(5/19) 「教育は人生そのもの。」ジンバブエにおける教育の意味 [2022年05月19日(Thu)]
ジンバブエ事業担当の高橋です。
私たちが取り組んでいる活動に 関心を持ってくださる皆さまに 心より感謝申し上げます。 アドラが支援を行うジンバブエの「教育」には、 そこに関わる人々にとって さまざまな意味があります。 それは時として、将来の自分のためであり、 家族を支えていくためであり、 純粋に学ぶ喜びを感じるためでもあります。 私たちが活動している学校のひとつ、 首都ハラレから車で8時間の ゴクウェ・ノース地区にある ネニュンカ小学校で働くドゥベ先生の人生も、 教育によって大きく変化しました。 先日、インタビューする機会があったので ご紹介します。 ドゥベ先生は、ジンバブエの少数派民族である トンガ族の出身で、一夫多妻の家庭に生まれました。 トンガ族は長年、社会の主流から 取り残されてきており、ドゥベ先生の家庭も、 子ども全員を学校へ通わせる 経済的余裕がありませんでした。 その中で学校に通うことができた ドゥベ先生は、家族の勧めもあり、 大人になったら教師になる という夢を持つようになります。 家族もドゥベ先生の成長に 大きな期待を寄せていましたし、 ドゥベ先生も期待に応えたいと 思ってました。 教師になることができれば、 安定的な収入で家族を支えることが できるからです。 ですが、教師になる挑戦はドゥベ先生に 思いもよらない変化をももたらします。 それは民族の多様性に対する 自身の態度の変化でした。 教師トレーニングには、教師を目指す若者が ジンバブエ各地から集まっていました。 そのトレーニングの中で、ドゥベ先生自身、 少数民族として社会から疎外され、 苦悩してきた経験から、トンガ族以外の 部族に対して不寛容になっていたことに 気がつきます。 特に、ジンバブエで多数派のショナ族の 人々に対して劣等感を感じていることに 気づきました。 ところが、教師トレーニングを通して ジンバブエ各地から集まった さまざまな言語を話す仲間と過ごすうちに 違う部族を評価し認められるようになったのです。 民族の違いに対して寛容になることを 教師になる勉強をする過程で、 身に着けることができました。 ドゥベ先生は、現在ネニュンカ小学校で 4年間教鞭をとっており、 トンガ語を教えるのがとても得意です。 少数派民族の言葉であるトンガ語が 教科に含まれるジンバブエの小学校は 多くありませんが、 誇りと喜びをもってトンガ語を教える ドゥベ先生の授業に、子どもたちも 熱心に取り組んでいます。 中にはトンガ語を話さない部族の 子どもたちもいますが、ドゥベ先生が すべての部族の子どもたちに対し、 愛をもって接することができる教師に なれたのです。 また、ドゥベ先生に起きた変化は 子どもたちにとって 立派な教師になれただけではありません。 教師として仕事を始めて得た収入で 兄弟たちを学校に通わせることも できるようになり、 家畜を飼い、生活を安定させるという 家族の期待にも応えられて トゥベ先生も家族もとても誇らしく 思っています。 最後に、ドゥベ先生が「教育」について 語ってくれた言葉をご紹介します。 「教育は人生そのものです。 教育は人に行動変容を起こすことができます。 そして人を前向きにしてくれます。」 「教育を通じて、子どもたちは、 道徳心と価値観を形成することができます。 そして、私自身が、父親として、 子どもたちを導く保護者として、 彼らのポジティブな変化を引き出せるよう、 しっかりとコミュニケーションを とっていきたいと思っています。」 教育によって自分自身が成長し、 家族を支えられるようになり、 子どもたちを導けるように変化成長したという ドゥベ先生の話によって、 私たちが支援をする人々にとって、 教育がどんな意味を持つのか、 対話を通じてしっかりと向き合い、 ジンバブエの人々の生き方を支える 教育の基盤作りに寄与していきたいという気持ちが 一層強くなりました。 私たちの活動に共感し、 応援してくださる皆さまに、 心より感謝申し上げます。 (雨風関係なく、授業を行えるようになった 新しい校舎。教える先生の姿勢にも 変化がみられています。) 【お知らせとお願い】 2022年5月31日まで、 クラウドファンディングにて 皆さまの応援を募っています。 クラウドファンディングのリターンの中では 私たちの活動を力強く応援していただきながら 映画と座談会を通して寄付や支援活動について 理解や考えを深めていただく機会を ご用意しています。 詳細をこちらのページでご覧いただけます。 応援・お申し込みをお待ちしております。 ジンバブエ事業は、皆さまからの温かいご寄付と、日本NGO連携無償資金協力の助成も受けて実施しています。皆さまのご理解と温かいご支援に心より感謝申し上げます。 (執筆:ジンバブエ事業担当 高橋睦美) |
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