(2/1) 2人に1人が食糧難のイエメンで人間の尊厳を守るために [2023年02月01日(Wed)]
ADRAは1995年からイエメンで活動しており、 当地の方々が直面する課題に対し、 一人ひとりに寄り添う支援に取り組んできました。 常に人間の尊厳を守り、 少しでも暮らしに快活さを得られるように努めています。 2015年3月から空爆が続いているイエメンでは、 2022年末現在、国民の68%にあたる2160万人が 何らかの支援を必要としている状態に陥っています(※1)。 イエメンは、2022年の世界飢餓指数が世界で一番高く、 2人に1人は生きていくのに十分な食料を確保できていません(※2)。 また、1730万人が、食料や農業関連の支援を必要としています。 紛争の被害に遭い、それまで積み重ねてきた仕事を捨て、 難民・避難民とならざるを得なかった人も数知れません。 ※1 https://reliefweb.int/report/yemen/yemen-humanitarian-needs-overview-2023-december-2022-enar ※2 https://docs.wfp.org/api/documents/WFP-0000145725/download/ ADRA Japanは、皆さまからの温かいご支援のもと、 これまでに6度、人間の生存に関わる食料、栄養、水、 衛生等の分野での緊急支援に取り組んできました。 具体的には小麦、米、豆、缶詰、水、歯ブラシ、 シャンプー、石鹸、生理用品など、生活を支えるための物資の配付や、 生計回復につながるよう、農家の方には種や肥料を、 家畜を失った方にはヤギなどの動物を、大工だった方には工具を、 雑貨屋を営んでいた方には資金や商品を提供してきました。 (2022年11月にラヘジュにて聞き取り調査をした時の一枚) しかしながら、戦火はなかなか収まりません。 住民はあいかわらず苦しみ、心身ともに疲れきっています。 そこでADRA Japanは、2022年9月より7度目の支援として イエメン国民の生計回復を目指した活動を開始しています。 戦火を逃れるために、暮らしを奪われた方々が、 かつてやられていた仕事を再構築していただく ━━つまり「生きる力を呼び起こす」ための活動です。 今、外務省の規定により、 10年以上、日本人はイエメンに入国できません。 ですから、周辺国のレバノンで イエメンの現地スタッフと面会して調査を重ねたり、 インターネットを活用したりして 最新の状況を把握してきました。 届けられる支援に対して、 最優先と判断した80世帯の方に対して、 灌漑用水を復旧させるサポートを決めました。 (2022年10月、アブヤンでの農家の方に現在の状況を聞く) この取り組みではまずは、深井戸を修繕し、 ディーゼルポンプで水をくみ上げられるようにします。 そして、その水をホースで畑に送り、 作物の根本に給水できる特殊ホースを取り付けていきます。 水を節約しながら、畑を復活させることができる方法です。 現地スタッフとやりとりしているADRA Japanのイエメン事業担当の小出は言います。 「中東というと、オイルマネーの印象がどうしても強いのですが、 現地の方と付き合い、ビデオやネットを通じて目にする イエメンの農民の表情からは、誠実さや実直さが伝わってきます。」 もともとイエメンは中東有数の農業国で、 キビ、ソルガム、トウモロコシ、ゴマ、落花生、トマト、 ニンジン、オクラなどが作れる地です。 7年におよぶ紛争によって、それらを失い、 食料難が深刻化しています。 今、可能なかぎり農業の復活を図り、 かつての生活に近づくことで、 多少なりともイエメンの方々に笑顔が戻れば……。 そんな思いでADRAは動いています。 この活動は、皆さまからご支援と(特活)ジャパン・プラットフォームからの助成を受けて取り組んでいます。温かいご支援に、心より感謝申し上げます。 (文責:広報担当 永井温子) ADRA Japanのホームページはこちらです ADRA Japanフェイスブックページ ADRA Japan Twitterアカウント |