(11/25)南スーダン便りvol.94 南スーダン難民支援の軌跡 [2022年11月25日(Fri)]
こんにちは。 南スーダン難民事業を担当している羽鳥 憲伍です。 ADRAは、2005年より南スーダンに スタッフを派遣し、 長い間、紛争の影響を受けてきた 南スーダンの人々に寄り添う活動をしてきました。 ADRA Japanが南スーダンの 避難民・帰還民を対象に実施していた 生計支援事業(2009−2013年ごろ) しかしながら情勢悪化により 南スーダン国内での活動を断念せざるを得ず、 2014年からは隣国エチオピアで 南スーダン難民支援を続けています。 今回のブログでは、 ADRAのこれまでのエチオピアでの 支援活動についてご紹介します。 現在、エチオピアは約40万人の 南スーダン難民を受け入れていますが、 そのうち90%以上にあたる37万人が ガンベラ州に住んでいます。 ガンベラ州はエチオピア西部に位置し、 西隣にある南スーダンに 突き出すような形をしています。 ガンベラ州には現在7つの難民キャンプが設置され、 数十団体の国連機関やNGOが難民の支援をしています。 支援団体は定期的に集まってミーティングを行い、 最新の情報共有を行ったり、 支援が偏らないように調整したり、 また課題や解決策を共有しています。 ADRAの活動分野や活動地についても、 こういった調整プロセスを経て決定しています。 ADRAは、(特活)ジャパン・プラットフォームの 助成も受けて、 2014年から8年間にわたり ガンベラ州内3か所の難民キャンプと 国境のエントリーポイントにおける 支援活動に取り組んできました。 国境地点の難民登録の様子 難民キャンプが開設されたばかりの時期には、 食料支援、飲み水、傷病者治療のための医療支援、 住居の支援など、 とにかく生存するための緊急支援が必要でした。 難民キャンプでの生活が長くなってくると、 テントに暮らしていた難民は「トゥクル」という 木と土でできた伝統的な家屋を建てて 住むようになります。 伝統的な家屋「トゥクル」 医療支援も治療だけでなく、 感染症の防止や衛生啓発といった 予防医療に近い活動も行われるようになります。 また、簡易的な自給自足ができるように、 難民キャンプ内で家庭菜園をするための研修なども 行われています。 自分たちでできることは自分自身でするという、 尊厳ある自立した生活の回復に向けた支援が 中心となってくるのです。 エチオピア、ガンベラ州の テレキディ難民キャンプ(2016年ごろ) 2017年からはガンベラ州にある 難民キャンプの一つである クレ難民キャンプにおける活動に集中し、 その中でもADRAは水・衛生分野の支援に 注力することになりました。 ADRAが担当する水・衛生の分野は、 給水や衛生設備(トイレや手洗い用設備)の整備、 衛生啓発活動や衛生用品の配付といった 活動が含まれており 、 難民キャンプ内の衛生環境の維持・向上や それによる感染症の防止などを担っています。 水衛生分野で活動を始めたときには、 多くの人が共有できる公衆トイレを建設して すべての人がトイレを使えるようになることを 目指していました。 その後、徐々に公衆トイレの支援から 世帯ごとのトイレの支援に移行していきました。 これは、利用者の安全やプライバシーを守る役割や 利便性の向上のほか、 自分自身でトイレの清掃や管理を行う意識や 責任感の醸成を考えてのことです。 さらに、昨年開始した取り組みでは、 難民の方々が、自分たちの手で 安全に使えるトイレを 作れるようになることを目指し、 難民の方に対してトイレの建設技術研修を はじめました。 そして、今年の活動では それをさらに発展させています。 多くの難民が大量に流入して 難民キャンプを形成した初期と、 難民キャンプの生活が長期化してきた現在では 必要な支援の形も変わってきました。 衛生知識や衛生習慣の普及を目指す 「衛生啓発活動」でも、 難民の参加度をより上げて、 「NGOが支援して難民が受益する」 という関係から、 「難民が主体となって活動するのを NGOがサポートする」 という形に変化していっています。 次回のブログでは、 2022年9月から新たな段階に入った 支援活動についてご紹介します。 ぜひ、チェックしてみてください。 *この活動は皆さまからのご支援と、 ジャパン・プラットフォームによる助成金で 実施しています。 (南スーダン難民事業担当 羽鳥 憲伍) |
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