(8/3)【ネパール地震】〜地震の揺れに強い石積みの家ができるように〜 [2015年08月03日(Mon)]
ADRAは現在、カトマンズから北に60キロほど行ったところにあるラスワ郡で仮設家屋の建設支援をしています。ラスワ郡では石積みの伝統的な工法で家を建てていました。昔からある古い家は、石と石の「つなぎ」にセメントを使わず、泥をセメントの代わりにしていました。中にはその泥すらも使わず、石をただ積み上げている家も多くありました。そのようにして建てられた家の石は、しっかりと固定されてはいない状態でした。
4月25日の地震により、こうした建て方をしていて鉄筋や梁を取り入れていない家はことごとく倒壊してしまいました。 ![]() 家が倒壊し、元々道だったところにも石が積み重なっている 耐震効果が期待できる建築資材はいろいろありますが、ネパールの市場で購入でき、ネパールの村の人たち自身が取り扱うことのできる資材がもっとも普及させやすく、今後の建物の維持管理もやりやすいとADRAは考えています。同国では多くの人が自らの手で家を建てるため、自分たちの収入でも手に届く資材で揺れに強い建物が建てられるようになるになれば、その方法は多くの世帯に広がっていくと期待できます。 今回、ラスワ郡の3つのVDC(Village Development Committee:日本の「村」にあたる行政単位)に住む80名を対象に、3日間にわたる耐震工法の技術研修を行ないました。 参加者はいずれも、少なくとも1年以上の大工経験がある人たちです。 参加者は石造りの家の耐震構造の理論を学んだ後、実際に鉄筋を曲げたり、梁になる部分を作ったり、セメント・砂・砂利を混ぜ、石を積み上げてたりする作業を実際に行うことで理解を深めていきました。 ![]() 耐震構造についての講義 ![]() 熱心にメモを取る参加者 ![]() 実際に鉄筋を組み立てる参加者 また、仮設家屋のトタン屋根の設置方法や、竹のつなぎ方などを学ぶ機会も設けました。 ![]() 仮設家屋の建設方法を実践しながら学ぶ 現在、ラスワ郡ではADRAによる建設資材の支援と、このブログでご紹介した技術研修の実施により、仮設家屋が次々に完成しています。技術を身に着けた住民たちは非常に頼もしく見え、彼らが自らの手で生活を再建する姿を目にするのはとても嬉しいです。 昼夜や土日の区別なく必死になって働いてくれているADRAネパール支部の現地スタッフとは、震災が起きてからずっと駆け抜けるように働いてきたことの成果が見られるようになってきて良かったね、と最近よく話しています。 今後は仮設家屋に住む村の方々について皆様にお伝えできるよう、ラスワ郡でたくさんの村の人のお話を伺ってきたいと思います。 (執筆:ネパール事業担当 小川真以) ADRA Japanホームページはこちら |
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