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(10/4) イエメン便りvol.7 「紛争下での生計回復支援」 [2019年10月04日(Fri)]


内戦が激化してからすでに5年を超えてしまったイエメンでは、
和平合意への道筋が見えないまま、さらに混迷が深まり、
食糧や清潔な水の不足、衛生環境の悪化、
コレラ感染の拡大など危機的な状態が続いています。

ADRA Japanは2015年12月からイエメンにて、
食糧配付、給水、衛生啓発などの支援を行ってきました。



食糧配付.JPG

(食糧配付支援事業)



給水支援.JPG

(給水支援事業)



これらの活動に加え、昨年(2018年)からは「緊急生計回復支援」という、
収入を得るための生産活動や仕事を取り戻すための活動を行いました。

今回はこの活動について紹介します。



この生計回復支援では、内戦の影響で家畜を手放した人たち、
仕事を続けられなくなった人たちに対して資機材を支援し、
仕事が再開できるようADRAが後押しをします。

そして食糧配付や給水支援に頼らざるを得ない状況の中でも、
自立した生活を営む基盤作りをしています。



この活動はイエメンのマアリブ州ハリブ・アル・カラミシュ郡という、
全部で1,100世帯くらいの集落で実施しました。

首都サナアからは車で2時間程度の場所に位置していますが、
政府側勢力と反政府側勢力のちょうど境界エリアであり、
事業期間中に何度も武力衝突がありました。



紛争状態にあるとはいえ、
兵士ではない一般の人々は毎日の生活をつづけなければいけません。

しかし物価が高騰している中、
紛争の影響でそれまでの仕事を続けられなくなり、
毎日の食糧や水、最低限必要なモノを買うための現金を得ることが
難しくなっています。

これらの事情が、様々な問題の根幹にあるのです。



そうしたところに、小規模であっても必要な資機材を支援すると、
様々な生産活動や雑貨屋などのスモールビジネスが息を吹き返すことを、
今回の活動を通して改めて知ることができました。

生計回復支援では、農業系の活動とスモールビジネス系の活動を支援しました。

農業系の支援では、耕運機の供与や、畑へ給水するための資機材を支援しました。

耕運機を得た裨益者は、自分の土地を耕しただけでなく、
知り合いが所有する土地を耕すことで手間賃を稼いだりしていました。

給水パイプで水を引いて作物を育て、念願の収穫を実現した裨益者もいます。



耕運機で畑を耕す.jpg

(耕運機で畑を耕す男性)



水が入った様子.jpg

(畑に給水している様子)



生育が順調な作物.jpg

(生育したトウモロコシ)



スモールビジネス系では、
雑貨店を開くための品物を受け取った裨益者が多くいましたが、
そのほとんどが、売り上げをもとにさらに品物を仕入れて売ることができ、
現在も雑貨店を継続しています。

また、オートバイ修理店を立ち上げた裨益者もいました。



雑貨屋.jpg

(雑貨屋を営む女性裨益者)



バイク修理屋.jpg

(バイク修理屋を営む男性裨益者)



紛争地での生活というと、危険におびえ、
人道支援団体からの食糧などを待っているだけの生活
というようなイメージを私たちは抱きがちですが、
実際には、再スタートのためのきっかけさえあれば、
生産活動や商売を自分たちで再開するたくましさを人はみな持っています。

そうした、一般の人たちのたくましさを生かすような支援を
今後も続けていきたいと思います。



(執筆:海外事業課 小出一博)



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Posted by ADRA Japan at 11:42 | イエメン便り | この記事のURL
(3/13) イエメン便りvol.6 「信頼できる現地スタッフがいるから、日本人が入国できないイエメンでも事業ができる」 [2019年03月13日(Wed)]

2018年12月初旬、イエメンについての2つのニュースが世界の注目を集めました。

1つは、スウェーデンで2年ぶりに和平協議が行われ、対立している政府派・反政府派勢力に歩み寄りの姿勢がみられたというニュース

もう1つは、イエメン国内の食糧状態についての最新のレポートが発表され、その中ではすでに数万人の人々が飢餓状態にあり、人道支援をさらに進めないと深刻な状態に陥るだろう、との報告がされていたことです。


1.食糧配布を待つ住民たち.png
食糧配付を待つ住民たち



ちょうど同じ時期の12月3日から7日にかけて、ADRA Japanから2名、ADRAイエメンから4名が集まり、ヨルダンにてイエメン事業の調整会議を持ちました。

ADRA Japanは2015年12月からイエメンでの人道支援事業を行ってきていますが、日本人の私たちは安全上の問題からイエメン国内には入ることができません。
そのため1年に2回ほど近隣国でイエメンのスタッフと会い、情報交換や事業の進め方について話し合っています。


2.アンマンでの会議の様子.jpg
アンマンでの会議の様子



今回は、本事業のコーディネーターをしているイエメン人のジャッバーと1年ぶりに再会しました。
紛争当時国であるイエメン人の彼らが国外に出るのは容易でなく、飛行機の直行便なら面会地まで3時間で来ることができるところを今回はジプチ、エチオピア、カタールの3か国を経由し、3日近くかけてやって来てくれました。


3.イエメン事業コーディネーターのジャッバー.png
イエメン事業コーディネーターのジャッバー



イエメンという非常に難しい状況での事業を遠く離れた日本から運営することができるのは、ジャッバーのような信頼できる現地人スタッフの存在があってのことです。

ジャッバーは、40代半ばの男性で、もとはアラビア語の教師をしていましたが、教師を養成するトレーナーになり、ADRAイエメンが教育振興の事業を始めた際に専属のトレーナーとしてADRAに入職しました。

その後、北部の部族間の抗争が絶えない地域で、部族間の平和的関係を構築するための事業や、紛争状況下での生計向上の事業を担当し、現在に至ります。
穏やかな人柄で、様々な立場の部族のリーダーたちの話をまとめ上げることができる、経験豊かなコーディネーターです。
ADRAイエメンの仲間のみならず、事業地の部族のリーダーたちからもとても信頼されています。


今回の主な議題は、「生計回復活動」の進捗具合の確認(関連記事:イエメン便りVol.4)と、2019年度の事業内容の立案・確認でした。
紛争が続いている難しい状況のため、様々な課題が存在することはこれまでも報告を受けてきましたが、彼の目からみて実際にどうなのかを直接聞くことができる貴重な機会でもありました。


4.生計回復活動の1つ、床屋さん.jpg
生計回復活動の1つ、床屋さん




5.女性のアート絵1.jpg

6.女性のアート絵2.jpg
女性のアート絵



彼は静かに、強い意志もって次のように話してくれました。


「いろいろと行政や裨益者(支援を受ける側の人々)との調整が難しいことがあるし、それによって活動も遅れがちだ。
でも、活動を始めた人たちは、着実に自分たちの生活を再建しようとしている。
難しくても、裨益者の数がなかなか増えなくても、この活動は続けた方がいい。
コミュニティーの住民たちがそれを望んでいるから。
配付物資をもらうだけでなく、自分で自分の生活を再建したい、そう望んでいる住民が、みんな我々の活動を見ているから。」


住民の気持ちを深く理解している彼ならではの意見だと思い、私たちも同意しました。


7.ADRAイエメンのスタッフたち.png
ADRAイエメンのスタッフたち



このような、裨益者の立場に立った活動を行い、現地の人たちからも信頼され、私たちも尊敬できる現地スタッフと仕事ができることを誇りに思います。
どんなに困難な状況であっても、その難しい環境の中で現地住民のことを第一に考え、仕事を続けている彼らがいるからこそ、私たちももっと頑張ろうと思えるのです。
必ず平和が訪れるとの希望をもって、今後も事業運営を続けていきたいと思います。



※この活動は皆様からのご支援と(特活)ジャパン・プラットフォームからの助成を受けて実施しています。


(執筆:海外事業課:小出一博)


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Posted by ADRA Japan at 14:06 | イエメン便り | この記事のURL
(10/31) イエメン便りVol.5 「長引く内戦に苦しむ子ども たち」 [2018年10月31日(Wed)]

イエメンでは3年以上続く内戦によって、人々の生活は深刻な打撃を受けています。
ADRA Japanは2015年12月から、首都から遠く支援が届きにくいイエメン北部において、食糧配布、水の供給、生計回復支援などの活動を行っています。

今回は、内戦によって故郷を捨てることになり、今も避難生活を続けるスーリア・アブドラーちゃんのお話を紹介します。



ある朝、スーリアちゃんが兄妹たちの朝食を買いに出かけた際に、家の近くで空爆に遭いました。

「何か冷たいものが手に突き刺さるような痛みを感じて、私は死ぬんだと思ったわ。」

この時、スーリアちゃんは爆弾の破片で大けがをしてしまい、手が不自由になってしまいました。


イエメンの内戦の国内避難民スーリア.jpg
[イエメンの内戦の国内避難民スーリア]



その後、スーリアちゃんは故郷を捨てて家族と一緒に逃げることになりました。
その道のりは厳しく、空には戦闘機が飛んでいましたが、村を出て山道を歩き続けました。
ようやく一時的な避難所にたどり着き、今もそこに住み続けています。


イエメンの内戦の避難生活.jpg
[イエメンの内戦の避難生活]


内戦が始まる前は、トタンでできた家に住み平穏な暮らしをしていました。

「あの時は幸せだったの。外で遊んだり、飴を買いに行ったりできたから。」

しかし今は何もない場所にテントを立てて、着の身着のまま逃げてきた状態で、日常生活に必要な最低限の物すら不足する生活をしています。

「内戦が終わったら、何よりも先に家に帰りたい。私の手も治ったらいいのに。」



イエメンの人々、特に子どもたちは、長期化する避難生活で背負いきれない苦しみに耐え続けています。
保健・社会保障といった基本的なサービスを受けることもできなければ、守ってくれる人もいません。

スーリアちゃんは、激しい内戦の犠牲者の一人です。


ADRAは、内戦で家を追われ避難生活を続ける人々のニーズに応えるため、食糧配布安全な水の供給などを継続しており、これまで23万人以上 に食糧を届けてきました。


イエメン北部のADRA事業地での給水支援.jpg
[イエメン北部の給水支援]



引き続き、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。


※この活動は皆様からのご支援と(特活)ジャパン・プラットフォームからの助成を受けて実施しています。



(執筆:海外事業課 鈴木知子)

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Posted by ADRA Japan at 09:00 | イエメン便り | この記事のURL
(6/27) イエメン便りVol.4 〜「イエメンで自立した生活を取り戻すイエメン支援での新しい活動について」〜 [2018年06月27日(Wed)]

内戦が激化してから3年が経つイエメンでは、和平への糸口がつかめないまま混迷が深まり、食糧・清潔な水の不足、衛生環境の悪化など様々な人道危機的な状態が続いています。ADRA Japanは2015年12月からイエメンに対して、食糧配付、給水、衛生啓発などの支援を行ってきました。


ADRAイエメン事業地での食糧配付の様子
ADRAのイエメン事業地での食糧配付の様子


これらの活動に加え、今年は「緊急生計回復支援」という日々の生産活動や仕事を取り戻すための活動を始める予定です。

内戦のために家畜を手放したり、仕事を続けられなくなった人たちに対して、家畜や大工道具を支援し、仕事が再開できるよう後押しをしていきます。そうすることで、食糧配付や給水支援に頼らざるを得ない状況から脱し、自立した生活を目指すことができます。


ADRAイエメンの生計回復事業(家畜支援)
ADRAイエメンの生計回復事業(家畜支援の様子)


ADRAイエメン支部は、政情が比較的落ち着いている地域で既にこの生計回復の活動を始めています。ADRA Japanが活動する北部地域でも昨年後半から政情が落ち着いてきた場所もあり、現地支部の経験を活かし、今年から「緊急生計回復支援」に取り組むことにしました。紛争下ではあっても人々の毎日の生活は続いています。ADRA Japanの支援によって、そうした日常生活の需要に応えるような職種に就いて仕事を再開した裨益者の80%以上は、何らかの収入を得ることができるようになっています。

家畜、雑貨屋、洋裁、大工、養蜂が、これまでの成功率の高い職種です。


ADRAイエメンの生計回復事業(養蜂トレーニング)
ADRAイエメンの生計回復事業(養蜂トレーニングの様子)


イエメンの人道危機は、国連が世界で最も深刻な問題の1つとして認識しています。ADRA Japanは今後も現地支部と協力してイエメンの活動を継続していきます。その様子をこのブログで引き続き報告しますので、今後もご支援をどうぞよろしくお願いいたします。


※この活動は皆様からのご支援と(特活)ジャパン・プラットフォームからの助成を受けて実施しています。

(イエメン事業担当:小出一博)

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Posted by ADRA Japan at 10:56 | イエメン便り | この記事のURL
(2/27) イエメン便り Vol.3 〜「乾燥地帯で行なう給水支援とは?〜ADRAの場合〜」〜 [2018年02月27日(Tue)]
内戦が続くアラビア半島の最南端に位置する国、イエメン。三方を山、砂漠、海に囲まれたイエメンは以前から陸の孤島と呼ばれていました。空爆が続く中、イエメン国民は国外に出る方法がほぼなく、その大多数が「国内避難民」として避難生活を余儀なくされています。ADRAはこのような状況を受け、食糧配付および衛生キットの配付とともに、飲料水を届ける給水支援を行なっています。


写真1.jpg
給水トラックからADRAが設置した水タンクを給水


イエメンはアラビア半島の乾燥地帯に位置しています。そのため、水が希少で、多くの方々は深さ数十メートルの深井戸からエンジンポンプで汲み上げた水を飲料水としてきました。しかし、2015年の3月末から内戦が激しくなり、ガソリンの価格が高騰して、エンジンポンプのための燃料を手に入れることが難しくなっています。特に、国内避難民の方々は、飲料水を買うお金もなく、衛生面が懸念される池などの水を利用せざるを得ない状況にあります。


写真2.jpg
池から水を汲む国内避難民


ADRAの行なう給水支援では、簡易の水タンクを設置し、清潔な水を毎週運んで給水しています。国内避難民が集まる地域に住む方々はポリタンクで水を家に持って帰り、飲料水として使用することかできています。遠い人は片道数キロ離れたところから飲料水を汲みに来ることもあります。


写真3.jpg
水タンクに集まる女性と子ども

写真4.jpg
ロバで水を運ぶ家族


イエメンの内戦は依然として激しく、平穏な日常が戻るにはまだまだ時間がかかる見込みです。ADRAは今後もイエメンの支援を続けていきます。


※この活動は皆様からのご支援と(特活)ジャパン・プラットフォームからの助成を受けて実施しています。

(イエメン事業担当:小出一博)

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Posted by ADRA Japan at 11:29 | イエメン便り | この記事のURL
(11/27) イエメン便りvol.2 〜国内避難民ハマスちゃん一家のお話「手の洗い方を知っているよ!」〜 [2017年11月27日(Mon)]
ADRA Japanは、2015年12月から内戦の続くイエメンで、国内避難民と内戦により生活が困窮している方々に対して衛生キットの配布や衛生啓発セッションなどの支援活動を行なっています。今回は、その中で出会ったハマスちゃん一家のお話をお伝えしたいと思います。


ハマスちゃん._明るさ調整済みjpg.jpg
ハマスちゃん


ハマスちゃんは内戦が始まる前、イエメン北部のアル・ジャウフ州ハラク郡というところに、お父さん、お母さん、妹さんと一緒に住んでいました。その後、ハマスちゃんが住んでいた地域でも武力衝突がしばしば起こり、ハマスちゃん一家は危険を感じて州都のアル・ハツムに避難しました。避難した州都アル・ハツムには、ハマスちゃん一家のように内戦による武力衝突の危険をさけるために避難してきた人たちがたくさんいました。


イエメン地図__出典情報つき_アル・ハツム.jpg
アル・ジャウフの地図


ハマスちゃん一家はたまたま空き家だったところを見つけることができたので、そこに住み始めました。しかし、少しのお金と衣類だけしか持って避難することができなかったため、生活に必要なものが足りませんでした。また、お父さんは新しい仕事を探しましたがなかなか見つけることができず、生活費も切りつめて不便な生活をしていました。

ハマスちゃん一家が避難生活を送っていた2017年の5月頃から、イエメン国内ではコレラの感染が急速に拡大しはじめました。ハマスちゃん一家が住んでいるアル・ジャウフ州ではまだ感染者も少なかったのですが、首都のサナアでは衰弱した子どもがたくさん病院に運び込まれているというニュースも伝わって来て、お母さんは心配になりはじめました。州都アル・ハツムには保健センターがありますが、ここしばらくは閉鎖されたままでした。ハマスちゃんの両親はどのようにしたら子どもをコレラの感染から守れるのかわからないまま不安な毎日を過ごしていました。


コレラ患者_from_New_York_Times.jpg
病院でのコレラ患者の様子 New York Times(注)


そんなとき、ハマスちゃん一家は、石鹸、洗剤、シャンプー、バケツ、歯ブラシなどがセットになった「衛生キット」をADRAからの配布物として受け取ることができました。


衛生キット.jpg
ADRAからの衛生キット


ハマスちゃんのお母さんは衛生キットを受け取る際、「啓発セッション」を受けました。このセッションでは衛生キットを受け取りに来た人たちに対して、手洗いや清潔な水を飲むことで病気にかかりにくくなるといったことがADRAスタッフより説明されます。ちょうどコレラ感染が広がりはじめた時期だったため、コレラ感染予防についての話も行なわれました。ハマスちゃんのお母さんもコレラ対策について学ぶことができました。


啓発セッション.jpg
コレラ対策などの啓発セッションの様子


後日、ADRAスタッフが衛生キット配付後の様子を確認するためにハマスちゃんの家を訪ねました。ADRAスタッフがハマスちゃんに「手の洗い方、知っている?」と聞いたところ、「うん、知っているよ」と答え、手を洗う様子を見せてくれました。


ハマスちゃんとADRAスタッフ.jpg
スタッフに手の洗い方をみせるハマスちゃん


病気や感染症にかかっても、内戦のために地域の保健センターが閉鎖されてしまっており、治療を受けられない人たちが大勢います。今回のイエメンで起きているコレラ流行の背景には、内戦による社会の疲弊も大きく影響していると指摘されています(注)。

ハマスちゃん一家のように避難生活をしている家庭は、避難先で清潔な水を得ることができなかったり、長引く避難生活の中で手洗いなどの基本的な衛生習慣がなおざりになってしまいます。このようなことからも、衛生キットの配付と衛生啓発などといった支援活動や、支援を受けた方々が家庭で衛生的な習慣を維持することがますます大切になっています。

ADRAは今後も裨益者の方々に寄り添った支援を続けていきます。皆様のあたたかいご支援を、引き続きよろしくお願いいたします。

※この活動は皆様からのご支援と(特活)ジャパン・プラットフォームからの助成を受けて実施しています。

(注) New York Times, 23 August 2017, “It’s a Slow Death: The World’s Worst Humanitarian Crisis”.

(イエメン事業担当:小出一博

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Posted by ADRA Japan at 10:00 | イエメン便り | この記事のURL
(8/15) イエメン便り vol.1 〜人道危機に瀕するイエメン。「バウチャー(引換券)方式」で避難民と地域経済を支援しています〜 [2017年08月15日(Tue)]
ADRA Japanは、2015年12月から内戦の続くイエメンで、国内避難民と内戦により生活が困窮している方々に対して支援活動を行なっています。活動地域は北部のアルジャウフ州とその周辺地域で、現地のADRAイエメン支部(ADRA Yemen)と協力して食糧配付、衛生キットの配付、給水などの支援を行なっています。

イエメン地図__出典情報つき.jpg


イエメンでは現政府派と反政府派勢力との間で紛争が長く続いています。
2015年3月末からは、サウジアラビアなどの外国勢力が反政府勢力に対する空爆を開始したことから戦況がさらに悪化し、武力衝突もイエメン全土に広がりました。そのため、戦禍を逃れる国内避難民が急増しました。また、食糧やガソリンなどの輸入量も大きく減り、紛争地では公共施設も多数破壊されたため、住民の生活が悪化しました。


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武力衝突の傷跡


機関間常設委員会(IASC:Inter-Agency Standing Committee)は2015年時点で、イエメンが人道危機として最も深刻な「レベル3」にあると宣言しました。イエメン総人口2,700万人のうち、8割近い2,100万人が食糧など何らかの人道支援を必要としています。また人口の7割、1,900万人が安全な水や衛生環境を確保できていないと報告されています。

紛争が激化してからすでに2年以上が経過していますが、事態は悪化の一途をたどっています。国連世界食糧計画(WFP)は2017年4月19日、内戦下のイエメンが「前例のないレベルの飢えと食糧不足に直面し、限界が近づいている」と警告し、人口の900万人への緊急食糧援助が必要だとアピールするほどの状況になっています。


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国内避難民世帯のテント


こうした事態を受けて、ADRA Japanは現地のイエメン支部とともに、戦禍によって生活が悪化している住民と国内避難民の方たちへの支援事業を行なっています。


イエメン3期特選-3.JPG
国内避難民世帯に聞き取りをしているADRA現地スタッフ


支援事業の内容は、食糧配付、衛生キットの配付、給水支援を活動の柱としています。

ADRAの食糧配付では、「バウチャー方式」で配付を行っています。バウチャーは配付物との「引換券」です。ADRAは受益者に食糧と交換できるバウチャーを支給して、受益者は地元の指定された業者に行けば、そのバウチャーを食糧と交換することができます。


イエメン2期食糧-19.JPG
IDカードを確認して拇印を押してバウチャーを渡す


これまでは、食糧配付の方法としては、支援団体が別の場所で買い付けた食糧を現地に持ち込んで配付することが一般的でした。それに対して、この「バウチャー方式」であれば、支援団体が地元の業者と契約を結んで、業者にバウチャーと交換するための食糧を地元で調達と、バウチャーと食糧との交換を委託する、というやり方になります。この方法だと、配付事業の食糧購入代金が地元業者に経済利益として循環するので、地域経済の活性化にも繋がります。また、地域の人たちは地元業者が調達した食べ慣れた食品と交換ができるため、受益者にも喜ばれています。


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食糧を受け取った老人



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食糧との交換所にて


支援団体にとっても、食糧の調達・運搬・貯蔵のリスクと手間を省くことができ、大きなメリットがあります。ただし、地域の市場システムがちゃんと機能していることと、信頼できる業者を見つけることができることが、大きなポイントとなります。


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業者の倉庫の食糧を確認しているところ


この点では、ADRAイエメン支部は、活動経験が長く、地域の業者とこれまでも様々な活動をしてきているので、公正で信頼のできる業者を必要に応じて探すことができています。また、バウチャーそのものにもさまざまな工夫を凝らして不正や手続きミスが発生しないような仕組みを作ることができています。


イエメン2期食糧-14.JPG
食糧を受け取った青年


事業地のコミュニティーとしっかりとした信頼関係を築いている現地支部があることがADRAの強みです。現地支部とのネットワークが必要な支援を、必要な時に必要とされる場所へ確実に届けることを可能にしています。

イエメンの内戦はまだまだ終結する見込みが立たない状態にあります。ADRAは今後も必要な支援を届け続けます。皆様からの暖かいご支援をよろしくお願いいたします。

(イエメン事業担当 小出一博)

※本事業は、皆様からのご寄付のほか、ジャパン・プラットフォームの助成も受けて実施しています
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Posted by ADRA Japan at 14:30 | イエメン便り | この記事のURL