 今後も丁寧に学校開発委員会や地域の住民の方々と 向き合って活動を実施してまいります。 これからも、このニャミニャミ地区での住民や スタッフの奮闘、現場での変化などを発信していきますので、 皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。 < 学校教員と話をする駐在員とアドラスタッフ (2022年6月)> ※ ジンバブエ事業は、皆さまからの温かいご寄付と、 日本NGO連携無償資金協力の助成も受けて実施しています。 ご寄付のお申し込みは、 こちらのサイト から「【ジンバブエ】教育環境改善支援など」を お選びいただきお手続きいただけます。 温かいご支援に心より感謝申し上げます。 (ジンバブエ事業 東京本部担当 高橋 睦美) |