(7/26) ネパール便り vol.61 タライ平原の魅力紹介 [2022年07月26日(Tue)]
<ネパール屈指のトレッキング街道> 日本の皆さまは「ネパール」というと、 世界一高い山であるエベレストを中心とした 8000m級の山が多いイメージが 強いのではないでしょうか。 しかしネパールという国は、 ごく短い南北の距離の中で、 急激に地形が変わります。 例えば北部は4,000〜8,848mの エベレストを含むヒマラヤ山脈が 中国との国境に連なっています。 一方、南部のインド国境には、 海抜70mのタライ平原が東西に広がっています。 今回は、ADRAがこれまで 新生児・小児保健事業を実施し、 そしてこれから新しい栄養・水衛生事業も 計画している、タライ平原の魅力をお伝えします。 かつてのタライ平原は 大半がジャングル地帯でしたが、 その多くが、国の施策で耕地に転換されました。 しかし、開発を逃れ広大な手つかずの ジャングルも残っており、 今でも多くの動植物や鳥類、虫類が生息しています。 <平野一面に広がるタライ平原の田圃(バンケ郡)> そのため、タライ平原には多くの鳥獣保護区があり、 絶滅危惧種であるロイヤルベンガルタイガーや 一角サイ、ベンガルショウノガン、 オオヅル等が生息し、 それを目当てにサファリツアーや バードウォッチングに訪れる観光客もいます。 (なお、一角サイは日本では「インドサイ」 と呼ばれますが、ネパール人は「インドサイ」 と呼ばれることを嫌がります。) <チトワン郡の一角サイの親子> <バルディヤ郡の エレファント・ブリーディングセンター> <ネパールやインドに生息する、 ウシ科のブラックバックの群れ> また、ブッダの生誕地であり、 世界中の仏教徒たちが巡礼に訪れる 聖地ルンビニもタライ平原にあります。 ルンビニは1997年に ユネスコ世界遺産にも登録され、 世界各国の仏教寺院が建ち並んでいます。 特に、ブッダ(サンスクリット語での本名は ガウタマ・シッダールター)を マヤ・デヴィが産んだ場所とされる マヤ・デヴィ寺院は 世界中の仏教徒にとって、 一度は訪れたいとされる場所です。 周辺は土足厳禁であり、 荷物検査を受けないと入場することができません。 <ルンビニのマヤ・デヴィ寺院周辺> <ルンビニへの巡礼者> このように自然も文化も魅力豊かな ネパールのタライ平原ですが、 開発が進まなかったことで自然は守れたものの、 そこに住む人々にとっては 基礎的なインフラが整備されていないことにより 病院や学校へのアクセスが難しく、 経済的にも取り残された地域となり 貧困に苦しむ家庭も多くあります。 また、この地域の住民は毎年雨季に 多発する大小の水害により、被害にあっています。 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響による 世界中からの観光客の減少で、 観光による収入も大きく減ってしまいました。 そのような状況下でも懸命に生活する人々とともに ADRAは現在新しい栄養・水衛生事業を 計画しています。 タライ平原に住む人々の 栄養・水衛生環境の改善を目指して これからもADRAは人々に寄り添った支援活動を 実施していきます。 引き続き、皆さまの温かいご支援・ご協力を お願いいたします。 (執筆:ネパール事業担当) |