村人が伝統産婆を選ぶワケ(プレアントン村)[2012年08月29日(Wed)]
卒業生へ研修前後の変化についてのインタビュー
シムリアップ市街から60km東に行ったクーレン山の山頂にあるプレアントン村。187家族、390人が住み、プレアントン寺を訪れる観光業(出店)が唯一の産業である。クーレンの名前の由来は、この地域に多く自生しているライチ(クメール語でクーレン)の巨木である。村長は研修校卒業生バニー師の奥さん(28)で元教師である。
ライチ(クーレン)の巨木
この村から最寄りの保健所までは約8km。車が通るのも困難な悪路を通らなければたどり着かない。村にある生活用品店3件で市販の西洋薬を購入する事が出来る。もちろん無資格。シムリアップ市内から仕入れている。内1件の女性は伝統助産婦である。村には7人のクルクメールおり、2名が研修校卒業生で、9月から始まった5期生への新入生2名がいる。7名のうち2名は接骨術も行なう。
村の医療事情を知る上で“風邪”をひいた時と“出産”する上でかかるコストを“村内”で解決する方法と“保健センター(HS)”に行くケースで比較してみた。
HSでは原則2000リエルで3日分の処方。貧困過程からは徴収しないとしている。しかし実際は、各ヘルスセンターで、ある程度の金額を設定している(今後紹介予定)。
<風邪のケース>
@HSに行く場合:
1日分の薬代 1500リエル
交通費 4ドル(16000リエル)/往復
計17500リエル=約338円
A村で薬を購入する場合:
1日分の薬代 6000リエル=約116円
<出産のケース>
@シムリアップ市内の病院(村から60km):
無料、しかし病院までの救急車$70ドル(深夜), 日中$50
さらに病院での毎月の定期検診が義務
(乗り合いタクシー18ドル/往復)計88ドル〜=約6910円
※ 無料である代わりにワーカーの対応が悪いという
※ 貧困家庭の認可をうけた場合には交通費が支給される仕組みもある
AHS: 15$, 点滴+薬5$x2回, 交通費4ドル/往復 小計29ドル
ただし1ヶ月後にシムリアップ市内に検診義務
(乗り合いタクシー18ドル/往復) 計47ドル=約3691円
※ 悪路をバイクタクシーで移動しなくてはならない。
B村の産婆:20ドル、点滴+薬15$x2回, 計50ドル=約3926円
※自宅で出産、無資格者だが顔見知りの産婆で信頼できる。
※産婆の判断で難産が予想される時は、HSもしくは病院での出産を勧める。
母子保健を重点事業としている政府は、公的専門教育を受けていない伝統産婆に出産を依頼する事を禁止するキャンペーンを行なってきた。しかしながら、村の事情によっては、まだまだ伝統産婆による出産ニーズは高い。そして、都市や村に関わらず、全国的に出産前後の強壮薬としてクルクメールの伝統薬が普及しており、妊婦の健康を支えているという現状がある。
奥さんは伝統産婆、旦那さんはクルクメールというご夫婦
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