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(6/22) 南スーダン便りvol.90 難民が難民でなくなる日は来るのか [2021年06月22日(Tue)]


皆さん、こんにちは。
現在エチオピア事業で
現地担当をしています辻本です。


一昨日の6月20日は
世界難民の日でした。

今回は、難民について
少々文章をつづることが
できればと思います。



世界難民の日は、
難民支援や保護について
世界的な関心を高め、
国連機関やNGOの活動への理解を
深めてもらえる日にするために、
2000年12月4日に国連総会で決議されました。

エチオピアのクレ難民キャンプで
南スーダン難民支援事業を続けている
ADRA Japanとしても
是非この機会を活用し、
情報発信したく思います。

本稿では難民の人が
難民でなくなる日は来るのか
について
考えられればと思います。



難民の解決策は
大きく分けて3つあります。
これを難民支援の業界用語で
”Durable Solutions”
(デュラブル・ソリューション; 恒久的な解決)
と言われます。



1つ目は自分の国に
帰還することです。

2つ目は難民として
避難している国の
国民として定住することです。

3つ目は別の国に
移住すること、
つまり第三国定住です。



第三国定住は
大抵欧米圏を指し、
難民の経済力や文化が
大きく違う国で暮らすことなど
ハードルが高いので、
3番の難民は少ないのが
現状と思います。


それでは、
1はどうでしょうか。
自分の国に帰るということは、
大前提として、難民となった原因が
解消されている必要があります。


例えば、
クレ難民キャンプの難民であれば、
南スーダンの紛争が
終わっていることが
前提となります。


しかし、
紛争は武装勢力が
平和条約にサインをして終わるほど
簡単なものではありません。

紛争の根本原因が
解決されている
必要があります。


南スーダンを例にとれば、
部族対立の構造が色濃く、
まだお互いが
平和的に共存できているとは
決して言えません。


また紛争から逃げてきた
難民のいた土地や
住んでいた家が、
そのまま残っている
とも限りません。

敵対関係にあった
人々が住み着き、
さらに問題は
深まってしまうケースもあります。


そんな中、
平和条約が結ばれたから、
南スーダンに安心して
帰還するという人は
ほとんどいない
と思われます。



写真1.jpg


[衛生啓発活動に協力してくれている難民]



1つ目の
自国への帰還が難しいのであれば、
他のDurable Solutionは
2の避難国で定住
ということになります。


まず、
第一にこれが現実的かどうかは
受入先国の政府の政策によります。


ちなみにエチオピア政府は、
現在、難民に対して
統合政策の方針を
とっています。


しかし、
いくら隣国といえども、
社会のルール、言語、
経済力、民族の違いなど
課題は沢山あります。


こうした点を考慮せずに、
難民を市民として
受け入れた場合、

地元コミュニティとの
軋轢(あつれき)、
治安悪化、経済格差、
差別の問題などが
発生するリスクがあります。


現在、
クレ難民キャンプ内では
エチオピア政府の難民担当機関
(Agency for Refugee & Returnee Affairs:ARRA)
が5つの学校を管理しています。


教育を通じ、
徐々に受入国に慣れていく
という方法はあります。


しかし、
教育は長期的な効果を
期待する分野であり、
数値化も難しいため、
短期的なロードマップとしては
明示しにくい難しさがあります。


また、
難民キャンプは
市街地から離れた
国境近くにあることが多く、
教員不足も課題の一つです。


難民の言語が使える
先生となれば
なおさらのことです。


これはクレ難民キャンプも
例外ではありません。



ここまで3つの解決策を
大きな枠組みとして
記してみましたが、
どれも課題があることが
ご理解いただけたかと思います。


では、難民が難民でなくなる日は
いつ来るのでしょうか。


残念ながら、先行きは不透明です。


現在、ほとんどの難民は
シリア、ベネズエラ、
アフガニスタン、
南スーダン、ミャンマー、
パレスチナなどの出身で、

ざっくりとではありますが、
上記のような理由から、
難民キャンプが
長期化していると
いっていいと思います。





写真3.jpg


[クレ難民キャンプ内の食料配給所]




難民キャンプとは
そもそも緊急対応のために
設置されるものですが、
もはや「キャンプ」は
学校、水場、床屋、トイレ、
電気製品店
(もちろんとても小さいですが)
や教会があり、
「町」のようになっています。


しかし、
同時に難民キャンプを
運営しているのが
難民自身ではなく、
受け入れ国政府、
国連機関やNGOであることも
事実です。


こうした
外部の支援組織によって、
難民キャンプの全体的な管理、
食糧配給や診療所などが
運営されています。


そうした中、
ADRAはクレ難民キャンプで
水衛生分野を担っています。

避難生活の長期化に伴い、
国連やNGOは
難民の自立支援に向け
試行錯誤しますが、
支援されることが
常態化している難民との関係から、
自立を促すことは
一筋縄ではいきません。


例えばADRAの事業では、
難民のトイレ建設への
参加を促進していますが、
支援される側
という意識が定着し、
あまり参加したくない
という難民も
中にはいます。


難民キャンプでの生活が
長期化する一方、
新しくやってくる
難民もいます。


難民支援は
新規難民への緊急支援と
既存難民の自立支援の
2つの側面があります。

その中で、
我々NGOや国連機関は、
難民の生活レベルの維持と
将来の難民の自立、
この両面を
考えていく必要があります。





写真2.jpg


[新規難民用のUNHCR仮設テント]




長文になりましたが、
ここまで読んでくださり、
誠にありがとうございました。


上記に記した難民問題は
アカデミックな議論でも
よく取り扱われています。


Durable Solutionの
専門家ではない私が、
限られた知識から
記したものなので、
正確ではない部分も
あるかと思いますが、
難民問題の複雑さと、
適切な支援を
考えていくことの大切さを伝えたく、
記事を書かせていただきました。


世界難民の日という節目に、
このブログを通して、
読者の皆さまが難民について
考えるきっかけに
なっていただければ幸いです。


これからもADRAは
難民問題の複雑さを
考慮しながら
適切な支援を考え、
クレ難キャンプでの
南スーダン難民支援活動を
継続していきます。


今後とも皆さまからの温かいご支援を
よろしくお願いします。



*本事業は皆さまからのご支援と
ジャパン・プラットフォームの
助成を受けて実施しています。


(エチオピア事業 駐在員 辻本峻平)



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Posted by ADRA Japan at 18:17 | 南スーダン便り | この記事のURL | コメント(0)
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