(6/28) ジンバブエ便りvol.55 教育の力 [2021年06月28日(Mon)]
今回のジンバブエ便りでは、 現在ジンバブエ西部 ゴクウェ・ノース地区において 実施している教育事業で、 支援している学校の生徒たちの サクセスストーリーをお届けします。 現在実施している教育事業では、 過去に学校を中退した生徒など 様々な事情から通常学級に通うことが 難しい子どもたちを対象に、 特別開設クラスを開校しています。 ※特別開設クラスの詳細に関しては ブログのバックナンバー 「(11/20)ジンバブエ便りVol.43 今日は「世界子どもの日」 」を参照にしてください。 (https://blog.canpan.info/adrajapan/archive/1607) 特別開設クラスの授業の様子 特別開設クラスの生徒たち (ADRAの事業で建設した新校舎をバックに) 本教育事業で支援を行う3校、 計90名の特別開設クラスの生徒の中から、 今回はネニュンカ小学校の生徒について ご紹介します。 <シリンダイル・ムザンバ(Silindile Muzamba)さん 15歳> ムザンバ一家はブタ村(Bhuta village)に 暮らしています。 ムザンバ一家には8人の子どもたちがいますが、 誰も学校に通っていませんでした。 ADRAの教育啓発活動の一環として ボランティアがムザンバ一家を訪問し、 両親と話し合いました。 ボランティアは、子ども達を学校に通わせ、 教育を受けさせることで、 彼らが自分や家族、村のことをもっと 考える力を持つことができるし、 例えば早期結婚を防いだり、 より良い将来設計ができるようになる、 と根気強く説得しました。 この話し合いで両親は教育の重要性を理解し、 学齢期にある5人の子どもたちを 学校に送ると決めてくれました。 シリンダイルさんはそのうちの1人でした。 読み書きの経験もなく、 人生で初めて学校に通うこととなった シリンダイルさんにとって、 当初学校の授業は、楽しいものでは ありませんでした。 他の生徒たちが勉強をしている間、 彼女は皆とは離れて木陰で休み、 先生に水汲みを頼まれれば 「お金をくれるのか?」と 聞き返したほどでした。 それでもシリンダイルさんは 毎日学校に通ってきました。 字を書くことも、本をきちんと持つことさえ できなかった彼女に、先生たちは 一つ一つ教えていきました。 そうしているうちに、字を左から右に 書くことができるようになり、 授業にも参加するようになりました。 先生に対する態度も 明らかに変わっていきました。 そのうち、「もっと宿題を出して!」と 言うまでに、「学ぶこと」を 楽しむようになったのです。 クラス活動にも活発に参加し、 自分の意見を言うようにもなりました。 学期の終わり、 クラスで一番の成績を取って模範生に 選ばれたのはシリンダイルさんでした。 現在は学力が上の レベル2のクラスに進級し、 勉強に励んでいます。 シリンダイル・ムザンバ(Silindile Muzamba)さん 全世界で広がる 新型コロナウイルス感染症の影響で、 ジンバブエでは2021年3月までに 2度に渡るロックダウンが施行され、 子どもたちはおよそ9か月間 学校に通うことができませんでした。 先進国の中には、このコロナ禍で オンライン授業を実施する国も多いですが、 開発途上国であるジンバブエの ゴクウェ・ノース地区は オンライン授業を学校が実施し、 それを生徒たちが自宅で受講できるような 環境は整っていません。 ほとんどの場所は ラジオの電波すら届かない地域です。 ロックダウンは3月に解除され、 政府の方針で子どもたちは 新たな学年に進級しました。 子どもたちは前学年で終わらなかった 単元の後れを取り戻すべく、 みんな勉強に励んでいます。 ※コロナ禍のジンバブエの様子に関しては、 ブログのバックナンバー 「(5/15) ジンバブエ便りVol. 48 〜世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るう今、ジンバブエはどうなっているのか〜」を参照してください。 (https://blog.canpan.info/adrajapan/daily/202005/15) 教育啓発活動を実施したボランティアたち 子どもたちの通学路 ジンバブエから遠く離れた 東京の事務所にて、本教育事業の 後方支援を行う中で、 シリンダイルさんや同じように学ぶ 子ども達に思いを馳せながら、 私も日々の業務に励んでいます。 ※この事業は外務省の 日本NGO連携無償資金協力と皆さまからの寄付金で実施しています。 (執筆:ジンバブエ事業担当 高橋睦美) |
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