(12/16) vol.95 新しい事業がはじまりました [2022年12月16日(Fri)]
こんにちは。
南スーダン難民事業を担当している羽鳥 憲伍です。 私たちは2014年からエチオピア西部のガンベラ州の 難民キャンプで、水・衛生分野で活動してきました。 今回のブログでは、2022年9月より新しい段階に入った クレ難民キャンプでの支援活動についてご紹介します。 クレ難民キャンプは2014年に開設され、 現在5万人以上の人々が住む大きな難民キャンプです。 難民キャンプ開設から8年間が過ぎましたが、 いまだに南スーダンに帰れない人が多くいます。 こうした状況には不安定な治安や、南スーダン側の 受け入れ態勢が整っていないなど、様々な要因があります。 難民の人々の多くは、南スーダンに帰っても 家や財産が残っていなかったり、仕事がなかったり、 インフラが破壊されたままになっていたりと、 国内避難民のような立場になります。 また、生活基盤を再構築するためにも 資金や時間や様々な手続きが必要になります。 5万人以上が生活するクレ難民キャンプの様子 ADRA Japanはガンベラ州でトイレの建設と 衛生啓発活動を中心に活動しています。 人口密度の高い難民キャンプでは 排泄物の処理は大きな課題です。 トイレがなければ、屋外排泄が増えて 感染症が拡大するリスクが 増えてしまいます。 これまでの活動ではトイレを建設して、 難民の人々に供与してきました。2021年からは、 難民の人々にトイレ建設に参加してもらい、 トイレの作り方を学んでもらうようにしました。 トイレの構造を学ぶ研修参加者 2022年9月から始まった新しいプロジェクトでは、 前年の活動を発展させる形で、難民の人々を対象に 建設研修を実施し、自分自身でトイレを 作れるようになってもらいます。 また、建設技術を学んだ難民がグループを作り、 自分のトイレを修繕したり、他の人のトイレを 作れるようになってもらいます。 建設資材も難民キャンプ周辺で手に入れられる 枝や土壁にすることによって、NGOなどの 支援団体がサポートしなくても、自身で安価に 作れるようになります。 多くの難民は南スーダンの農村部から来ています。 そして、ほとんどの難民が、いずれは故郷の 南スーダンに帰ることを望んでいます。 難民キャンプで学んだ建設技術を使い、 故郷に帰ったあとにトイレや家を作れるように なることも目指しています。 前事業で難民の人々が作ったトイレ また、過去1年間でクレ難民キャンプに居住する 難民は約5000人増加しました。 難民キャンプのような多くの人が密集して 生活する環境は、ほとんどの人にとって初めての 経験となります。 新しいプロジェクトでは、新たに難民キャンプに 住みはじめた人びとに、基本的な衛生知識と衛生習慣の 啓発を行い、難民キャンプの衛生環境が 悪化しないようにします。 さらに、以前から住んでいた難民と 新しく住みはじめた難民の両方を 対象として、手洗いを推進する啓発活動を行います。 手洗いは感染症対策の基本的かつ安価な手段です。 新型コロナウイルスはもちろん、コレラやチフス、 大腸菌による感染症は難民キャンプでも大きな脅威です。 これらに起因する下痢は、難民キャンプにも 多く住んでいる子どもたちにとっては命の危険になります。 さらに、今回の事業で取り組むのは 学校の衛生活動支援です。 5万人が住むクレ難民キャプには 5つの小学校があります。 それぞれの学校には学校衛生クラブがありますが、 これまで活発な活動は行われていませんでした。 昨年の事業から、学校衛生クラブの 活動支援を行っていましたが、 新しい事業でもこれを継続します。 衛生クラブに所属する児童にレクリエーションを 取り入れた衛生に関する授業を行い、 楽しみながら学びます。 そのあと、学校衛生クラブが主導して 衛生知識や衛生習慣を他の児童にも広げていきます。 これによって子どもたちを感染症から守るとともに、 子どもを通して各家庭にも衛生習慣が 広がっていくことを期待しています。 学校で手を洗う子どもたち 事業期間の約半年間、日本人スタッフ、現地スタッフが 一丸となってこの事業に取り組んでまいります。 みなさまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。 今後もブログを通じて事業進捗を紹介していきます。 ぜひチェックしてみてください。 *この事業はジャパンプラットフォームによる助成金と 支援者の皆様からの寄付金で実施しています。 (南スーダン難民事業担当 羽鳥 憲伍) |